上野のシロクマさんはホッキョクグマさん? 【ファイルC79】2008.11.26
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昔、
コ〜ン〜ピュ〜タ〜アし〜ろく〜まくん♪
というエアコンのコマーシャルがありました。
シロクマくんは北極に住んでいるヒグマの仲間の一番大きなクマさんです。
でも、上野の動物園のシロクマ池に住んでいるのはホッキョクグマさんです。
どういうことなんだろうという話なんだけれど、実は、これは上野動物園が原因なのです。
明治24年(1891)年の初夏に話は遡ります。北海道北見国宗谷郡猿払村の山中でヒグマが2頭捕らえられました。そのうち一頭は、真っ白なアルビノ(白変個体)だったのです。
白い鳥や動物というのは、吉兆だという言い伝えがあります。これは様の東西を問いません。
古代日本でも650年に宍戸の国(現在の山口県)から白いキジが献上され、朝廷はこれを瑞兆とみて盛大な祝宴を設け、元号を「白雉(はくち)」と改めたぐらいです。
それで、宗谷郡のアイヌの人々は大喜び、この白いヒグマの子を熊祭り(イヨマンテ)に使うことにしました。
ところが、時の北海道庁の高官はその白いヒグマを天皇陛下に献上することを思い立ち、アイヌの人たちを説得して、東京に運び、明治天皇へ天覧に供したのです。その後、当時宮内省所管だった上野動物園に預けて東京市民に公開して、北海道に返しませんでした。
この叙述を読んで、私はアイヌの人たちがかわいそうだと思いましたが、調べてみると、熊祭り(イヨマンテ)のクマというのはカムイ(神)として生贄にされて、食べられちゃうわけですね。うへえ!
北海道庁の人も多分これを不憫に思って、だったら、天皇陛下に献上しようと思ったのじゃないかな?
クマの命が救えて、天覧に供し、みんなが見ることができたんだから、これはこれで良かったのかもしれません。
その後、この白いヒグマは、日本の動物園史上、大きな役割を果たすことになります。
翌明治25(1892)年、このクマさんが病気になりました。歯の付け根が腫れて、食欲不振になったのです。天皇陛下のクマさんだから、もしものことがあっては大変です。
当時の上野動物園には専任の獣医師はいません。それで、駒場にあった農科大学(現在の東京大学農学部の前身)獣医科のヤンソン氏に診察してもらうことになりました。
その診断書は宮内省に提出されたのですが、ちょうどそのとき出張から帰ってそれを見た動物園監督の石川千代松(ちよまつ)博士はびっくり!
ヤンソン氏は、白いヒグマをホッキョクグマと間違え、ご丁寧にも「冷房が必要」としていたのです。
この頃、上野動物園では、次第に外国産の動物も増え、ヤンソン氏のクマの種類の取り違えにも不安を感じた石川博士は、専任獣医の必要性を上層部に具申したようです。
この年の7月に東京帝国大学農科大学獣医学校乙科を卒業した黒川義太郎氏(1867〜1935)が帝国博物館の傭(やとい)として、月俸20円で動物園の最初の専任獣医となりました。
黒川氏は大正時代から、昭和初年の東京市時代まで、上野動物園の主任技師を務め、「初代園長」と呼ばれました。
この白いヒグマさんは、明治28年に亡くなります。
4年後の明治32(1899)年3月。今度は越後(新潟県)産のニホンツキノワグマのアルビノが献上され、上野動物園で飼われ、昭和7(1932)年まで33年間という長きに亘って飼育されています。
一方、上野動物園に初めてホッキョクグマが来園したのは、明治35(1902)年です。
ですから、当時の上野動物園には、白いニホンツキノワグマ(アルビノ=白変個体)さんとホッキョクグマさんが存在していたのです。
つまり2種類のシロいクマさんが混在していたのですね。ややこしいねえ!
それで、混乱を避けるために、アルビノのクマさんを『シロクマ』、ホッキョクグマさんを『ホッキョクグマ』と呼ぶようになったのです。
英語でもホッキョクグマは『ポーラーベア(極地のクマ)』と呼ぶので、落ち着くところに落ち着いたのでしょう。
普通は、ホッキョクグマのことをシロクマと呼んでも良いと思うのですけどね。
参考:『もう一つの上野動物園史』小森 厚著 丸善ライブラリー
ということで、上野のホッキョクグマさんの写真を見てね。
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アルビノのヒグマとホッキョクグマ、見た目の雰囲気の違いを並べて見てみたいですね(*^^*)ちょっと探してみようという気になりました。ポチ☆
2008/11/26(水) 午後 11:34
そうだったんだ!!全く同じ種で、呼び名が違うだけだとばかり思ってた!!初めて知ったわ!凸!
2008/11/27(木) 午前 2:35
みゆりんさん、ヒグマやツキノワグマもむくむくして別の可愛さがあるから、白いクマさん見てみたいですね。きっと当時シロクマさんもホッキョクグマさんも大人気だったと思いますよ。動物園はその時代時代で面白さがあったのですね。ポチありがとうございます。
2008/11/27(木) 午後 7:36
むにゅさん、基本的には、ホッキョクグマが正式名称で、その愛称がシロクマさんということなんでしょうけど、上野動物園ほどの歴史があるから、こういうこぼれ話があるのですね。動物園・水族館の表記はどこもホッキョクグマのようです。ホッキョクグマって覚えた方が南極には住んでいないって分かるので便利ですけど、シロクマさんもかわいい呼び方ですね。ポチありがとうございます。
2008/11/27(木) 午後 7:40
うわー!眼とろんさんって、何者?というくらいの面白い話でした。
ホッキョクグマに間違えられたヒグマも、そこから日本初の獣医が誕生したのも、面白いな〜、知らなかったな〜、ボクが知らないなんて恥ずかしかったりするな〜。
参考にされてる『もう一つの上野動物園史』には、そんなことが書かれてるんでしょうか?でもきっと眼とろんさんがまとめたほどには、素人に興味深くは表現されてないんでしょうね。
ライター眼とろんさんにポチ☆"
さて、『もう一つの上野動物園史』を手に入れて、動物園のことについても勉強し直すかな……。
きっと、結局は跳ばし読みして水族関係本の下に埋まってしまうことになるのだけどねw。
2008/11/29(土) 午前 1:10
カンチョ先生、『もう一つの上野動物園史』の著者は「上野動物園百年」の編纂委員長として執筆にもあたられた方で、「事件」を中心に書かれているので、とても楽しい名著です。いまは絶版らしいのですが、アマゾンで古書を購入しました。
計34話で興味のあるところから読むこともできます。マニュアルがないところから、手探りで動物園の関係者の方がいかに苦労・努力されてこられたか、活写されています。私の興味ある部分だけピックアップさせていただきました。ポチありがとうございます。
2008/11/29(土) 午後 7:20