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ブリュンヒルデ巡行(Tour of Brunhild)
プロローグ(Prologue)
Chapter 01
TVのニュースが流れている
HG県KB市に新たな名所が生まれるというものだ
ハーバーランドに地上98階のツインタワービルが落成するというニュースだ
323mのツインタワーである
民活によって、生まれるツインタワーは、渡部グループが生み出した
完成式典は、来週であり、財政界はもとより、多くの著名人が招待されているとのことだった
鈴木洋子は、それを聞きながら、教授こと「神谷真人」にも、その封書が届いていたことを思いだした
「先生も著名人なのね。。
どうするんだろ?」
そう思いながら、スケジュールを見たが、それらしい予定は入っていない
その日は、北海道で講演会の予定があり、その翌日はAM県のHS大学で講義が入っている
「キャンセルしても、いいのに。。」
そう思ったとき、新たなスケジュールが加わった
中田一郎の休暇のスケジュール加わったのだ
9日間の長期休暇だ
その中にKB大学でのサービスレクチャーと教授の名代によるイベントの参加が組み込まれている
イベントの日時は、ツインタワーの落成式だ
その作業は、SAPの社用であるため、休暇扱いとはされていない
よって、7日+2日で9日なのだ
職務代理者は、「丸森悟」だった
次に「津山保夫」のスケジュールが加わった
その9日間が「臨」の文字で埋められている
すなわち、津山は「臨戦態勢」で待機するという意味だ
続いて、「瀬峰剛」と「柴田健作」のスケジュールが加わった
その9日間が「待」の文字で埋められている
これは、「待機状態」で過ごすという意志表示だ
中田一郎は、SAPの副社長であり、技術部門の統括者だ
角田沙矢も大事にされているが、彼もまたなくてはならない人物だった
彼は、それを思ってか、極力外出を避けていた
つまり、自分が出れば、このようになるのが容易に予想ができたからだ
沙矢にボディガードが付くのは当然である
なぜなら、彼女はSAPの中核を成す人物であり、女性だからだ
それに比べ、自分は男であり、べったりされるのも嫌だ
そんなこんなで、閉じこもり生活をしていた
しかし、沙矢がそれに文句をつけた
そんな生活じゃ、身体に悪いというのだ
それで、重い腰を上げたに違いないのだ
休暇は、プライバシーの世界なので、理由は必要としない
しかし、中田は目的とそのスケジュールを明示していた
使用する機材は、Nライナーとなっている
Nライナーには「ブリュンヒルデ」という名が付けられている
それには、「オルトリント」と呼ばれる「NL-1」、そして「ヴァルトラウト」と呼ばれる「NL-2」が搭載され、それ以外にAF(オートマチック・ファクトリー)がある
ブリュンヒルデは、トレーラータイプの移動ラボで、その重量は50t、長さ20mである
オルトリントは、ツーシーターの自動車で、ブリュンヒルデのサブシステムという位置づけで搭載されている
ヴァルトラウトは、バイクとも軽ヘリとも言われており、部品の付け替えでその姿を変えるとされる
FAは、データを元に完成品を作り上げるシステムである
これは、中田の考案によるもので、量産はできないものの、設計図データがあれば、それに従って作成、完成させることができる
SAPが、多くの機器を調達できる理由はここにある
宮崎真琴が使うチップ製造システムも、この特化版なのだ
それらの機器につけられる名前は、中田の趣味である
彼がオペラ「ニーベルングの指輪」が好きで、その中に登場する「ワルキューレ(戦の女神)」の名前を付けている
目的も書かれている
それを見た洋子は、思わず吹き出してしまった
それには、こう書かれていたからである
「明石で子午線をまたいで、記念写真を撮る
明石焼きを食べる
広島で、広島風お好み焼きを食べる
出雲で、出雲ソバを食べる
温泉に入る
キャンプをする
日本三景一人ゆったり旅をする
コース:宮島→天橋立→松島
以上」
それを見た洋子は、沙矢に連絡を入れた
「どうしたの?」
「中田さんの休暇なんですが。。」
「はい?」
「当社は、津山さん以下、臨戦態勢に入っています
このような状況であれば、特機に一報を入れておいた方がいいのではないかと思いますが。。」
「そうねぇ〜
ホントは、誰かをつけてやりたいのだけど。。
そうなると、止めるって言いかねないしね。。
この際だから、特機に恩を売っておきましょうか。。」
これは、沙矢の本心ではないことは、解っている
売りつけれた方は、いい迷惑のはずである
しかし、中田がやっとその気になってくれたのだから、水を差したくない
そうなると、他力本願であるが、押しつけるしか手がない
SAPの全員が、臨戦態勢で何時でも出動できる状態になっているし。。
みんなの気持ちも無駄にしたくなかった
「はい
了解しました」
「誰か、指名はありますか?」
「それは、できないでしょう。。
これはあくまで、特機が自分の意志でしてくれるのだから。。
人選は、向こうに任せましょう」
「そうですね。。
誰が、着いてくれるでしょうか。。?」
「きっと、私たちの希望通りの人選になると思うわ」
「小石川さんですか?」
「そうなるでしょうね。。
佐藤さんにしてみれば、中田さんは鬼門だし。。
伊藤さんはないわね
途中での喧嘩別れが、目に見えるもの。。
太田さんは、常識家過ぎる
非常識の固まりみたいな人だもの。。中田さん。。
ホントは、違うのだけど。。
話し方が、アナーキーな人だから、勘違いされちゃうのよ
そうなると、残されるのは。。」
「そうですね。。
小石川さんは賢い人ですし、非常識ナンバーツーの津山さんを師匠って、慕ってくれる人ですもの
免疫はできていますね
それに、真琴さんを婦警さんにしたような感じだから。。
手の平にのせて、見守ってくれるかもしれませんね」
「申し訳ないけど、情報だけ流して。。
後は、お任せということで。。
SAPのスタンスとしては、あくまでも社員の休暇だから、関知しないということで。。」
「はい
了解しました
太田警部に、メールを流します
計画表を添付していいですか。。?」
「ええ
そうして。。
間違った振りして、うちの体制も流していいわよ」
「はい。。
それは、任せていただきます」
「了解♪
洋子さん。。
気を使わせてしまって、ごめんね」
「いえ。。
私も、SAPの一員ですから。。」
20100316
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