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2012年2月2日

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小説「SAP=AR(DYN)」-2

 
 
太古の咆哮(Ancient roar)
 
 
第2章 鑑識官「野村由子」(Discernment official Yoshiko Nomura)
 
 
Chapter 06

 
 
サイエンス・アカデミー・プロジェクト(略称:SAP)の情報管理官「見星イブ」が、会議室のドアをノックしたのは、彼女が指定した14時丁度だった
 
SAPは、時間に厳格なのは、今に始まったことではない
定められた時間の5分前に到着することが、当然だった
 
そんなある日、SAPに総務部長「丸森海石榴」が登場してから、時間に関する感覚が変わった
つまり、それまで以上に厳格になったのだ
特に海石榴は、約束の時間ぴったりに現れるのだ
まるで、秒読みしているかのように、その時間に現れる
 
海石榴の時間への感覚は、時間を惜しむというものとは違ってた
鈴木直子から言わせれば、その一瞬一瞬を大事に生きているということになる
だから、遊ぶときはそれを徹底してするのだ
仕事も同様である
あらゆる全てのことに、そのとおりなのだ
そんな彼女が、SAPのスケジュールを担当していた
その管理は、周囲の反感を買うと思われたが、それは受け入れられ、逆に効率を生み出すことになった
 
その時間の感覚は、イブにも引き継がれているようだ
彼女の時間の感覚は、海石榴と同等かそれ以上に思えた
 
 
ノックに応えて、細川奈津美巡査部長がドアを開くと、そこには「見星イブ」が立っていた
彼女が知るイブは。。
SAPの情報管理官である「見星イブ」
SAPのスポークスマンである「見星イブ」
SAPのプロダクションに所属する歌手である「見星イブ」
。。である
 
そして、最も有名なのが、ボーカルの見星イブである
彼女は日本の歌謡曲界に衝撃を与えた
若く美しく、他と比べようがないほどの歌唱力を持っていたからだ
その上、歌いながら踊る姿も比類ない
ところが、彼女はTV番組に登場することはなかった
いつもビデオクリップだったのである
 
そんな彼女を有名にしたのが、SAPの提供・制作で放映された「ムーン・レクチャー」である
月に1度、民放のゴールデンタイムの2時間枠で放映された教養番組だった
その番組の中で、先端科学技術や基本的な科学技術の内容を解りやすく説明していたのが、見星イブだった
そして、その番組の休憩時間のCM時間枠で、彼女は歌い踊っていた
それは歌手である見星イブの賢明さを否が応でも高めた上で、歌手としての知名度を上げるものだった
そして、SAPのシンクタンクという知名度よりも、プロダクションとしての知名度が上がっていた
そこに、SAPのCEO「角田沙矢」の目論見があったというのが、特機、特公の見方である
 
奈津美は、見星イブをそのような間近で見たのは初めてだった
彼女がイブを見たのは、TVが大部分である
SAPに行った時も、遠目に見た程度のものだった
 
その時、微かに香るものがあった
フローラル系のオーデコロンである
それが自分が忘れかけていたジャスミンの香りだった
 
言われて見れば、SAPの三大美女は、それぞれが独自のコロンを愛用している
白石百合はスズラン、丸森海石榴はリラ、そして見星イブはジャスミンだった
それぞれが自分の個性を大事にしているのが解る
 
肌は白くきめ細かい
そして、その顔は部品が端正に揃っていて美しい
TVでは見られない圧倒的な存在感があった
奈津美は、改めて感じた
なんて綺麗な人なんだろう。。
 
その人は、海石榴がそうであるように礼儀正しかった
彼女は、有名人である
だが、そんなことは、彼女のどうでもいいことに思えた
それらを全てリセットして、その場に現れたのだ
 
それは丁寧な自己紹介から始まった
その真摯な姿に、全員が起立して敬礼で応えた
 
そして、奈津美が驚いたのは、イブの姿だった
奈津美の知っているイブは、キャリアウーマンのようなスーツ姿だ
それ以外には、歌う時の舞台衣装、そして練習場で見たレオタード姿だけだった
ところが今日のイブは、ホワイトとブルーを基調にしたワンピースだった
 
イブは、奈津美の指示に従って、席についた
その歩く姿は、華麗で人の目を意識しているような歩みだ
それはSAPの女性特有のものだった
自分の美しさを遺憾なく見せつける
 
それを鑑識の山本班長と野村由子巡査部長は、見つめていた
二人は、最前列のイブのテーブルの隣のテーブルにいた
笑みを浮かべて歩いていたイブが、テーブルに着き、目の前の資料を手にした瞬間である
今まであった笑みが消えた
 
資料を見る目は、今までとは打って変わって、鋭さが表れた
由子は、ゾッとする感覚に襲われていた
自分の作った資料が評価されていると思った
それも真剣にである
 
続いて、イブはUSBメモリを手にした
それを握るイブは、目を閉じていた
まるで、メモリの内容を読み込んでいるように思えた
 
それが終わると、イブが静かに手を挙げて言った
 
「よろしかったら、始めてください」
 
それに、右隣のテーブルに座っている桑田警視正と明野礼子警視正が互いに見合って頷いた
 
「野村巡査部長、始めなさい」
 
それに由子が「はい!」と応えて、正面の演壇に向かった
その顔は緊張している
だが、足取りは確実にその場に進めた
 
「鑑識の野村です
 科捜研から送られた報告書に基づき、説明申し上げます
 なお、お手元の資料は、報告署に基づき、私が作成しました」
 
それに太田博美が頷いた
その報告署が送られてきた時、「なによ、これ。。」と言ったのである
内容は、専門用語かどうかは知らないが、とても読みにくい代物だった
報告者が自己満足で書いているという感じである
如何にも自分が優秀だと言わんばかりだ
論理の展開も不十分で、論理が循環してしまっている
何が言いたいのか、解らんという感じだった
 
内容は読み取れたが、解読に時間がかかった
それをそのまま、鑑識に回付したのである
ところが、由子はそれを読み、解りやすく直して資料にしてくれた
それが本来の資料のあり方だ
 
もし、あの資料をそのまま、その場に出したら、SAPの怒りに触れることは避けられない
おそらく、こんなもの読むに値しないと、シュレッダーに放り込まれたに違いない
だが、由子は解りやすさを重点にした
それは、博美にとって絶賛以外のなにものでもなかった
 
「それでは、始めます
 サイエンス・アカデミー・プロジェクトの求めに応じて、DNA鑑定を行いました
 その結果、この老人の死体は、若山敬一のものであると判明しました
 よって、その結論に基づき、指定された調査を行っています
 まず、MRI撮影の結果ですが。。
 異常が認められました
 サイエンス・アカデミー・プロジェクトの指示は、このことを予見していたと思われます」
 
由子は、ディスプレイに映し出された映像を指して話していた
頭部を縦割りにした映像である
 
「大脳が萎縮しています
 それに対して、間脳と中脳に肥大が見られます」
 
それを皆が黙って聞いていた
 
「続いて、DNAのテロメアですが、これにも短縮が見られました
 それで、サイエンス・アカデミー・プロジェクトの指摘が的を射ていることから、科捜研は詳細な検死を行っています
 まず、注射を受けた形跡がありました
 これは血管注射の痕らしいとのことです
 続いて、解剖も行っています
 その結果、甲状腺に異常が認められました」
 
由子は、静かに言った
だが、それは凛とした通る声だった
 
「それから、我々鑑識の心証ですが。。
 このような異常な死体は、データに存在しませんでした
 この原因がなんであるか不明ですが、このような異常が重なっている以上、事件性ありと判断します」
 
それで礼をした
そして、由子は演壇からイブを見つめていた
SAPの指示が何を意味するのか、教えて欲しいという視線だった
 
それにイブは「はい」とは言わなかったが、黙って頷いた
 
それにホッとしたように由子は演壇を降りた
 
それに代わって、見星イブが演壇に立った
もう自己紹介の用はないだろうという感じで、右手を差し伸べた
 
すると、空間にディスプレイが切り出された
その姿も優雅なものだ
手慣れた感じがする
 
3DCGである
脳の映像が映し出されている
頭蓋が取り払われた脳の映像である
脳の下の部分が、脊髄に繋がっている
 
「それでは、先の報告を受けたことについて、我々が意図していることを話します」
 
そして、脳の映像を指して言う
 
「これは正常な脳の映像です
 一般的には、大脳、中脳、小脳、間脳の4階構造になっています
 そして、間脳は大脳と中脳の間にあって、それを連携しています
 また、中脳は、橋を通して、延髄、脊髄との連携を果たしています」
 
続いて、左手を差し出すと、新たなディスプレイが切り出され、また脳の映像が映し出された
これも同様に3DCGだった
 
「こちらが、若山敬一の脳です
 先ほど、野村巡査部長の報告にあったように、大脳が萎縮しています
 そして中脳と間脳に肥大が認められます」
 
続いて、それらが開き、間脳がクローズアップされる
 
「間脳は、大脳半球のほぼ全ての入出力を下位中枢と中継する役目を担っています
 特に視床下部は、本能的な活動を制御しています」
 
続いて、中脳が映し出される
 
「中脳は、間脳に挟まれるようにあります
 脳幹の最も上の部分にあります
 その役目は、なめらかな動きを可能にする錐体外路性運動系の重要な中継をしています
 それ以外にも、対光反射、視聴覚の中継、眼球運動反射、姿勢反射、γ運動ニューロン活動抑制、歩行リズムの中枢の役を果たしています」
 
いつものことだが、イブの説明は解りやすい
その中で、彼女の説明が進んで行く
 
「間脳は、視床下部にある自律神経核によって、自律神経である交感神経と副交感神経を制御しています
 交感神経は、獲物を捕らえる闘争反応や敵から逃れる逃走反応等を制御しています
 副交感神経は、消化や睡眠等のリラクゼーション反応等を制御しています」
 
そう言ってから、また手を差し伸べて新たなディスプレイを切り出した
それには、染色体が映し出される
 
「これはヒトの染色体です
 46対あります」
 
その中の1対が引き出され、拡大される
それが引き延ばされる
するとそれは、DNAのリボンとなって表示されていく
2重の連鎖がリボンのように螺旋を構成している
それが美しい映像を生み出す
 
「テロメアは、このDNA連鎖の末端に存在します
 この連鎖を締めくくるように、連鎖の両端にあります
 これが欠損すると、DNA連鎖の崩壊が起こります
 これが老化の原因になります」
 
そう言って、またディスプレイを切り出す
 
「先ほどの報告にもあったように、科捜研は本気で調べてくれたようですね」
 
この言葉には、皮肉が込められていた
それに太田博美警部も同意するように頷いた
 
「報告によれば、甲状腺に異常が認められるとあります
 甲状腺は、頚部前面にある内分泌器官です
 甲状腺ホルモン、カルシトニンなどのホルモンを分泌する器官です
 特に甲状腺ホルモンは、全ての脊椎動物にあります
 その作用は、甲状腺ホルモン受容体蛋白質を介して起こります
 甲状腺ホルモン受容体は、全身のほとんどの細胞に発現しています
 そして、甲状腺ホルモンの標的器官は、全身のすべての細胞なのです
 甲状腺ホルモン受容体は核内受容体であり、ホルモンと受容体が結合します
 すると、その複合体は核内DNAに結合して、特定のRNAの転写活性を調節します」
 
それに従って、動物が映し出される
 
「恒温動物では、甲状腺ホルモンの作用により、全身の各細胞では呼吸量、エネルギー産生量が増大します
 それにより、全身の細胞での基礎代謝量の維持または促進を起こします
 甲状腺ホルモンは。。
 サケ科などの魚類では、海への降下時の海水適応を起こさせたり。。
 両生類では、幼生から成体への変態を促進させたり。。
 鳥類では、季節ごとの換羽を起こしたりするものです
 このホルモンは、身体を維持するためのシステムなのです」
 
このようにして、由子の報告にあった臓器等の説明を終えた
 
 
 
20120202
 

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スノードロップ(Snowdrop)

イメージ 1
 
 
彼岸花(ひがんばな)科
 
 
学名は、「Galanthus nivalis」
 
「Galanthus(ガランサス)」は、ギリシャ語の「gala(乳)+anthos(花)」が語源
 
「nivalis(ニウァリス)」は、「雪の時期」とか「雪白い」という意味
 
 
花の時期は、2月〜3月で、春を告げる花と知られているよ
 
 
ヨーロッパ南部、コーカサス地方原産
 
明治初年に渡来した
 
 
花は白で、3枚ずつの長い外花被と短い内花被を持つ六弁花なんだよ
 
いくつかの種では内花被に緑色の斑点があるという
 
 
球根草です
 
 
名前の由来は、「雪のしずく」から
 
日本では、「雪の花(ゆきのはな)」とか「待雪草(まつゆきそう)」と呼ばれていたようだね
 
 
白の清純さから、カトリックでは聖母マリアの清めの祭日に捧げられるとか。。
 
また、アダムとイブが楽園を追い出されて困っていたとき、天使が降ってきた雪をスノードロップの花に変えたなどという話もあるそうだよ
 
 
花言葉は「希望」、「慰め」
 
 
 
20100226
 

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カブトムシさなぎ=振動のわけ

 
 
カブトムシ=さなぎはノックで存在知らせる/東大など発見
 
 
トン、トン。。。
トイレにいる人が在室をノックで知らせるのと同じように、カブトムシのさなぎが周囲の土に体を打ち付けて、他の幼虫を遠ざけていることを、東京大と森林総合研究所(茨城県つくば市)が突き止めた
他のカブトムシの幼虫が無断で入室して、もろい自室が壊れるのを防ぐのが目的という
ノックの仕方が、さまざまな昆虫の幼虫を食べるモグラの移動に伴う震動に似ていることも判明し、ノックには他の効果を秘めている可能性がある
 
ドイツの行動生態学・社会生物学誌に発表した
 
カブトムシの幼虫は土の中で20〜50匹の群れで約8カ月間を過ごした後、初夏に周囲の土を塗り固めて蛹室(ようしつ)と呼ばれる卵形の空間を作り、その中でサナギになる
蛹室はもろく、外部の刺激で壊されると羽化がうまくできず、死んでしまうカブトムシが多い
 
チームは、小さなプラスチックの容器に、サナギ1匹と幼虫1匹を入れて実験した
サナギが生きていると、幼虫はサナギの蛹室を11回のうち1回しか壊さなかった
ところが、サナギが死んでいると幼虫は動き回って9回のうち8回蛹室を壊した
 
そこで、土中のサナギを観察すると、幼虫が近づくと背中を蛹室の壁に打ち付けて震動を発していた
どのサナギもほぼ1.5秒間に1回という同じリズムで背中を打ち付けていた
さらに、この震動を空の蛹室で再現すると、幼虫は近寄らず、51回中3回しか蛹室は壊されなかった
 
チームの東京大大学院生は。。
「さなぎが動いていることは知られていたが、目的は謎だった
 まるで会話をしているようだ」
。。と驚く
 
 
(毎日新聞) 2011年11月5日
 
 
20111108
 

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