La vita e bella

前のことを、たらり・たらりと書いています。ニューイヤー・コンサートのことすら書いていなかったこの怠慢さ…。

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新国立劇場 モーツアルト 「ドン・ジョヴァンニ」

素晴らしい「声の競演」を楽しむことができました。新国立劇場としては会心の
キャスティングだったのではないでしょうか。時差ボケがなかなか治らず開演
直前までもの凄い睡魔だったのですが、演奏が始まったら眠気がすっ飛んでしまい
ました。



ドン・ジョヴァンニとレポレッロは共に個性的な二人のバス・バリトンの声の競演
を楽しませてくれました。モーツアルトの諸役で定評のあるルチオ・ガッロはもう
ベテランの域に入るでしょうか、豊かな声量、堂々の歌唱と存在感です。好色漢
を身軽に演じる一方、貴族の品も感じさせるところが流石です。レポレッロの
アンドレア・コンチェッティは張り艶のある美声のバス・バリトンで、下僕ながら
色気が垣間見られます。



女性のメインキャストも充実していました。ドンナ・アンナにはエレーナ・モシュク。
コロラトゥーラの名手でありこの役には声が少し軽い感もありましたがドラマティック
な歌唱を聴かせてくれました。そして弱音の繊細さ、音の移行の滑らかさと持ち前の
テクニックも光りました。ドンナ・エルヴィーラにはアガ・ミコライ。この歌手も濁り
のない美声でテクニックもしっかりしており、感心しました。芯の強い女性である一方
ドン・ジョヴァンニ無しではいられない弱さがよく感じられる演技でした。



ドン・オッターヴィオを歌ったホアン・ホセ・ロペラは出だしこそおとなしかったもの
の徐々に調子も上がり、やや閉じ気味ですが明るい声を披露してくれました。見せ場の
アリアもブレスが長く音の転がる難所を見事に歌い上げ強い印象を残しました。



ツェルリーナの高橋薫子は前プロダクションの初演からこの役を歌っていますが演技、
張りのある声ともに見事にこの役にあっています。マゼットの久保和範、騎士長の
長谷川顯も立派な歌唱でした。



どの歌手もそれぞれにしっかりと完成しアンサンブルも良く溶け合い巧く揃っていました。
そんな歌手陣をまとめた指揮者はコンスタンティン・トリンクス。溌溂とした音楽作り
で音のバランスも良く、巧くまとめていたと思います。



演出はグリシャ・アサガロフ。背景にはヴェネツィアの運河が見え、ヴェネツィア風の
デザインの飾りが随所に施された階段や建物、左右には宮殿の回廊のような装置があり、
格調ある舞台でした。最後にドン・ジョヴァンニが地獄に落とされたあと、沈んで行った
床が上がってくると騎士長の像の台座とドン・ジョヴァンニの所持品、そして首が取れた
大きな女性の像が横たわっています。女性の像はドン・ジョヴァンニが傷つけてきた数々
の女性を象徴しているのでしょうか。彼の遺品をドンナ・エルヴィーラが放心状態にも
近い様子で手に取り思いを馳せています。エルヴィーラは、それでも最後まで
ドン・ジョヴァンニが必要だったのでしょう。格調ある非常に美しい舞台で、再演を
期待したいと思います。



素晴らしい歌手陣、美しい演出。非常に満足度の高い公演でした。






新国立劇場 モーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」



ドン・ジョヴァンニ:ルチオ・ガッロ
騎士長:長谷川 顯
レポレッロ:アンドレア・コンチェッティ
ドンナ・アンナ:エレーナ・モシュク
ドン・オッターヴィオ:ホアン・ホセ・ロペラ
ドンナ・エルヴィーラ:アガ・ミコライ
マゼット:久保和範
ツェルリーナ:高橋薫子


合 唱:新国立劇場合唱団


管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


指揮:コンスタンティン・トリンクス



演出:グリシャ・アサガロフ




2008年12月9日 新国立劇場


閉じる コメント(4)

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満足できる公演て意外と、ありそうでなくって、率が低いものなんですよね!アタリだったのですね、よかったですねぇ〜〜、、特にお体が疲れてるときにアタリだったら至福のひとときですよね。

2008/12/10(水) 午後 8:57 らぷそでぃ▼*^▽^*▼

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13日(土)に初めて見ました。
少々、感想は違うのですが長さを感じない作品だと思いました。
ところで
騎士長が白塗りで歌う演出は、一般的なのでしょうか?

2008/12/15(月) 午前 5:44 irigomi45

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らぷさん、こんばんは。遅くなってしまってすみません。
今回の「ドン・ジョヴァンニ」は久々に当たりという感じがしました。新国立劇場でもこのレヴェルの公演が続くようになると嬉しいですね。

2008/12/21(日) 午後 11:33 [ mar*in*bba*o ]

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irigomiさん、こんばんは。
騎士長は石像か銅像か、ということで、新国立劇場の以前のプロダクション、ウィーン国立歌劇場のものですが、そちらのほうはたしか深緑のブロンズ像だったと思います。

2008/12/21(日) 午後 11:37 [ mar*in*bba*o ]

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