今日の那須は曇り空、風が無いためそれほど寒さは感じなかったのですが、0.5度でしたから、寒いことは寒かったようです。
初めにもお断りしましたが、このお話、私の経験を元にしていますが、プライバシー配慮の面からシチュエーション等大分変更しています。
ノンフィクションだとは思わないでください。
さて、惣一郎と田中恵子との過去編続きます。
恵子、惣一郎の恋人に立候補しようかなとも思ったのだが、好み自体は中肉中背の惣一郎より、スマートな巨漢の彰だったから、警告されていたにもかかわらず、1ヵ月後にあったサッカー部の飲み会の後、惣一郎が帰ったのをいいことに彰を誘ったのだった。
実は、サッカー部の誰にも教えていなかったが、彰には会えばセックスする恋人がいたのだ。
そして、彰自身は恵子のことを何とも思っていなかったのだが、惣一郎が彼女のことを異様に大事にしていることはわかっていたし、彼には恋人がいなかったから、ここは一丁説教してくっつけてやろうと彼女の誘いに乗った。
ところが、2次会で説教していると酔っ払った恵子に逆に絡まれることになり、抱きついて誘惑するようなことまでし始めたので、これはまずいと思った彰は、帰らせようと彼女をひきずって店を出た。
「あら、逃げるの中道先輩。」
なおも絡んで抱きついてくる恵子にてこずりながら、タクシーを拾おうと東大路に出たところで、恵子が突然道に飛び出したのだ。
折悪しくタクシーが突っ込んできていたので、これははねられると直感した彰は、車と彼女の間に飛び込んで恵子を突き飛ばした。
ところが、彼の英雄的行為は、結果的には災いした。
恵子の代わりにタクシーにはねられながらも、細身でも握力100キロ、背筋力200キロを超え、鉄人の異名を取る彰は怪我一つしなかったのに対し、突き飛ばされた恵子は、彼の怪力のために凄い勢いで押し出され、東大路をおっとっと突っ切った上、バス停に頭から激突したのだ。
頭を打ったらしくぴくりとも動かない恵子に、彰は動転してまた叫んだ。
「誰か助けてくれ。」
はねてしまった相手がぴんぴんしているのに、別の女性が倒れている状況にタクシーの運転手も動転しながらも救急車を呼び、恵子は病院に運ばれた。
ところが、救急車が来て彰がなおも取り乱している場面を、折悪しく彼の恋人の九条範子が目撃してしまったのだ。
しかも彰、恵子が死ぬのではないかと疑って、「恵子、しっかりしろ。死ぬんじゃないぞ、目を開けてくれ。」と叫んでいるところだったのだから、誤解するなと言う方が無理だった。
救急車と同時に駆けつけた警官は、てっきりタクシーが恵子をはねたものだと勘違いした。
運転手は、自分がはねた相手はぴんぴんしている彰なのだから、「私がはねたのは、そちらの学生さんなんですが。」と言い訳したが、彰は半分錯乱しているから要領を得ず、事故の状況を整理してようやく恵子をはねたと考えるのはむりであることがわかり、疑いが晴れたのだった。
しかし、彰をはねたことは確かであり、彼が突き飛ばさなければ恵子をはねていただろうと運転手も認め、彰本人は無傷だが、車が凹んだ物証もあったため、恵子も関係した事故と取り扱われることとなった。
翌朝、何となく悪い予感がして大学に行く前にサッカー部の部室に顔を出した惣一郎は、彰と恵子の事故を知らされた。
幸いその日は絶対出なくてはならない講義は無かったので、彼はそのまま病院に向かった。
恵子の病室に入った彼は、奇妙な光景を目にした。
病室で彰が恵子の手を握ってぶつぶつつぶやいており、恵子はへらへらと笑っていたのだ。
惣一郎の顔を見た彰は、「俺のせいや。恵子が変になってもうた。」しか言わないし、他に誰にも確かめようが無いのでしばらく二人に付き添っていると、彰の母のスミ子が現れたので、彼女に聞いてようやく事故の事情が飲み込めた。
怪力も考え物だが、彰は飛び出した恵子を助けようとしたのだから悪くはないし、「彰君は悪くないんですよね。」と確かめると、スミ子もほっとしたようなので、惣一郎は一晩中付き添っていたと言う彰が心配になり、後は自分が付き添っているから、彰を自宅に連れ帰って休ませるように彼女に頼んだ。
スミ子は、恵子は惣一郎の恋人だと受け取ったので、喜んで息子を連れて帰った。
誤解されたかなと思いながらまだ意識のはっきりしない恵子に呼びかけてみると、実に変なやりとりになった。
「恵子、大丈夫か。」
「ううん、頭痛いわ。」
スミ子からバス停の鉄板の時刻表が凹んでいた話を聞いていたからそりゃそうだろうと思いながら慰めた。
「でも、恵子が無事で良かった。」
「ううん、無事や無いわ。」
「他にもどこか悪いのか。」
心配になって聞き返すと、彼女けらけら笑いながら答えた。
「頭、なーんちゃって。」
恵子は自分で受けてげらげら笑っていたが、惣一郎はこのシチュエーションでは笑うに笑えなかった。
「神野さん、手出して。」
頼むからその通り手を出すと、恵子彼の手首をつかんでぐるぐる回した。
何のつもりかと思いながらそのままされるがままにしていると、恵子手を離してから頼んだ。
「さあ、手開いて。」
言われたとおりにすると、彼女またげらげら笑った。
「はい。クルクルパー。今の私や。」
笑えないどころか、彰の言ったとおり本当に変になったかと心配しながら、彼女の変なギャグに根気よく付き合っていると、30分ぐらいたったら突然「私寝るわ。」と言ってパタッと倒れて眠ってしまった。
周囲の入院患者は、「おもろい姉ちゃんや。」と笑いながら見ていたのだが、この際聞けることは彼女が眠った今のうちに聞いておこうと看護婦を見つけて病状を話し、大丈夫か確かめた。
すると、看護婦は笑いながら、特に異常は発見されなかったし、事故のショック症状だから心配しないでいいだろう、恐らく今度目覚めたら正気に戻って忘れてしまっているだろうと教えてくれた。
ほっとしながら病室に戻ろうとしたところ、光子と鉢合わせした。
自分が原因ではないとは言え、何とも申し訳なくて惣一郎が頭を下げると、光子はそれよりも何が起きたのか説明してちょうだいと頼んだ。
彼が知っていることを整理しながら説明すると、光子大きくうなずいた。
「ようやくわかったわ。」
「と言われますと。」
光子が言うには、最初の連絡は警察からで、「娘さんが事故にあわれたのですが、お母様から見て、娘さんに最近不審なところはありませんでしたか。」と尋ねられ、それよりも娘の状態が気になったので、聞き返すと、頭を打って病院に運ばれたが命に別状は無いと言われてようやくほっとした。
それから「不審なところ」の意味を聞き返すと、自殺を疑われるような行動を取ったと言うので、「そんなはずはない。恋人とも仲良くしている。」と答えたら、「そうですか。」の一言だけだったとのこと。
「恋人」とはもしかしたら自分のことかと思いながら聞いていると、笑えたのはその後で、次いで彰の母のスミ子が電話してきて突然謝った後、「息子は娘さんを助けようとしたんですが、馬鹿力が災いしてとんでもないことになってすいません。」と言われたので、また心配になったところ彰本人が出て、「すいません。僕がやったんです、悪いのは僕なんです。許してください。」と来た。
無事だとは聞いたが、本人は電話して来ないし、彰に聞いても要領を得ないのでつい「神野さんは知ってるの。」と聞き返したら、彰何を勘違いしたのか、「神野は知りません。責めないでください。彼は何も悪くないんです。」と来たものだから、惣一郎に内緒で2人でいかがわしいことをした後で事故があったのかと邪推したくなったと言う。
これには惣一郎も思わず笑ってしまったが、先刻までのあほらしいやり取りのことは話さず、頭を打ったショックで少し変になっていたから、彰が動転してそんなことを言ったんだろうと言い訳しながら彼女を恵子の病室に案内した。
続く。
画像は、国際会議が行われたホテル・ニューオータニの庭園です。
東京の真ん中にも、こんな広大な庭園があるのです。
会議開催中にも婚礼が大分あり、庭園で記念撮影も行われていましたから、海外からの参加者は、豪華な打ち掛けや振り袖の日本の婚礼衣装を喜んで見物していました。
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踏んだり蹴ったりとは、このことですね。
2008/12/14(日) 午後 2:20
はねるさま、一番かわいそうだったのは彰で、惣一郎は、まず彼が自殺でもしないかと心配し、次に恵子は大丈夫だろうかと心配し、全く自分のことは考えずに二人の相手をすることになったのです。
2008/12/14(日) 午後 9:09 [ mityuera ]