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「デス・ゾーン8848M 〜エヴェレスト大量遭難の真実」
アナトリ・ブクレーエフ(/G.ウェストン・デウォルト)著
イメージ 1
 
 

また、読んでしまったー。

1996年5月10日エヴェレスト大量遭難事故についてです。
ロブ・ホール隊(アドベンチャー・コンサルタンツ隊)と、スコット・フィッシャー隊(マウンテン・マッドネス隊)
に起きた悲劇について書かれた本です。
 

ロブ・ホール隊の顧客、ジョン・クラカワーの著書が「空へ」。
スコット・フィッシャー隊のロシア人ガイド、アナトリ・ブクレーエフが著したのがこの本です。
ブクレーエフは当時、超一流の高所クライマーとして著名な存在でした。
 
 

クラカワーは「空へ」の中で、ブクレーエフがガイドとして適切な処置をしなかったと批判しています。
 
 

ブクレーエフは無酸素で急ぎ登頂を済ますと、まだ登攀中の顧客を置き去りにしてさっさと下山してしまった、というのです。
クラカワーに限らず、ブクレーエフの行動を疑問視する声は多かったようです。
ブクレーエフは、その批判に応える形でこの本を出版しました。
 
 
 
 
 
 
確かにブクレーエフは自分の顧客に対して放任主義でしたが、いざ大量遭難という絶望的な事態に直面すると、身の危険を顧みずブリザードの中、何度も救助活動を行ったのです。
 
零下20℃を大きく下回る寒さと、時速100km/hを超える猛吹雪、そしてホワイトアウトで視界はほとんどなく足下さえ見えないような状況でした。
いくら登山のプロとはいえ、一歩間違えれば自分が遭難死していたはずです。シェルパでさえ身の危険を感じ、誰も救助に協力しようとはしませんでした。
そんな中、彼は一人で真夜中の激しい嵐の中へ立ち向かっていったのです。
それはエヴェレスト登山史に残る、英雄的な救助劇でした。
 
 
 
「空へ」もよかったけど、この本もよかった。
物事はやはりいろんな人の意見を総合的に判断しないとフェアでない気がします。

そして感想としては、僕はどちらかというとブクレーエフの考え方に、より共感しました。
 
 
 
クラカワーの批判に対するブクレーエフの主張はこうです。

無酸素ではガイドとして十分な対応ができないのでは、との疑問には、
自分の登山歴からいって8000m峰を登るときに無酸素はいつものことで、隊長のフィッシャーも了解していた。
 
顧客を置き去りにして下山したことについては、
その日、顧客たちの登頂時間は遅れていて彼らの酸素ボンベが空になる可能性があった。予備のボンベがある第4キャンプに急ぎ戻り、もしもの場合に備え待機した方がいいと考え、フィッシャーと協議して同意も得ていた。
(フィッシャーも緊急事態におけるブクレーエフの経験と技術に期待するところがあった。)

当時、頂上にはブクレーエフ以外にもう一人のガイド、ベイドルマンやシェルパたちもおり、フィッシャーもまもなく登頂するところまで登ってきていた。自分が下山してもサポート体制になんら問題ないと彼は判断した。
顧客たちが登ってくるまで、頂上で待ち続けてもいたずらに体力を消耗するのみでガイドとして顧客に何もしてやれない、自分にできることはほかにないか、と考えた。
 

といった感じ。

クラカワーの批判に同調する多くの人たちには、費用を払った顧客にサービスをほどこすのはガイドとして当然、ガイドとは常に顧客のそばについて細心の注意を払うもの、という固定観念?があると思うのです。

しかしブクレーエフにしてみれば、高所登山では何が起こるかわからない、ときにはガイドさえ無力であり、普段から人に頼らず自分の身は自分で守る、という考えを顧客に理解して欲しかった、ということだったようです。
遠征期間中、彼は顧客に対し、困難はなるべく自分の力で解決するよう常に課題を課していました。
 
これが普通の観光ツアーだったら、顧客の面倒を見ないガイドは批判されて当然ですが、エヴェレスト登山のガイドとなると話は別、と僕は思うのです。
たとえ、顧客が高額のガイド料を払っていたとしても、です。
 
 
 
 
 
顧客に十分なサービスを提供しなかった、と批判されるブクレーエフですが、緊急事態には危険を冒し、高所登山のプロである彼にしかできない勇敢さで何人かの遭難者の生命を救いました。
この働きこそガイドとしてエヴェレストで彼に与えられた本当の役割だったのだと思いました。彼は死力を尽くしました。
山を熟知した人間として、顧客に対しこまごまとした身の回りの世話をするのがガイドの仕事、とは彼は思っていなかったのです。
 
 

イメージ 2ちなみにこの本は彼の遺作となりました。
彼はその後、アンナプルナで雪崩遭難死しました。
エヴェレストで大惨劇に遭遇しながら、それでも登山家の彼にとって山は心の安らぐ、我が家同然の存在であり続けたのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

この記事に

  • アバター

    確かに物事は、片方から見ると、
    隠れた部分が見えませんよね。
    はやりの3Dも、片目では、立体像を結べません。
    世の中は、片方の言い分だけでは、真実は見えてこない。
    わかるような気がします。

    コウ

    2010/8/1(日) 午後 8:30

    返信する
  • アバター

    コウさん☆
    ブクレーエフは自分に対する批判に正確に応えるために、この本を出版しました。
    クラカワーの本にはない事実も書かれていて、とても興味深かったです。

    MASA

    2010/8/1(日) 午後 10:04

    返信する
  • 顔アイコン

    この本を読んで先方はどういう反応だったんでしょうねぇ…。
    言い訳としかとらえてもらえなくても、真実を伝えたい、あとは読者にゆだねるという感じなのでしょうか…。
    経験豊富な登山家であっても、雪崩で遭難死してしまったんですね(>_<)

    [ こえだ ]

    2010/8/1(日) 午後 11:38

    返信する
  • 顔アイコン

    こえださん☆
    どんな言い訳しても顧客を残して先に下山したことに変わりないじゃないか、と感じる人も多そうです。そうなると営業登山隊のガイドって一体何なんだ、という根本的な問題になりますね。
    大自然の前で人間がいかに無力か、経験豊富な登山家ほど知ってるんでしょうね。山がもつ魅力と死の危険が隣り合わせというのは、とても悩ましぃ。。( ̄~ ̄;)

    MASA

    2010/8/2(月) 午前 0:34

    返信する
  • こんにちは、MASAさん。
    「ブリザード」「猛吹雪」とヒンヤリワードで快適〜(*_*)?
    違う違う!! 自分の命を金銭でガイドに任せる方がおかしいですね。
    ガイドはガイドでしかない。やはり自分を守るのは自分だという事をちゃんと認識しない事には… 例えは悪いですが、工事現場で交通整理してるおじちゃんがゴーサイン出して事故しても、自己責任ですもんねー!(レベルが低すぎでスミマセン)

    [ risa ]

    2010/8/2(月) 午後 3:33

    返信する
  • エベレスト登山に挑むくらいの顧客であるならば、ガイドの役割をどう位置づけるか、またそのことについてガイドとの意思確認があったと思うのですが。相互の確認に基づく行為であれば、周りがとやかくいうことではないと思いますね。
    最低限の身の安全は自分で守る、というのが前提でないとエベレスト登山なんて難しいんじゃないんですかねえ。。。

    [ ミー ]

    2010/8/2(月) 午後 5:13

    返信する
  • アバター

    risaさん☆
    誰かが何とかしてくれるだろう♪(f^^)、は山では通用しないですよね。
    本を読んで、僕はガイドよりも一部の顧客にやや問題を感じました。エベレストを甘く見てなかったか、山の認識は浅くなかったか。。ガイドに頼り過ぎはよくないですね!

    でも、普通の観光ツアーならガイドをコキ使っちゃっていいと思いました♪
    交通整理のおじちゃんは頑張ってくれてるけど、信用しない方がいいよね〜(´▽`)

    MASA

    2010/8/2(月) 午後 10:34

    返信する
  • アバター

    ミーさん☆
    十分な高所登山経験&技術を備えた顧客も多くいたはずですよね。エベレスト遠征には高額の費用が必要となるので、必然的に顧客は高所得層が多くなります。金持ちがどれだけ謙虚に山に向き合ってるのか?と、つい考えてしまうのは貧乏人のひがみです(^^;)
    事故は多くの要因が複雑に重なり合って起こったものですが、ガイドのブクレーエフに非難が集中し過ぎてるようにも感じました。。
    ガイドはスーパーマンではない、と思うんですよね。

    MASA

    2010/8/2(月) 午後 10:52

    返信する
  • こういう本はあまり読まないんですが(ペコリ)
    記事を読んでいると・・・興味わきますね!

    くるみ

    2010/8/8(日) 午後 8:03

    返信する
  • アバター

    くるみさん☆
    山に登る、って興味がない人にとってはものすごい退屈なことなんでしょうネ(^^;)
    もし自分が同じような状況に置かれたら・・・と想像しながら読むとハマります。

    MASA

    2010/8/8(日) 午後 11:39

    返信する

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