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2012年2月6日

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不思議なお話4

今日は、久々の雨でした。
それでも、結構寒い東京です。
さて、続きます。

その後も、一郎は時々来ては青華と話し、彼女にいろいろなことを教えたりしていました。
そして一郎は、清十郎に彼女のお願いを伝えました。
青華は、清十郎に、惜しまれて死ぬ人になって欲しい、と願ったのです。
清十郎には、青華とリーファが生き甲斐の様なものになっているが、それだけでは寂しいんじゃないかと考えのです。
清十郎は、心の中を見透かされた様な気がしましたが、確かにそのとおりなので、黙って聞くことにしました。
「それで、青華自身はどうなるのだ。」
彼には、そちらの方が気になることでした。
「一つだけ教えてくれたのですが、青華さん自身は、2年後ぐらいには運命が結んだ相手と結ばれて普通に結婚してこの家を出て行き、大変幸福に生きることができるそうです。」
「未来の男は関係ないのか。」
清十郎、消えていなくなる青華だから、何か関係があるものと思っていた。
「それは、何十年も後のことらしく、彼女が転生してから関係ができるそうです。」
「そうなのか。でも、青華は何故わしから離れるのじゃ。」
一郎は、しばらく考えてから答えました。
「あなたには、梨花さんがいるじゃないですか。青華さんは、このまま一緒に居ては、あなたのためにもならないと考えたのですよ。」
「そうじゃろうか。わしは、青華を束縛している積もりはないが。」
「青華さんは、青華さんの家庭を築いていかないといけないのですよ。だからこそ貴方と一緒には居られない。そこで、貴方の未来を心配しているのでは無いでしょうか。」
清十郎は、しばらく考え込んで居ましたが、諦めて尋ねました。
「死ぬのに、幸福な死に方と不幸な死に方があるのじゃろうか。」
一郎は、神妙な顔で答えました。
「気の持ち様じゃ無いでしょうか。人間、絶対的なこと、は無いでしょう。同じことでも両方の捉え方ができるでしょう。だから、同じ結果でも幸せ、と思える様になれば良い訳です。」
「わしは、リーファに看取ってもらえば、それ以上は望まぬが、わかった。そうする様にしよう。」
「それから、死んだあとまで財産は持っていけません。強欲爺ではなく、青華さんがいうように、惜しまれて亡くなる人物になっては如何でしょうか。」
「それもそうだな。確かに地獄に金は持って行けぬわ。」
「それが、青華さんのお願いです。」
「よし、わかった。そうしていくことを約束しよう。」

程無く18歳になった青華は、何と一郎の同僚の医師、大野和明と結婚すると言い出しました。
驚いた清十郎が、一郎に聞くと、彼も首を傾げました。
「変ですね。大野君と青華さん、話をしたこともないはずですが。」
「いや、青華の理解不能は何時ものことじゃが、結婚するのは1年後なんだと。それを見てきたから、そうなるはずなんじゃと。ほんまに変な孫じゃ。」
しかし、彼女自身がそういうからには、その通りになるのだろうと、一郎は大野和明に竹野青華のことは知っているか、聞いて見ました。
すると和明、青華は、一郎が以前に一度連れてきて診察したことがある美少女との認識はありましたが、それだけでしたから、何故聞かれたのかきょとんとしていました。
そこで一郎、和明に決まった人はいないのかと単刀直入に聞くと、彼、一郎の婚約者の看護師松宮茜のことを、いい子だなあと狙っていたが先を越されてしまったし、今はいないなと笑いました。
じゃあまあ、青華の予言が成就しても、何ら問題はなかろうと思った一郎、次に竹野家に行く時、青華が和明に会いたがっているから一緒に行こうと誘ったのです。
和明、釈然としないので渋ったのですが、一郎に、青華よりも祖父の清十郎と知り合っておいて損はないだろうと説得されて、承諾しました。

1ヶ月後、和明を竹野家に連れて行って青華に引き合わせると、彼女喜んで彼と腕を組んだのです。
ぎょっとした和明、清十郎と一郎に助けを求めました。
「なんなのですか、これは。何とかしてくださいよ。」
すると青華、真面目な顔で和明に確かめました。
「私は、あなたのお嫁さんになる運命なんです。お嫌ですか。」
そう言われると、美少女の青華だし、自分には今付き合っている女性もいないし、清十郎からの援助も期待できそうだし、和明には拒否する理由はありませんでした。
「いいえ、あなたは素晴らしい女性だと思いますが、突然私の妻になる運命と言われても信じられませんから、驚いたのです。それに、あなた自身はどう考えているのです。わたしとは今日会ったばかりで、私のことは何も知らないはずですが。」
「いいえ、私、あなたがどんな人か、全て知っています。ですから、承諾していただけますか。」
和明、更にたじたじとなった。
青華は18歳だから7歳年下だし、童顔だからまだ15歳そこそこにしか見えないし、美女ではなく、美少女としか形容が出来ない女性なのだ。
苦し紛れに、和明、清十郎に尋ねた。
「あのう、青華さんには見込んでいただけたようなのですが、お孫さんの婿として、私は本当に認めてもらえるのでしょうか。」
清十郎と梨花は、最初は真面目な顔で和明を見ていたのだが、梨花がにっこり微笑んだ後、清十郎が吹き出した。
「ああ、失礼をした。いやまあ、孫の青華、人知を越えたところがあってな。わしも驚かされることしばしばなんじゃ。お前さんが夫になる男性だと言い出したのだから、わしも認めてやるしかないわけじゃ。」
「私をからかっているわけではないのですか。」
吹き出した清十郎に言われると、和明、到底本気に思えなかった。
「それはない。至極真面目な話でな。詳細は一郎に聞けばよいが、青華、将来のことがある程度わかるんじゃよ。お前さんさえ良ければ、もらってやってくれんか。」
そう言われると真面目な話なのだろうし、和明、改めて青華の顔を見つめた。
整った顔だし、日本人離れしたプロポーションの持ち主だし、祖父の清十郎が認めるなら悪くはない。
「いいお話ですね。でも、青華さんのご両親の承諾を得ないで進めるわけには行きません。」
すると青華、あっけらかんと言い切りました。
「あっ、大丈夫です。二人ともいませんから、おじいさまと梨花さんさえ承諾していただければ。」
「えっ、いないとは。」
「ああ、死んじゃいましたから、いないんです。」
「それは失礼しました。」
謝ると、青華、気を良くしたのか、また和明と腕を組んで確かめました。
「じゃあ、私をもらってくれますか。」
それでも和明は半信半疑だったので、再度確かめました。
「本当に、あなたの夫は私なのですか。」
「そうなんです。私、見て来ちゃいましたから。」
「何を見てきたのです。」
「あなたと結婚して、子供も生まれて、幸せに暮らして、最後はあなたと一緒に死ぬところまで。」
最後だけは穏やかならぬが、彼女が幸せに暮らしてというなら、いい話なのだろう。
「そうですか。幸せになれるのなら、私も言うことはありません。あなたを妻にもらい受けたいと思います。」
「はーい。よろしくお願いします。」
ぎょっとしている和明に、清十郎と一郎は無責任に笑っていたので、梨花が声をかけました。
「驚かれたでしょうね。でも、青華の言うことは必ず当たるんです。自分が見てきた未来のできごとなのですから、あなたも青華も必ず幸せになれるんですよ。妻として大切にしてあげてくださいね。」
狐につままれたような状況ながら、悪くはないのだろうと和明は割り切ることにした。
「では、青華さん、私の両親に会ってください。」
「はい。喜んで。」
そう答えた青華は、顔を赤らめ、年相応の恥じらいを見せた。
すると、彼女から清廉な色気が感じられたので、和明はどきっとした。
清十郎、笑ったままでは格好が付かないので、真面目に宣言した。
「では、孫娘竹野青華と、大野和明の縁談を調えるよう、竹野家は大野家に申し入れることとするが、異存は無いか。」
「真面目に考えてくださるなら結構ですが、まず両親に引き合わせたいと思いますので、縁談を進めるのは、その後でお願いします。」
「承知した。」
一郎は、からかった。
「大野和明に、年貢を納めることを要求する。」
「お前はどうした。茜さんに取り立てられるんじゃ無いのか。」
負けずに言い返すと、一郎は舌を出した。
「残念でした。私はもう調っている。」
「えっ、何時の間に。」
「10月挙式で、結納も交わしたわ。」
「そうだったのか。ご愁傷様に。」
皮肉ったつもりが、青華に大笑いされたので、和明、体裁が悪くなって謝った。
「いや、今のは冗談だ。それはおめでとう。」
「だから、次はお前の番というわけだ。」
「では、次の日曜日に、青華さんを大野家に案内することでよろしいでしょうか。」
ほんの数分で、和明と青華の縁談は決まってしまいました。

縁談がまとまり、1年後に挙式を終えると、青華は大野家に移りました。
その後、竹野清十郎は、約束通りに一郎と和明に援助するとともに、私財をなげうって地域の発展に努め、最後は望み通り、最愛の人リーファと、清十郎の援助で駅前に開業した奥一郎、夫婦と子供二人、彼には少し遅れたが、実家の西宮の大野医院を継いだ和明、青華夫妻とやはり子供二人、に看取られて亡くなった。
満ち足りた死に顔であり、人々に惜しまれる死であった。
彼は、最愛のリーファの手を握って最後にこう言いました。
「リーファ、長い間ありがとう。れん、これでも良かったのだろうな。次は一緒になるということで。」

続く。


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