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(転載開始)
水島朝穂の<平和憲法のメッセージ「今週の直言」(2011年1月24日)
http://www.asaho.com/jpn/index.html
◇◆◇ TPPと「食の安全保障」 ◇◆◇
水島朝穂
名古屋に2時間50分滞在し、とんぼ返りした。「アジア・アフリカ支援米発送
式」(全農林東海地方本部主催)での記念講演のためである。私のホームページを熟
読された方の強い依頼だったので、お引き受けした。講演タイトルは「日本国憲法と
『食』の安全保障」である。
「アジア・アフリカ支援米」活動とは、子どもたちも参加する田植えボランティア
によって植えられたコメを収穫して、飢餓に苦しむ国々に送る運動で、1995年か
ら始まった。この年にコメ輸入自由化(関税化)が行われたので、国内で作付けされ
なくなった土地や休耕田を活用してコメを作り、アジア・アフリカに送るという試み
である。全国的にいろいろな団体が取り組んでいるが、今回は全農林の東海地方4県
が収穫したコメ20トン分についての「発送式」だった。
送り先は西アフリカのマリ共和国。砂漠の国で、水と食料の不足は恒常的である。
軍部独裁政権の時期が長く、92年から政情は比較的安定している。講演では、一般
にアフリカなど途上国への援助で注意すべきことについても触れた。特に援助物資が
政権の方に行ってしまい、民衆に届きにくいという問題を指摘した。全農林はNGO
などと連携して、直接民衆に届く努力をしている。現地における農業技術・ノウハウ
を伝える支援も合わせて行っているという。
講演の前日(14日)、マリの北東部に位置するチュニジア共和国で、23年続い
たベンアリ独裁政権が崩壊した。憲法の3選禁止規定に手をつけ、5期23年にわた
り強権を振るったベンアリ大統領に、6期目はなかった。今年1月になって、急速に
市民の抵抗運動が高まり、大統領一族は国外に逃亡した。政権崩壊の経過と背景(特
に軍の動き)は慎重な分析が必要だが、市民の決起は「アラブ初の民衆革命」(『朝
日新聞』1月18日付)あるいは「ジャスミン革命」(『毎日新聞』1月17日付)
と形容され始めている。
アジア・アフリカの国々は、対外政策では非同盟政策をとることが多いので、その
国が国内的に強権政治を行い、民衆の権利・自由を圧迫・侵害していることに無頓着
な評価がしばしば見られる。ベンアリ大統領も非同盟政策に熱心だったが、秘密警察
による言論弾圧は徹底していた。大統領の政権与党の大会に参加して、その方針の
「大志」をもちあげ、この独裁者との交流を得々と書きつづった日本の野党老幹部に
は困ったものである。ルーマニアの独裁者・チャウシェスク元大統領と「蜜月」関係
にあった前任者の誤りが十分総括されていないために(岩名やすのり元赤旗ブカレス
ト特派員「私のルーマニア警告はこうして無視された」『サンデー毎日』1990年
3月4日号参照)、こうしたことが繰り返されるのではないか。いずれにせよ、外国
との関係においては、対外政策だけでなく、その国の人権状況のリアルな認識が不可
欠である。私は、「支援米」運動にあたっても、そうした認識の必要性を説いた。
講演では、菅直人内閣が推進するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を批判し
た。前日(1月14日)に第2次菅改造内閣が発足したが、TPPに積極姿勢をとる
海江田万里氏を経済産業大臣に据えるなど、この内閣は、マニフェストを「政権膏
薬」にしてしまい、国民への裏切りをさらにパワーアップさせている。
TPPとは何か。昨年10月1日の所信表明演説で、この言葉が唐突に使われた。
それまでは、知名度はきわめて低かった。シンガポール、ブルネイ、ニュージーラン
ド、チリの4カ国で、2006年5月に発効した関税全廃、例外品目のない自由化を
原則とする自由貿易協定のことをいい、FTA(自由貿易協定)や EPA(経済連
携協定)よりも徹底した自由化の合意である。これら4カ国は中小国であり、関税を
全廃しても大きな問題はない。日本はニュージーランドと FTAを結んでおり、い
まなぜ、日本があわててTPPに参加しなくてはならないのか。
端的に言えば、TPPが問題なのではない。2009年11月、オバマ米大統領が
TPPへの関与を表明した瞬間、4カ国の連携協定だったTPPの意味が変わったの
である。それは「米国主導の一大経済連合」となり、「小国の軒先を借りて帝国の世
界戦略を追求する」枠組に転化したと表現されている(田代洋一『世界』2011年
1月号参照)。
「黒船」とか「第三の開国」(菅首相)とか、「扉は閉まりかけている」(前原誠
司外相)とか、うわずった言葉が政治家の口から飛び出す。この状況には既視感があ
る。小泉「構造改革」の際、「官から民へ」のワンフレーズ政治が跋扈したことは記
憶に新しい。反対する人々を一緒くたに「抵抗勢力」にしてしまうパワーこそまだ欠
けるものの、メディアにはすでにそうした兆候があらわれている。
元旦の『読売新聞』社説は「大胆な開国で農業改革を急ごう」と、年頭には珍しく
農業問題をもってきた。「日本が交渉に乗り遅れれば、自由貿易市場の枠組みから締
め出されてしまう。後追いでは、先行諸国に比べて不利な条件をのまざるを得なくな
る」。相変わらず「バスに乗り遅れるな」と煽る非理性的論調は変わらない。「農産
物の自給を確保することは重要だが、農業が開国を妨げ、日本経済の足を引っ張るよ
うでは本末転倒になる」。どちらが本末転倒だろうか。農産物の自給率低下を前提と
した、おかしな「開国」論こそ本末転倒ではないか。
この種の論法は、学者のなかにも見られる。ある人は、「(TPPが)日本の輸出
企業にとって大きなビジネスチャンスとなる」というメリットを強調しつつ、他方で
「農産物の輸入が増加して国内生産が減り、経営が厳しくなる可能性もあるが、やむ
を得ない。それよりも、輸入品に対抗するために生産性を上げ、新商品を開発し、輸
出も視野に入れた強い農業が育つことが期待される」と主張する(浦田秀次郎『産経
新聞』2010年12月24日付オピニオン面)。「やむを得ない」と、いとも簡単
に言うが、日本農業への打撃はきわめて深刻である。「強い農業」という言葉も怪し
い。輸出しても売れる一部のブランド農産物もあるが、もともと農業は生活者の
「食」を支えるもので、「商品」という市場の論理だけでは割り切れない。食料自給
率の問題しかり、口に入れるものが、輸出入で遠距離を行き来しても、腐らず、見栄
え良い「商品」となるために施される「加工」(薬剤等)の安全面なども、憂慮され
るだろう。
農林水産省の試算では、農産物の生産減少額は4兆1000億円。食料自給率は
40%から14%に低下し、農業の多面的機能の喪失額は3兆7000億円にのぼ
る。「商品」としての売り上げにとどまらない「なりわい」としての農業は、地域社
会や環境など多方面にわたる影響を及ぼしているから、この喪失は国のあり方にもか
かわる。国内総生産(GDP)の減少額は7兆9000億円に達し、就業機会の減少
数、つまり離農や失業は340万人になる可能性も指摘されている。
農産物の減少はいうまでもなく、水産物への影響も深刻である 。ヒジキの生産量
の減少率は100%、ワカメは90%で壊滅状態である。こんぶ70%、のり68
%、ウナギ64%、サケ・マス63%…。水産物の生産減少額の合計は4200億円
に達する 。
民主党代表や国交相の時代から「破壊的軽口」が問題となっている前原外相は、
「日本の国内総生産(GDP)の割合で1.5%の第1次産業を守るため98.5
%が犠牲になっている」と言い切った(『日本経済新聞』2010年10月20日付
9面)。どこの国でも、第1産業の割合はそう高くはない。米国でさえ1.1%。ド
イツや英国は0.8%である。第1次産業のGDP1.5%を「些細な数字」とし
て、経済を単純な多数決的発想で考えたとすれば、きわめて不適切な比較である。
菅首相はやたら「開国」という言葉を使うが、これもまったくわかっていない。日
本の農産物の平均関税率は11.7%で決して高くはない。米国の5.5%は異常に
低いにしても、EUは19.5%で日本よりずっと高い(田代前掲参照)。端的に言
えば、TPPは、米国との関係で関税障壁を完全撤去する、米国を相手としたFTA
というのが本音だろう。
農業関係の出版社のサイトには、「TPP反対の大義」が出ている。TPPがこの
国を滅ぼす可能性があるという危機感は、ようやく広まり出している。
例えば、浜矩子氏(同志社大教授)は、「TPPは日本に貿易自由化を迫る協定で
はない。日本に貿易不自由化を迫る協定だ」と喝破し、TPPはFTAの一種だが、
そもそも「自由貿易」というが実態を反映していない。それは「地域限定排他協定」
であって、「特定の地域を囲い込んで、その中に入った国々だけの間で関税を引き下
げたり、その他の輸入規制を撤廃したりする。…いかに囲い込む地域が広かろうと、
一度、囲い込みを行えば、貿易の自由度を損なう行為」である。だから、WTO(世
界貿易機関)は、自由・無差別・互恵を基本理念としており、この「無差別」は「多
角」を意味し、「要は全方位的で相手を選ばないということだ」と指摘し、「貿易不
自由化協定を貿易開国の黒船と誤解して、右往左往するとは何事か」と菅内閣を鋭く
批判している(「時代を読む」『東京新聞』2010年12月5日付)。
ここまで書いてくると、不況脱出や雇用創出のためにTPPをという物言いが、い
かに詐欺的なものであるかがわかるだろう。小泉改革よりもたちがわるいのは、小泉
改革を批判して国民の支持を得て政権交代を行った人々が、それを行っているからで
ある。「『小泉化』する菅政権」(『東京新聞』2011年1月6日付「こちら特報
部」)とは言いえて妙である。
(以下略)
(転載終わり)
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以下に指摘がある野党指導者とは誰だ!
>ベンアリ大統領も非同盟政策に熱心だったが、秘密警察による言論弾圧は徹底していた。大統領の政権与党の大会に参加して、その方針の大志」をもちあげ、この独裁者との交流を得々と書きつづった日本の野党老幹部には困ったものである。ルーマニアの独裁者・チャウシェスク元大統領と「蜜月」関係にあった前任者の誤りが十分総括されていないために(岩名やすのり元赤旗ブカレスト特派員「私のルーマニア警告はこうして無視された」『サンデー毎日』1990年3月4日号参照)、こうしたことが繰り返されるのではないか。いずれにせよ、外国との関係においては、対外政策だけでなく、その国の人権状欠である。私は、「支援米」運動にあたっても、そうした認識の必要性を説いた。
2011/1/24(月) 午後 5:43
不破哲三
2011/1/25(火) 午後 1:23 [ aa1*23*an ]
うん。やはりそうですか。
スターリン帝国を、社会主義の祖国と持ち上げ、防衛しようとした歴史は繰り返されるのでしょう。
2011/1/26(水) 午後 8:28
右だ、左だ、と色を塗って事を片づける、風潮は、誰が始めたんだろうか。
大日本帝国の高級官僚たちが、軍人たちに「軍国主義日本」というレッテルを貼って、進駐軍の網を潜り抜けて、「主権在民」などとほざいて、国民を騙し通した実態を暴いた方が、良かろう。
2011/7/1(金) 午後 9:59
再軍備へ向けて繰り返された、欺瞞に満ちた、憲法9条否認が、何をもたらしたか、私はそこに思いを向けたい。
アメリカを牛耳る、戦争にのみ収益を求める集団たちが、日本を好きなように操り、小泉何とかという、大バカ総理を利用して、日本人の精神をずたずたにした。
そして見よ。
震災・津波による大災害。
地震が津波を連動することは、想定内である。
それに対応できない、日本の政府ならびに企業の、あまりにも情けない想定外としか言えない、低レベルな資質こそ大いに問いたい。
2011/7/29(金) 午後 11:05
いま読んでいる本に触れます。
ソスン(徐勝)さんの「だれにも故郷はあるものだ」社会評論社刊です。
朝鮮半島と日本人には。8・15(いわゆる終戦)がない。
日本人は植民地化した朝鮮半島を、66年経過しても未だに植民地として意識している。
拉致問題で炎上するのも、あの朝鮮人が何だ・・・という差別意識が依然として克服されていないことが、おおきいとの指摘に、うなだれざるを得ない。
氏が言うところの、在日同胞が日本において頑強に朝鮮人として、日本に対する異議申立て者として生きていくことこそが・・・・云々が応える。
2011/9/21(水) 午後 1:06
在米日本大使館の不手際ってご存知ですか。
南雲提督率いる機動部隊が、粛々と、ハワイへ向かっていました。
米国への宣戦布告電報(もちろん暗号電報)を解読するのに手間取りました。
解読完了して、アメリカ外務省へ宣戦布告したときには、すでに日本海軍の真珠湾攻撃が開始されていて、赫々たる戦果をあげていました。
そのおかげでしょうか。
ルーズベルト大統領の「リメンバー・パール・ハーバー(真珠湾の屈辱を思い出せ)」キャンペーンが成功しました。
厭戦気分濃厚だったアメリカの若者が、立ち上がりました。
世界中へ米軍兵士が派遣されました。
さらにさらに、軍事産業が殆ど無かった、アメリカです。
あっという間に軍事産業に展開しました。
それが今のアメリカを作ってしまったのです。
今日極論ですが、現在の世界中の苦しみの原因は、昭和16年12月(1941年12月)の日本大使館にあるようです。
2011/10/11(火) 午後 11:41
山本五十六元帥も、ある面だめですなー!
米軍に暗号が解読されていて、山本サンの日程は全部、米軍の知る所であった。
米軍戦闘機が、山本さんを待ち伏せし、山本さんはあえなく死亡した。
こういうテロを平然とやるのが、米軍の伝統なんだろうけれど、そんなのに引っかかるなんて、山本五十六も情けないったらありゃーしない。
2011/10/19(水) 午前 4:53