ミオリッツァ 〜ルーマニアン・バラード〜
山すその 楽園のほとり、谷ぞいに 降ってくる 羊の群三つ 羊飼いは3人 モルドヴァ人とムンテニア人とトランシルヴァニア人。 トランシルヴァニアとムンテニアの羊飼いは、おお、申し合わせた、二人でしめし合わせた、日が沈んだら、あいつを殺そう、モルドヴァの羊飼いを。 あれは一番裕福で 綺麗な 肥えた羊を うんと持っている 利口な馬も 勇ましい犬も。 ところで、つややかな毛の あのミオリッツァは 三日このかた 泣き止まず 草さえ食わず、 「縮れ毛の 巻き毛の ミオリッツァ、三日このかた 泣きやまないね、草がまずいのか、それとも気分が悪いのか、なあ、かわいいミオリッツァ」 (いとしいお頭、羊の群を暗い林へ。そこなら羊の草も。お頭、お頭。 犬も呼んで、一番強くて、いちばん仲のいい犬を。 日が沈んだら、トランシルヴァニアのお頭とムンテニアのお頭があなたを殺すつもりなの。) 「かわいい子羊よ、おまえは先が見えて、おれは芝の原で死ぬのなら、トランシルヴァニア人とムンテニア人にこう言ってくれ、このあたりに埋めてくれ、羊の道に いつもお前たちといられるように、小屋の裏手に、犬の声も聞けるようにと、二人に言うのだ。 それから枕元に置いてくれ、優しく歌うぶなの笛、哀れに歌う骨の笛、激しく歌うとねりこの笛を。 風が立ち、笛を鳴らせば、羊たちが寄ってきて、血の涙で、おれのために泣くだろう、でも殺しのことは羊たちに言うな。 みんなによく話してやれ 綺麗なお姫様を 世界の花嫁を、おれは嫁にしたと。 おれの婚礼には 星がひとつ落ちた 太陽と月が冠をささげ おれの証人は、もみとすずかけ 大きな山々が司祭 楽師は鳥たち 小鳥幾千羽 満天の星が篝火。」
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これは、ルーマニア人なら誰もが知っている『ミオリッツァ』という民衆バラードです。「妖精たちの夜」(ミルチャ・エリアーデ著)の日本語翻訳者、住谷春也氏が小説の解説のところで、このバラードを全訳したものの3分の2ほどの部分です。 ルーマニアでは、現在でも羊の群をよく見かけることができますが、そのたびに、オイラはこのバラードのことを思い出します。 ここに歌われているような精神性がルーマニア民族の魂の部分にあるとしたら、それもうなずけるように思います。ルーマニア人ってどちらかというと暴力沙汰は好まないし、運命に抗うこともあまりしないように思います。 このバラードの後半部分は、モルドヴァの羊飼いの母親が、自分を探し回っていたら、お姫様と結婚したことだけを話し、婚礼の様子は言うなと羊のミオリッツァに話します。 その「婚礼」のことを言うと、それは「死」を意味していると母親に気づかれる恐れがあるからです。 |



Mishiさん こんばんわ
良い民衆バラードですね。
羊飼いの願い
母親を思いやるモルドヴァの羊飼い
又写真と良くあっています。
ルーマニア人って何となく日本人と
似てません。割り切れない情の細やかさが
ある様な。
3村+記事ポチです。
2009/4/23(木) 午前 5:58
Kakoさん、こんばんは。
ポチ、ありがとうございます。
確かに、同じヨーロッパの民族でも、
アングロサクソン系とは違う、
日本人的な自虐的な感情って、
あるように思います。
イエス、ノーが曖昧になるところも似てますかね。。。
自己主張は、日本人比べれば強いですけど。。
2009/4/24(金) 午前 7:59
自己主張は確かに強いですが、ロシア人より感覚が日本人的に思えます。
2009/4/24(金) 午後 4:42
けんぞうさん、こんにちは。
ロシア人のことは、よく知りませんが、
ルーマニア人のほうがオープンで、
付き合いやすい気はします。
2009/4/25(土) 午前 6:36
初めて知りましたが、良いバラードですね。
自然の中で、自分の運命を受け入れて、死んでいく
西洋的よりか、なんか日本的ですね。。。
2009/4/25(土) 午後 0:26
Nobuさん、返信が遅くなりましてすみません。
やはり、そう思われますか。。。
この地は、歴史的に東洋、西洋が混在しているところがあって、
一概に『ヨーロッパ』とは言えないところがありそうです。
2009/4/30(木) 午前 4:46
ルーマニア人にとって
羊使いとは特別なものなのでしょうね。
モルドヴァはそう裕福な土地ではないのに、
モルドヴァの羊使いが裕福なのですね。
世界の花嫁を嫁にした・・・
これは死者の婚礼のことだと聞いたことがあります。
未婚の若者がなくなったときに、
仮の花嫁、花婿をたてて行列をする儀式。
もう今は見られないのが残念です。
いつもながら素晴らしい写真、
そしてこの切ないバラードが
胸を打ちます。
2009/5/1(金) 午前 7:50 [ tan*zak*s*iko ]
Tan*zakさん、コメントをありがとうございます。
「世界の花嫁」= 死者の婚礼。
解説に拠ればどうもそのようです。
儀式はもうしないかもしれませんが、
今でも、女の子の不慮の死などの場合は、
花嫁衣裳を着せて棺に収めますね。。。
2009/5/1(金) 午後 5:55