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東京新聞5/23東京新聞5月23日記載
ドキュメンタリー映画「内部被ばくを生き抜く」は、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染に、どう対処すべきかを説く。劣化ウラン弾の影響で白血病やがんになったイラクの子どもたちら、内部被ばくがもたらす深刻な被害を取材してきた鎌仲ひとみ監督の最新作。子どもの被ばくに不安を抱く母親はじめ多くの方に見てほしいと、先月の作品完成と同時にDVDで販売するという、異例のやり方を取っている。 (小田克也)
「広島、長崎の被爆者と違うことが起きるとは考えられない。放射線が漏れ、人体に影響が出るのは早くて半年かかる」。被爆者を長年治療してきた肥田舜太郎医師は作品冒頭で、こう語る。 では、どうすべきか。東京大学アイソトープ総合センター長の医師・児玉龍彦さんは、内閣府が示した除染費用の目安(一戸建て70万円)について「それでは屋根に付いた放射性物質は除けない。五百万から一千万円かかる」と話す。 除染は可能。だが、高額な費用が、除染は無理という話にすり替えられていると指摘する。除染費用が、被害額の算定なしに示されたことにも首をかしげる。そして賠償や生活保障、環境回復など、施策は一体的に進められるべきだと強調する。 ■ 一九九一年からチェルノブイリの医療支援をする諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんは「ベラルーシ共和国は貧しいが、庭でできたトマトを(しかるべき場所に持って行けば)測定してくれて、食べていいか分かる。放射線測定システムが小さな村にまであることが大切」と話す。 児玉さんも「チェルノブイリでは、ずっと子どもたちを診ていた医者が八九年ごろから、今まで見たこともない甲状腺がんが増えていると報告しだした。だから問題になった。福島で大事なのは、子どもを継続的に診る地域医療の充実」と訴える。 作品には、被ばくに関する医療に携わってきた医師のほか、福島県二本松市で幼稚園を経営する寺の副住職・佐々木道範さんが登場。子どもたちを放射能から守ろうと、除染に取り組む姿が映し出される。 屋根は三百万円かけて張り替え、子どもたちが飲む牛乳などの放射能を測るため、五百万円かけて機器を購入。佐々木さんは「基準値以下ならいいとは思えない。ちょっとでも入っていたら与えたくない」と語気を強める。 ■ 東日本大震災を題材とするドキュメンタリー映画の上映が増えているが、多くは、廃虚と化した沿岸部を映し、巨大地震と津波の傷痕を示したものだ。それに対してこの作品は、原発事故による放射能汚染という、最大の脅威にアプローチした希少なドキュメントといえる。 なぜ内部被ばくががんなどを引き起こすのか、といった医学上の問題も、DNAの損傷などを図やグラフィックスを用いて分かりやすく解説している。 鎌仲監督はこれまで、がんで亡くなるイラクの子どもたちをはじめ、青森県六ケ所村の使用済み核燃料の再処理工場や上関原子力発電所(山口県上関町長島)の反対住民らを取材し、内部被ばくを取り上げたドキュメンタリーを三作発表。これらの自主上映会は千回以上に達し、監督は観客と対話を重ね、疑問に答えてきた。その蓄積が、今回の作品作りにも生かされたようだ。 DVDの購入などは「内部被ばくを生き抜く」公式サイト=http://www.naibuhibaku-ikinuku.com |
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