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以下は福田恆存著『私の英国史―空しき王冠』のヘンリー7世の項を抜粋。
本文は旧字体で訳されていましたが、わかりづらいので新字体に置き換え。
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もし神が正義のために戦う者の上に勝利を齎したまうなら、確信を持ってわが同志、わが友に告ぐ、
常に慈悲深き神は、今日こそ、かの驕り高ぶる敵、傲慢な反逆者に対してわれらの輝かしき勝利と
良き未来を約束したまうであろう。
わが方の主張はあくまで正しく、神の掟、現世の法、いずれに照らしてみてもこれほど義に適った
挙兵は他にまたとあるまい。そうであろう、これほど公正にして、善意に満ちた、いや神意に添った
戦いがあると誰が言えよう、われわれが敵に廻すのは、己の一族の、あるいはその子孫の血を流した
人殺しではないか?
―――奴こそは己が由緒ある血統を最後の一人に至るまで抹殺し去った男、その男の、否、我々の
祖国とその哀れな人民にとっては許し難い屠殺者、真っ赤に焼けた汚名の烙印、耐えがたき邪魔者
ではないか?
奴は自らを王と称し、わたしからこの貴い王国、わが祖国の王冠と統治権を奪い、全ての正義と公正に
反する行動に出た。同様に、奴の仲間は諸君の領土を奪い、森林を伐採し、荘園を破壊した。
ために諸君の妻子は糧を求めて各地をさまよい続けている。
このような奴ばらを苦しめ罰するためとあらば、わたしは確信を持って言う、
善なる神は必ずや、彼らを大いなる戦利品としてわれらのもとへ遣わしたまうに違いない、さもなくば、
奴等の腐った良心を痛ませ苦しみ嘆かせ、彼らをして怯ませ逃亡せしめ、戦に加わる勇気すら失わしめ
たまうに違いない。
そればかりではない、断言してもいいが、この雌雄を決する決戦において彼らが敵方に引きこまれたのは
恐怖のためであって、敬愛の念からではない、思うに、主君に対する彼ら兵士たちの憎しみと、王に対して
人民たちの抱いている恐れと、そのいずれが大であるかすこぶる疑わしい。
それにつけてもこの世には古今を通じて人の道にもとることなき定めというべきものがあり、悪人が
日ごと善人を掃討せんと求めて止まぬがゆえに、神は善人をして悪人を打ち倒さしめたまうのである。
肝に銘じて忘れてはならぬ、勝利は軍勢の多寡で決まるものではない、勇敢な心、雄々しき精神によって
勝ち得らるるものなのだ。味方の数が少なければ少ないほど、われわれが勝利を収めた時の栄光はそれだけ
輝かしいものとなろう。
たとえ敗れても、敵方の10人がわが方の1人を相手にして戦うとなれば、その結果、勝者の有に帰する
領地はいささかもない、たとえわれわれが戦死したにせよ、それは善なる闘争における栄光の死であり、
果てしなき苦悩や悪意に満ちた忘却が、われわれの名前や聖なる行いを蝕み、それを名声の記録から抹消
するようなことは決して起こり得ないであろう。
最後に一つ約束しておこう、この公正かつ正当なる主張に基づいた聖なる戦闘において、今日、お前たちと
再び出会う時はこのわたしをたとえ大地の上に死せる腐肉として見いだすことがあるとしても、閨房の絨毯の
上に自由な捕虜として見いだすようなことは断じてあり得ぬであろう。
今こそ戦うのだ、負けることを知らぬ巨人のごとく。
敵に襲いかかれ、勇猛な虎のごとく。
あらゆる恐れを吹き飛ばすのだ、猛り立つ獅子のごとく。
さぁ、出陣だ、正義のつわものが謀反人に向かって、慈悲深き人間が人殺しに向かって、正当なる継承者が
簒奪者に向かって、神のしもとが暴君に向かって進撃するのだ。
わが軍旗を堂々とひるがえせ、強くたくましい戦士にふさわしく前進せよ、勇敢な勝者として戦闘を開始
するのだ。戦いは目前に迫り、勝利はすぐ目の前に近づいている。
もし、ここで恥ずかしげもなく退却し、卑劣にも逃亡を企てたなら、われわれも、その子孫も根こそぎに
跡を絶たれ、とこしえに汚辱にまみれるであろう。
今日こそ勝利の日、さなくば全てを失う時だ、勝利を勝ち取り、征服者となれ、
さなくば、この戦に敗れ、悪党になり下がるのみ、
よいか、皆のもの、神と聖ジョージの名にかけて、恐れることなく勇敢に軍旗を進めるのだ。
(※以上原文ママ)
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ハリィの演説NAGEEEEEEEEE!
ていうかなにこの頻出する『善・悪』とか『正義・悪』とか『栄光・屈辱(汚辱)』とか。
シェイクスピアの『リチャード3世』作中のヘンリー・テューダーの演説とカブるところがないでもないが…
なんなんでしょうね、己を正義と信じて疑わないといわんばかりの論調は。
つーかいちいち義だのなんだのってお前は東照権現か。
相手(リチャード3世と北方辺境伯連合軍)はサラセン人じゃー!異教徒じゃー!皆殺しヒャッハー!と
言わんばかりの扱いです。もう自分たち十字軍だぜフゥーハハァーってくらいの勢いにドン引きですわ。
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