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みちのく一人旅 2日目 その2

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なぜ人は旅に出るのだろう?

学校でも習いましたが、昔の有名な歌人や紀行家は多くいます。

昔だったら山賊や獣、病気等、本当に命がけだったと思います。

現代の旅も交通事故、おやじ狩りと結構命がけかもしれません。

それでも大切なものを残して、戻ってくる事前提の旅に出ます。

戻らない、かもしれない旅もあります。


大きなリスクを背負うのですから、思いきり楽しまなくてはなりません。


私の旅の楽しみは「出会い」ですね。


私は旅に出てからは、地元の人に積極的に声をかけるようにしていました。


町で管理してくれている綺麗なトイレで顔を洗って

タオルで拭きながら出てくると子犬を連れたおじいさんがいた。

子犬(チン)は濁りのない澄み切った目で私を見つめてきます。

心の奥まで見透かされそうな綺麗な目。

無類の犬好きの私はたまらずに声を掛けます。


「今朝はずいぶん寒かったですね」

おじいさんはニコッと人懐こい笑顔で微笑むと 

「そうだな〜、日が照ればこれ、暖かいけどなあ〜」

チンもおじいさんと話す私に気を許し、ジャレついてくる。

「よ〜し、よし、よし」ムツゴロウさんのフレーズを借り、チンと戯れる。

家に置いてきた愛娘を思い出す。

トイレから戻ってきたおばあさんも加わり、お互いに質問合戦だ。

おじいさんは骨董屋で、現役の頃は仕事で毎年、北海道を訪れていたとおばあさんは

教えてくれた。

「おじいさんは北海道が好きでねぇ、移住したいとずっと言ってたよ」

「そうなんですか。でもこの辺りもとても良くて僕は気に入りましたよ」


しばらく話していると、チンが私を見てク〜ンと鳴きだす。

犬を飼うのが初めてだというおばあさんはどうしたんだろ?と首をかしげる。

私は犬と一緒の生活が30年以上なので何を言いたいか、およそ解る。

「退屈だって言ってますよ」

子供と一緒で、親の立ち話に飽きてしまったようだ。

3人と別れを告げる。 

別れ際にそういえばこの犬も北海道生まれなんだよ。と、おばあさん。

この子がペットショップに居た時、値札の横に北海道生まれと書いてあったそうだ。

思わぬ同郷との出会い。

楽しいひと時だった。


秋田県横手市に入る。

道路わきには多くの農園の直売所があり、ブドウを売っている。

「送れば荷物にならないし、お土産に良いな」と思いながら通過。

ここで最後の直売所だと思う店も通過してしまう…。

まずは駅前に行ってみよう。

駅には色々と情報があるので便利。待合所で耳を澄ましていれば、地元の言葉や

雰囲気もわかる。

横手駅で「横手やきそばガイドマップ」をもらう。

来たからには食べたい。写真がとても旨そう。


でも大半のお店は午前11時以降の開店なので、

2時間は時間をつぶす必要がある。

横手城でもいってみるか。

駅でもらった観光案内を頼りに横手城を目指す。

さすが城下町。 道幅も狭いが、うまくお城にたどり着けない。

あれ? 県道に出てしまった。

戻ってぐるぐる。


工事中の私立病院まで来るも、どこからお城に登っていくかわからない。

もういいと諦めた。

クラッチを握る左手も疲れてきた。


横手城への道の正解は、私立病院の正面向かって左側に高校がある。

高校の前の小道を登っていくと横手城に至ります。

道は他にもあると思われ、さすが城跡。

敵が容易にお城へ上がって来れない様に道が造ってあるのだろう。

お殿様、城に攻め込むのは道が解らないのであきらめます。

せめて、横手やきそばだけは食べさせてください。


城は諦めて、私立病院の前の道を、真っ直ぐ南へ進んで、さっき走ってきた県道107号線に出よう。

線路を渡ってカーブすると県道にぶち当たるはず。


線路の手前に道があって、農家さんのおじさんが軽トラで本線に出ようとしている。

優先は本線を走る私にあるが、おじさんの目の前で一旦停止になるので、

ここは安全を確認して道を譲る。

左手が限界なので、エンストしても格好悪いし^^

おじさんは手を上げて笑顔で走り出した。

私は、譲っておいて追いつくのも嫌なので長めに一時停止。


辺りをみまわすと、さっき迷ったあげくに通過した、最後のぶどうの直売所の裏だった。

これはちょうど良い、寄っていこう。

道を譲らなかったら、この直売所は見過ごしていただろう。


明るい奥さんが出迎えてくれる。横手市大沢の「中村農園直売所」さん。

白ブドウとキャンベラがあり、味見させてもらう。

「んん、旨い!」

舌の肥えた、北海道人の私が言うのだから間違いない。

絶品です。

沢山入った詰め合わせを2つお願いした。

自分の実家と、小樽の嫁の実家に送ってもらう。

よかった。

お土産は確保できた。


ここでまた、北海道にご縁のある方が。

中村農園の奥さんは昔、札幌に住んでいたそうだ。

思い出がたくさんあるという。

奥で作業していたご主人も話に加わる。


「実は横手城に行きたかったけど道が解らずにいけなかった」

と話すと、裏から行ける解りやすい道があるから、ぜひ行ってみなさいと勧めてくれた。

ちょうど店の裏から、新しい道でトンネルがあり3分で横手城についた。


横手城に初めて行かれる方は国道107号線沿い(横手市から北上方面に向かってなら

左側、最初の直売所)中村農園でおいしいぶどうを食べながら

道に詳しいご主人に道を聞いて、スムーズにお城まで行く事をお勧めします。

城下町なので、探して走るのは時間と体力の無駄です。

私は1時間ほど探し回って見つけられず、教えてもらって3分で到着しました。


おかげさまで無事に横手城の展望台に登って、売店で横手焼きそばを食べる。


「観光地は嫌い」が心情の私ですが結構、観光して楽しんでしまった。

横手城の内部は、沢山の当時の資料が展示してあり、それを観ながら上にあがって

いくと、展望台になっています。

階段ですが、座って登る事ができる昇降機も完備されているので、職員にお願いすれば

足の弱っている方でも安心して城内を観れます。

当時の資料で私の興味をひいたのは、蝦夷地での北方警備を仰せつかった際、

留萌管内増毛町に着て行った、鎧カブトが展示してあったこと。

東北地方に来てからは、北海道に縁のある人たちとばかり会ってきたけど、

ここのお殿様も、北海道に縁があったんだな。

近いからと言う理由もあるけど、東北と北海道は兄弟のような気がした。




その後は秋田市へ。

本当は中村農園のご主人に田沢湖、八幡平、十和田湖のルートが良い

と勧めてもらったが、どうしても自分で予定していた秋田市を見てみたかった。

お勧めのルートは来年必ずいきます。

今回は自分の選んだ道を進む事にする。


 秋田市はさすが県庁所在地。

片側5車線の道に戸惑いながら城跡のある公園を探すも、同じところに戻ってしまう。

諦めて大館の田代スポーツ公園キャンプ場へ先を急ぐ。

秋田市は結局、郵便局でお金を下ろしただけでした…。


旅の二日目にして、やっと明るいうちにテントを設営。

大館市田代スポーツ公園の温泉へ。

地元の常連たちで賑わっていて気後れするが負けじと湯の中へ。

露天風呂もあるのか… おお、こっちは貸し切だ。

露天風呂に入っていると、地元のおじさんが一人、入ってきて二人きりに…

勇気を出して話しかける。

話題は何でも良い。

「ここの温泉の食堂は旨いですか?」と話しかけてみる。

「う〜〜ん…」 おじさんは首をかしげながら長く唸っている。

お互い、顔を見合わせて大笑いしてしまった。

これでお互いの垣根は崩せた。

国道を左に出た所に「さっぱり亭」というラーメン屋があるけど、

そこはいつも混んでいて地元では人気だよと教えてくれる。

「でも、この時間じゃ閉まってるかな…」とおじさん。

細かな配慮が、このおじさんの良い人柄を思わせる。

「どこから来たんだい?」

「札幌からです」

「えっ!」とおじさんは目を大きくする。

「私の息子が札幌で歯科医院をやっているんだよ」

「え〜!」

場所を聞くと超ご近所。

遠くまで来たと思っていたけどマタシテモ、北海道とご縁のある方との出会い。

「孫に会いに時々行くんだ」とニッコリ笑った。

きっとお孫さんの顔を思い出したのだろう。

テレッとしたおじいちゃんの顔になった。

「それは楽しいですね」

「うん!」


「気をつけて行くんだよ」と言って、おじさんは先に湯船を出る。

すっかり長湯させてしまった。



温泉でさっぱりしてテントに戻る。

シュラフにもぐりこむが、なかなか寝付けない。

今日は300キロ位しか走行してないからあまり疲れていないようだ。

寝付けずに寝返りをうっているとパタパタと雨音が… 

時折、強く千円均一の我が安テントを叩いている。


先輩Hさんに、100均のブルーシート持っていったほうが良いよ

と言われて買っておいたブルーシートが役に立つ。

今日も良い出会いがあった。
 

雨音を聞きながらいつの間にか寝てしまった。

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