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自分でもかなりわかりやすく書けた気がするので、せっかくだからここにも載せよう。
今思い起こせば、油圧減衰機構つきの下肢装具は、人間の歩行と身体にきわめてシンプルに合わせて作ったのに、なんか間違った方向に行きかけてないか?
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片麻痺者のための油圧緩衝器つき下肢装具「ゲイトソリューション」
【 初めに 】
脳血管障害や外傷による片麻痺者の人数は年々増加しています。医療の発達によりリハビリテーションの効果が高く以前に較べると病院を退院し社会復帰する人が多くなっています。軽微な麻痺が残るだけでほぼ元の健康な状態に戻る人、歩行機能の全廃で車いす使用の人、など個人の状態で障害の度合いは変わりますが、多くの方が歩行補助のために杖や下肢装具を使用することになります。 腰から下の麻痺した足の外から装用し立位や歩行の支えとなる福祉機器を下肢装具と言いその下肢装具の支給本数は身体障害者福祉法(現:障害者自立支援法)によるものだけでも年間20,000件を越え、高齢社会の到来にともなってその数は今後も増加することが予想されます。 現在使用されている下肢装具の約80%が膝関節から下の足関節のみの補助を行う短下肢装具と言われるものです。短下肢装具は片麻痺者の日常生活に欠かせない用具であるため、使用者は日常のほとんどの時間装具を装着して室内および屋外の移動を行っています。また、下肢装具は社会に復帰するときだけではなく、近年では脳血管障害発症後にできるだけ早く着けることでより効果の高い歩行の獲得が期待できるために装具療法として位置付けられ、リハビリテーションにおいて歩行訓練に装具が高い頻度で使用されています。 【 開発製品の概要 】
片麻痺者の従来の下肢装具はただ単に足関節を固めるだけでした。そのため立つ事には有意ですが足首(足関節)固定となり底背屈(底屈=爪先を伸ばす、背屈=爪先を反り返す)が困難なために滑らかな歩行は適いません。つまり歩く事に関しては全くの不利益でした。まるでいつもスキー靴を履いて歩いているようなものです。 私たちは多くの臨床データの歩行分析結果より片麻痺者の歩行補助のために装具に必要な機能つまり底屈と背屈を別に制御する条件を明らかにしました。往復の違う動きを制御するためピストンとシリンダーを用いた油圧による緩衝機構を足関節に配置し歩行で踵が着いた衝撃を吸収し健常者が歩く様にすべらかな歩行獲得を可能にする片麻痺者のための油圧緩衝機能付き下肢装具「ゲイトソリューション(写真1)」(以下GS1)と「ゲイトソリューションデザイン(写真2)」(以下:GSD)を開発しました。 【 製品の特徴 】
GS1/GSDともに人の足関節にあたる位置と同じ軸となる装具に位置に油圧ユニット(写真3)が取り付けられています。GSは人が立った状態の足関節が90度を中間位ととらえて、底屈の際には油圧緩衝が働きます(これは歩行時の踵接地を意味します)。油圧の緩衝機構とは小さな孔を粘性のある油が通り抜ける際の抵抗を利用し衝撃吸収や振動減衰に効果を発揮します。バネやゴムと違って押し返す反力ではなく力を受け止める抗力が働きます。またこの孔の大きさを変えることで足関節の硬さを個人の歩行の状態に合わせることが可能で、従来の下肢装具にはできなかった画期的な機構です。調整はユニット上部のダイアルをドライバーで回すだけの簡便さです。効力は底屈側にのみ発生し背屈側に動く方向つまり前に進む向きには何も阻害することがありません。爪先が伸びた位置から中間位に戻るまではシリンダーに内蔵された微力なスプリングに押されてピストンが元の位置に戻ります。その力は同時に足の爪先を中間位に押し戻す背屈位への力となります。これを歩行の動きに照らし合わせると片麻痺者の下がった爪先を挙上して地面に引っ掛かるのを防ぐ動作となります。 GS1は40Nの効力の大きさを持つユニット単体であり、ポリエチレンなどで本人の身体を形取って作った装具に組み込んで使用します。個々に合わせるために形状の適合や軸位の設定は良好です。 GSDはGS1の油圧ユニットを効力20Nとし全体をコンパクト化しデザイン化することで優れた意匠を持ちます(グッドデサイン賞/レッドドットアワード受賞)。足底部をコンパクトにすることで装着したままで好みの靴を利用することが可能となり外出時の違和感がなくなりました。GSDは金属支柱を備え強力な固定力を獲得しながらもオープンフェイス(広い開放領域)を可能とし良好な通気性を持ち視覚的な違和感をなくしました。また前方カフと後方のカフベルトにより装着方法を後からエントリーする方式に変更することで片麻痺者が足を持ち上げることなく座ったまま足を前に出すだけで装着できます(写真4)。 従来のプラスチック製下肢装具はネジレ方向には柔らかく人間の関節部の骨の変形を防ぐには不向きでした、しかも縦方向には硬過ぎて歩行の支援をするには不十分でした。個々の歩行状態に合わせて硬さを変える為に削り込むのは熟練を要しますし変更すると再度固くすることは不可能でした。また従来の金属支柱付き下肢装具は大柄で重く立位の確保や変形の防止には向いていますが片麻痺者の積極的な歩行支援には不向きでした、 加えてデザイン面はとても社会生活を送るに値する形状ではない不適さでした。GS1/GSDともにこれらプラスチック製下肢装具、金属支柱付き下肢装具の欠点を払拭し、軽くて高剛性であり個々の体形や残存能力に合わせた調整域を有するなど、単に片麻痺者の歩行支援するだけでなく装用性やデザイン面までも向上することで片麻痺という障害を持つ人みなさんの生活レベルの向上まで果たすことが可能です。 【 製品開発時の色々 】
従来の補装具の開発は医療からの要求に対して福祉機器メーカーや義肢装具士が応える(具現化する)手法が多かったのですが、今回の開発は人間工学のエンジニアと機械要素のエンジニアがジョイントして開発を進めてきました。そのためになかなか社会の理解や認知を得ることが難しかったです。学術団体や学会発表だけではなく企業の中でも理解を得られなかったのはその効果を広く臨床領域に伝えたいタイミングでしたのでつらかったです。 しかしまだ試作品もなく理論モデルしかない当初よりNEDO事業には理解を頂いてGS1の開発。またやり残した課題の解決のために再度の採択を頂いてGSDの開発に取り組めたことには感謝しています。新しい福祉機器を全国で知ってもらって使ってもらうためには厚生労働省の認可を得ることも大事な要素ですがその認可にも7年の月日がかかりました。その支援についてもNEDO事業の担当者にはお世話になりました。このテーマだからではなくGS1/GSDの開発と市販化にはNEDOのシステムは必要不可欠でありました。重ねてお礼を申し上げます。 【 今後の展望、計画 】 ゲイトソリューションは片麻痺者の小さな歩幅の範囲で制御していますが、中間位から前方へは何の制御も無いフリーの状態です。そのために膝の位置を認識できる麻痺者に有効ですが膝折れするのが自覚できない人には十分な制御とは言えません。今後はこの背屈位の制御を可能とした下肢装具の開発を進めて行きます。具体化できれば歩行における足関節の全範囲の制御が可能となり、脳血管性片麻痺者以外の歩行障害者、例えば先天性の歩行障害や各種の足関節と膝関節の障害、ケガの治療中の保護具代わりなど多くの用途が見込めます。 片麻痺者用の装具としてもピストンのストローク中のオリフィス孔の配置を見直して人間の歩行パターンに即した動きを装具に持たせることで脳血管性片麻痺の歩行訓練の効果をあげ社会復帰の一助になりえるように研究開発を進めていきます。 |
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忙しさにかまけて、すっかり忘れてたって言うかやる気にならなかった執筆のひとつ。
地域ケアリング誌への原稿、3000〜4000文字 プラス 写真2〜3枚
「NEDO助成による新しい福祉用具の紹介」
マジメにやんなきゃたぶんえらいところから怒られるはず…。
でも・・・。
さっぱり神が降りてきませ〜ん!
さっきまで熔接の神が降臨してたもんなぁ。
追記:
でも、ボクってやっぱり物作りの人です。 最近はプロジェクトのまとめ役とか、司会役とか、企画書書いたり、企業スポンサーのお願いのやり取りや、文字書いたり、調整役したり手配したり、そんなんばっか。 おもしろいけどなんだかなぁ…。消化不良。それってボクがすることかなぁ?まぁ社内で回ってくることでお給料の範囲だから、しかも自分が選んでやってるんだから贅沢な悩みで、ワガママなんですけど。やっぱりボクがせんでもええやんか、って思います。他の人がしてもええんとちゃうん?
確かにその方面の能力はちょっと人より高いようなんですが、でももっともっと物作りというか開発や発案っていうか、臨床と工学からの発想の具現化の方が優秀だと思うのです…。 エラソウかな?思い上がってるかな?傲慢かな? あ〜、でもそのがんばって具現化したものも、いつも回りに理解してもらえなくて。
何年か経ってやっとこさ「あれってすごいよな!」ってわかってもらえる場合が多い。
これって先見の明がありそうだけど、要はその時に必要な人ではないっていうことかも。
やっぱり、ボクはここではそぐわないのかな?
人にさせたら良いのかな。自分でしたら良いのかな。ボクは誰に何をしたら良いんだろう。そろそろ夢見がちなことばっかり言ってないで、実績残すか、人を育てるかしないといけない時分です。 |
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4. 最新の義肢装具
単に支えでしかなかった古代の義肢装具から,機械要素による制御,そして油圧空圧による制御となり,最新では電子制御も導入されている.
Fig12左は角度センサーとAIを備えたエネルギー蓄積開放式の義足足部である.予め義足使用者の身体条件を入力するだけで,その後は日常の歩容(歩幅や歩隔や速度)と足関節の角度を記憶し,義足使用者の現在の状況“座位から立ち上がる”“坂道を上がり始める”“階段を降り始める”などを判断し,その体勢にあった足関節角度に自動で設定する.今までの義足使用者が路面の変化にいつも注意を払い俯いて対応していた動作を足部自身が判断し反応し動作する.
Fig12右は学習機能に特化するAIと磁性流体により粘性抵抗の調整機能を備えた義足の膝継ぎ手である.足部と同様に義足利用者の特徴を判断しなめらかな制御や膝折れの防止の制限を膝継ぎ手に加える.磁性流体はStick-Slip現象や不規則な動きが無く無段階に調整を行う(2).
特筆すべきはこれらの高機能な義肢部品が注目を集める高活動な義肢ユーザーに向けた製品ではなく高齢者もしくは加齢による虚弱者に向けた製品である点である.
Fig. 12 The cutting-edge Prosthesis Parts, PROPRIO-FOOT(L), RHEO KNEE(R)
5. 人間を超える義肢装具
前出の最新の義肢部品には動力は付いていない.従来の義足とロボットを分ける基準は「人間の身体に付き,動力がない」のが義足であった.しかし最先端の義肢では動力付き膝を持つ義足が実用化されている.完全な自己制御ではなく健足の動きをコピーする段階ではあるが,利用者本人にはコントロールしやすい膝継ぎ手である(Fig13).
Fig. 13 Powered-Prosthesis, POWER KNEE
足部ではCFRPを主材料とすることで生身より速く走る切断者も現れた.両脚義足のスプリンター,オスカー・ピストリウス(Fig14)は2007年7月,ローマで行われた陸上競技にて健常者7人と男子400mレースに出場し,トップと0秒18差の46秒90で2位に入った.結果としては北京オリンピックへの出場は適わなかった.
人間工学から考えると,トレーニングを積んだ競技者でも全速での走行時,下腿部の筋肉(ヒラメ筋群)は100〜150m分の乳酸しか貯める事ができない.しかしエネルギー蓄積開放足部の付いた義足を見に着けたオスカーは静止立位時から飛び上がる事こそ不可能であるが,走行時に乳酸過多で下腿部から下が動かなくなることはない.
既に単一機能だけで考えれば人工物である義足は生身の人間の持つ機能を遥かに越えていると言える.
Fig. 14 Oscar Pistorius, & his prosthesis
6. まとめ
工学や医療の面から見るこれらの高機能な補装具は各方面から常に注目を集めるが,実際のユーザーが欲する義肢や装具とはいかなるものであろうか?
Fig15は義肢装具士ロドルフォ・マルロ・オルティスバスケス氏が長い経験則から開発したマルロアナトミカルソケットである.従来の義足では不可能であった安定した椅子座位,深い前屈み姿勢,あぐら座位が容易に可能である.また身体ラインに沿うことからタイトな衣装を着ることも可能である.
Fig. 15 M.A.S.Socket, Skillful-workman Marlo Ortiz’s Socket
真に必要な支援技術や福祉機器とは,日常生活で健常者と同じに生活と活動ができること,それだけである.
日常生活に不利な欠損した部分がある事は明白な事実であるが,利用者の用途や目的に添った技術を選び,利用者の実生活に沿う最適な形で具現化することがこれからの社会福祉における支援工学であると考える.
参考文献
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3. 工業技術と現在の補装具
第二次世界大戦以降には補装具の使用者が戦病兵や戦傷者ではない割合が増えてきた.特に1970年代からはアメリカとヨーロッパを中心に栄養の偏りや運動不足が起因となる糖尿病による血液循環不良からの下肢切断が増え,脳閉塞やクモ膜下出血など脳血管障害による半身麻痺(片麻痺)の発症率が高くなり,それらに対応した義肢装具の需要が増えている.義肢装具の技術革新も二度の世界大戦や産業改革や自動車技術の水平展開ではなく,航空機技術やロボット工学やIT産業の技術が利用されつつある.
また現在の医療では怪我や麻痺による運動機能障害を持つ人の動作解析技術が構築され,それより導かれた理論を元に動力こそ持たないが油圧や四節リンクなどの機械要素を義肢装具に組み込み身体の動きに制限を加えたり制御する義肢装具が使われている.
3-1現在の義肢
人間工学と生体工学の発達により,人間の生体構造を模した以前の義肢部品には無い構造を持つ義肢部品が現在では多く用いられる.
人体の膝関節の構造はFig9右に示すごとく2つの大きな骨(大腿骨と脛骨)の前に膝蓋骨が覆う単純な形であり,大腿骨と脛骨は滑り転がり軸受けの機能を果たしている.動作時に逆向きへ曲がるのを防止するのが膝蓋骨の役目であり他に4本の靭帯が制限をかけている.この機構を人工物で置き換える技術は容易ではなく似通った動作の再現として四節リンク機構を2つ組み合わした膝継ぎ手が利用されている(Fig9).
Fig. 9 Knee-joint, Artificial(L), Living-body(R)
人体の足関節から足部の構造(踝から先を示す)は,Fig10右に示すごとく26個の骨から複雑に構成されている,足関節である踝は1つの機械軸ではなく4つの骨により反り返りと捩れと旋回の機能を果たしている.踝から先の踵や手指同様の四節を持つ趾骨の構造は膝と同じく滑り転がり軸受けである.歩行や跳躍の衝撃を26個の足部の骨と2本の下腿部の骨に付く筋肉で緩衝し,また違う部位の筋肉を用いて蹴り出しの機能を果たしている.この仕組みと同等の能力を人工物で再現するには構造上の問題と出力(動力である筋肉)の問題はまだ解決しえていない.現在では材料の持つ撓りを用いて似た動作を得ている.30〜50t級の引っ張り強度を持つ炭素繊維強化樹脂4枚で構成された足部は踵接地の際にブレードに加えられた荷重を撓みのエネルギーとして蓄積し爪先接地から体重が前方に移動する際にエネルギーを放出し歩行の支援となっている(Fig10).
単純なヒトの膝を機械構造で再現するには多くの部品点数が必要で,逆に多くの骨を持つヒトの足部を再現するには少ない部品点数である点が興味深い.
Fig. 10 Parts of foot, Artificial(L), Living-body(R)
3-2現在の装具
装具の利用者が従来の骨折時の固定や麻痺による下垂足の支えだけで良かった時代から,義肢同様に装具も歩行支援の機能が求められるのが現代の装具の特徴である.
世界中で高齢者が増加し,少子化による将来の生産力の減少が予見される現代では,障害者の多くを国家や地域で世話し介助することは事実上不可能であり,可能な限り多くの人に自力で移動し自立を望むのは現代社会の命題ともなっている.
また医療の見地からも過去の固定だけの装具では廃用性の麻痺や関節部の拘縮や硬化など負の側面も明らかになっており義肢同様の制限要素を持つ機械構造で歩行を制御する装具が増えている.つまり現代の下肢装具で必要とされる主な機能は,十分な固定力に加え、底背屈制御(底屈:爪先が伸びる動き,背屈:爪先が反り返る動き)である.
装具は人体の外側に装用されるためにスペースの制限があり,歩行による加速度の影響下にある体重を支える機構でなければならない.Fig11左は金属バネを用いた爪先挙上(背屈補助)の特徴を持つプラスチック製下肢装具である,Fig11右は歩行の動作解析より導かれた4つの相に足関節の動きを分け,踵接地の底屈時の衝撃を油圧のダンパーで吸収し,背屈時には微細な補助を金属バネで行い,中間位から先の蹴り出しは制限をかけない一連の制御を行うピストン&シリンダー式の油圧制限機構を持つチタニウム製の両側金属支柱式の下肢装具である.
Fig. 11 The latest Ankle Foot Orthosis, DACS-AFO(L), Gait-Solution(R) |
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開設日: 2009/9/1(火)