勝手にメディア社会論

メディア論、記号論を武器に、現代社会を社会学者の端くれが、政治経済から風俗まで分析します。テレビ・ラジオ番組、新聞記事の転載あり

語学を学ぶのに海外に行く必要はない〜語学留学しても英語達人にはなれない(下)

インターネットは語学学習のための最高の環境

本気で語学(今回は英語に焦点を当てている)を学ぶ気があるのならば、はっきりいって、現在では現地まで行かなくても十分学習は可能だ。インターネットを中心としたメディア環境が十全な学習環境を用意してくれるからだ。ネット上にはタダで学べる教材が山ほど転がっているし、Skypeを利用すれば格安でマンツーマンの英会話授業が受けられる。現地、たとえばアメリカで使われている句動詞やイディオムを学びたければ、映画を見て字幕(英語)を参照しながら覚えればいいだけの話だ。さらに熟達したなら応用練習として欧米のテレビ番組をチェックすることもできる。ようするに、その気になれば語学、とりわけ英語はタダ同然で学習することが十分可能なのだ。

では、留学しないでどうやって勉強するか?関心のある方はその参考例として有子山博美(ウジヤマヒロミ)さんのサイト「Romy’s English Cafe〜英語学習お助けサイト〜」をチェックしてみて欲しい。彼女は語学留学することなく上記のような方法で英語ペラペラになった御仁だ(TOEICも満点。ただし本人は「こんなものは、実践英語にはなんの役にも立たない」と一刀両断している。あんな「お上品」な英語は、はっきり言って使いものにならないというわけだ)。ちなみに彼女の実力、そしてその方法を手短に知りたければHapa Eikaiwaの「Hapa 英会話Podcast66回」(http://hapaeikaiwa.com/2015/07/31/第66回「インタビュー:国産バイリンガル(romy)」/)が参考になる。ただし、このインタビュー、全部英語です(もちろんPodcastでも聴ける)。

「英語を学ぶ」前に「英語を学ぶ学び方を学ぶ」必要がある。

もちろん、英語をどう学んでいけばよいのかについてのスキルは絶対に必要。つまり、語学を学ぼうとする人間は「語学を学ぶ」よりも先ず「語学を学ぶ学び方を学ぶ」必要がある(僕は英語のプロパーではないので、この学び方を結局、アメリカに来てから三ヶ月ほどでリサーチした格好になった)。だから、これを知らなければネットのどの教材を使っても、Skype英会話をやってもダメ。もちろん語学留学してもダメ。逆に言えば、やり方を知っていさえすれば、どちらでもうまくいくし、カネと時間に余裕があるのだったら、もちろん、海外の方が「カンヅメになる」「コミュニケーションチャンスが広がる」という点でアドバンテージが出てくるけれど。まあ「学び方を学ぶ」環境、インフラができていないのは語学だけでなく、全ての課目がそうなんだけれど(ホリエモンが「大学は不必要」なんて辛辣なことを言っているのは、こうした教育環境のダメさ加減にツッコミをいれているわけで、今回取り上げた「英語勉強しようと思ったら現地に行く必要はない」というのと、まったく同じことだろう。要は方法論の問題のわけだ。で、それがネット時代の今なら、やり方次第で、いかようにもなる)。

語学産業に踊らされるなかれ

現在の日本は「国際人=語学が堪能」といったとんでもない勘違いが一般に定着しているし、英語ができる人間はグローバルな人材などと勘違いされている。一方で、大学を卒業した人間からすれば英語を10年間も学んできてこのザマということで、そのコンプレックは強い。この弱みにつけ込んで、やれ語学留学だ「聴き流すだけの英会話」だ(みなさん、間違えないでくださいね。聴き流すだけで英語ができるようになるなんて絶対ありえませんからね)、二週間の集中特訓だ(フィリピンで盛ん。二週間で英語が喋れるようになるなんてのは明らかにウソです(笑)。英語を使う度胸がつく程度)なんてビジネスが市場を賑わしているわけで。

語学を学ぶ「目的」と「方法」を明確化しよう 

語学の学習を考える際に必要なことは結局、二つだろう。

一つは「なんのために語学をやるのか」をはっきりさせること。いいかえれば設定するレベルをあらかじめ決めておくこと。海外旅行を楽しむレベルならそれこそシチュエーションだけを覚え、後はカタコトで話せれば事は足りる。仕事上で必要ならば、その範囲でだけ技術を磨けばそれで十分。ネイティブ以外とコミュニケーションするなら1500語だけでコミュニケーションを行うことを推奨するグロービッシュで十分だろう(グロービッシュでは、英語を「言語」ではなく、たんなる「道具」と割り切っている)。カネがあるなら通訳をつけてもいいだろうし。

ところがゴロツキ英語産業は「こうすればペラペラ」「ネイティブと渡り合うことができる」(ネイティブって誰?ただの米国人コンプレックス?)とベラボーに高い設定をこちらに投げかけてきて、英語産業の商品群購入を脅迫してくる。しかし、これら産業が「めざせ!」と煽っているレベルは学習者のほとんどが到達不可能なレベルであることは覚えておいた方がいい。もっとも、これだけ高い設定をしておいて顧客を引き込めば、延々とカネを巻き上げることができるという仕掛けなのだけれど(TOEICやTOEFLも、この片棒を担いでいるといえないこともない。TOEIC900点以上を取得したところで、ネイティブの英語は全然わからないはずなので。ネイティブはあんなに上品な英語は喋りません。”in and out”は「インナナァ」、”one of them”は「ワナブゼ(ム)」ですよ。ほとんど「揚げ豆腐(I’ll get off”)」「掘った芋いじくるな(What time is it now?”)」の世界。ちなみに「今何時?」は”Do you have the time?”が訊き方のメイン)。

そして、もうひとつは前述したように、まず最初に「学び方を学ぶ」こと。良心的な語学ビジネス、だからこそ儲かる語学ビジネスってのは、実はこの「学び方を学ぶ」ことを教えるビジネスなろう。ここに目をつけられないってのも、語学産業がまだ成熟していないってことなんじゃないんだろうか。でも、これって解ってしまうと、実は語学勉強にカネは必要ないということもわかってしまうんだけど。

その他の最新記事

すべて表示

26万人の米アニメオタクがロスに集結 ロサンゼルス、コンベンションセンターで7月1〜4日にかけてアニメエキスポ2016が開催された。これは日本アニメーション振興会が主催するイベント。第一回は1 ...すべて表示すべて表示

オヤジが若者をfacebookから追い出した? 6月22日のYOMIURI ONLINEの記事でITジャーナリストの高橋暁子氏が若者のfacebook離れの現状について分析を行っている( http://sp.yomiuri.co.jp ...すべて表示すべて表示

舛添要一都知事の政治資金不正運用疑惑とアイドル・富田真由さん襲撃事件。どちらも常軌を逸したと思える蛮行だ。一見するとこの二つ,違った種類の事件に思える。しかし、この事を起こしている二人の精神性,実は共通ではなかろうか。今回は、現在、巷で騒が ...すべて表示すべて表示


.


みんなの更新記事