無題
家族愛を説いて回った、ある信者の結末は・・・我が家の近所に、ある宗教の信者がいた。
その奥さんは家族4人で、ご主人と、小学生の子供さんが二人いた。
毎日のように信者仲間と一緒に、熱心に布教活動を続けていた。
我が家にも定期的に、聖書を片手にやってきた。
「愛について考えてみませんか」
「夫婦愛、家族愛とは、どういうものだと思いますか」
「この世はどうしてこんなに荒んできたのか、そしてどうしたら平和が戻ってくるのか
この冊子に書かれています」
・・・等々、玄関先で永遠と喋ろうとする。
私は遠回しに断っているのだが、なかなか相手に通じない。
だから5分、10分と、ずるずる時間が過ぎてしまう。
そして留守の日が続くと、便箋5枚に渡って聖書の教えの抜粋を小さな字で書き溜めて
我が家の郵便受けに入れてあったこともあった。
この手紙を書くのに、いったい何時間費やしたことだろうか・・・
私はうんざりする気持ち半分、そしてある種の畏敬の念も感じていた。
この人は、どうしてこんなに時間があるのだろう。
私は日々の家事と自分のことをするので精一杯だ。
そして最近、近所の人から、あの夫婦が離婚したことを知った。
その人の話によると、その奥さんは食事の用意も子育ても、ほぼ放ったらかし状態で
布教活動にのめり込んでいて、肝心要の自分の家庭の基盤が全く築けてなかったわけだ。
家族愛、夫婦愛について、どんなに本を読んで知識を入れても、何も考えず、ただ一生懸命
美味しい料理を作る奥さんの方が上かも知れないと、ふと思った。 |

