モルモット「しろ」の生活

モルモット「しろ」の生活を紹介します。

お話

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

怪談2〜ランナー

イメージ 1

ランナー

「あ、お気づきになりましたか。」
タクシーの運転手が、不意に声をかけてきた。
前を見ると、バックミラーから片目でこちらを見ている。
「え、まあ・・・・。あれって、確かに、浮いてますよね・・・。」
私は答えた。

ここ数週間、結構忙しい。終電の時間が過ぎて、タクシーで帰ることが、しばしばある。
私の会社は丸の内近辺にあって、タクシーで帰ると皇居のお堀端を走る。
前から、不思議だったのだ。こんな夜中に、走っている人がいるなんて。
「熱心な、ランナーもいるもんだ。」
私もランニングをしている。走る楽しさや走行距離を伸ばす楽しさも知っているつもりだ。
休日に出勤するときは、時々、ランニング通勤することもある。
しかしだ、夜の1時に走ろうとは思わない。危険なこともあるだろう。
だが、タクシーで帰るたびに、走っている人が必ずいる。それも一人では無い。

そして、今日。雨の、タクシーでの帰り道。
たった今、気がついたのだ。
ランナーの足が浮いている。足が地面についていないことに・・・。
「大丈夫ですよ。車の中には入ってきませんから。」
運転手は笑った。
ランナーが、こちらを向いて笑った。そして、タクシーをぶっちぎって走りさった。

閉じる コメント(4)

閉じる トラックバック(0)

怪談〜自動ドア

イメージ 1

自動ドア

あ、まただ・・・
自動ドアが開閉している。
僕の働いているオフィスはエレベーターホールから、自動ドアを開けてはいってくるようになっている。自動ドアにはセキュリティーがかかっていて、横の壁にセキュリティーカードをかざすとドアがひらくようになっている。
僕の机は、自動ドアを入って左側に回り込んだところなので、自動ドア自体は見えない。が、開閉している音は聞こえる。

今、深夜1時。
オフィスには僕一人だ。このところ忙しくて残業が続いている。
警備員でも来たのかなあ。でもちょっとへんだ。もう、1分以上も開いたり閉じたりしている。故障かな。
やがて音はやんだ。オフィスはまた静まりかえった。

僕は立ち上がり、自動ドアに向かった。
僕の足音が響く。こんなに静かだったけ。
自動ドアの前についた。何事もなく閉まっている。
しばらく、ドアを見ていると、ドアが開閉し始めた。
瞬間、背筋に冷たいものが走った・・・。誰かが出入りしている・・・。見えないけど・・・。
僕は、あわてて机に戻って裏口から退社した。

翌日、会社に出て、それとなく周りのみんなに聞いてみると、何人か同じような体験をしているようだった。多くは「へんだね。」的な反応であったが。

友人に子供のころから霊の見える男がいる。事情を話して見てもらうことにした。適当に仕事をでっちあげて、夕方から会社の会議室に待機してもらった。午前1時、二人で、自動ドアの前に立った。今日は来るだろうか。

自動ドアは例によって、突然開閉し始めた。
友人は、ぼおっとドアをみつめている。
「えーとっ、無精ひげをはやした中年の男、しわくちゃのワイシャツ。」
「見えるの?入ってきたの?」僕は聞いた。
「次は、40代の親父、赤いネクタイ。コンビニの袋さげてる・・。」
「女、30代。眼鏡。神経質そう。」
次々と友人はそこを通る人の特徴をしゃべる。僕には見えないけど。その数、約10名。
そしてドアは閉まった。

「昔、このオフィスで死んだひとかな。」
「違うと思う。彼らは生きているよ。」
「えっ。」
「生霊ってやつだよ。こころあたりない?」
そうか・・・。
「一人目は、僕の課の先輩だ。独身で仕事命みたいな人。よく会社に泊まっている。ワーカホリックなんだ。今日は帰ってるはずだけど。」
「心だけ、霊になって来てるんだよ。」
「そうか。二人目は、帰宅恐怖症の総務課長だ。用もないのに遅くまで残業してる。家で、女房と子供に虐待されてて、居場所がないそうだ。会社でコンビニ弁当の晩飯くってる。さっき、しぶしぶ帰ったけど。」
「また、戻ってきたんだよ。心だけ。」
「3人目は、人事部の女性だ。同期で彼女だけ残っちゃって、でも、居場所は会社しかないのかなあ。」
「みんな、会社にもどってくる理由があるんだろう。彼らが次々とこの自動ドアからなんどもなんども入ってきているんだ。」友人はそういった。
「おはらいとかできないの。」
「出来ないことはない。でも、そうすると、霊の行き場がなくなってしまう。このままのほうがいいんだよ。別に害はないだろう。」
「そうだね。ちょっと気味が悪いけど。」

友人はそこで、あらためて僕に向かってこういった。
「一人だけ、出て行った男がいる。」
「えっ・・・。だれ?」
友人は僕の顔を見つめてこう言った。
「おまえだよ。おまえが出て行ったんだよ。なんども。」
「僕は、ここにいるけど・・・」
「おまえの霊が、帰ろうとしてるんだよ。とっとと、帰るんだ。でないと、いつか入ってくる人になっちゃうぞ。」
背筋が寒くなった。そうだ、まだ大丈夫。家に帰るんだ。今のうちに・・・。

それ以後、残業を控えるようにして何年にもなる。だから、その後、自動ドアがどうなったのかは知らない。
友人の言ったことが本当だったのか、本当に僕の霊が出て行ったのかどうかは、わからない。けど、たぶん、今も僕の霊は深夜1時に会社には行ってないと思う。     

                              完

閉じる コメント(0)

閉じる トラックバック(0)

全1ページ

[1]


.

mas*ta0*
人気度

ヘルプ

Yahoo Image

ブログバナー

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
  今日 全体
訪問者 0 5840
ブログリンク 0 5
コメント 0 179
トラックバック 0 0

開設日: 2007/3/24(土)


プライバシーポリシー -  利用規約 -  ガイドライン -  順守事項 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2012 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.