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「ええ、わかったわ、もうそれ以上は無理に何かを言おうとしなくてもいいわ・・・・」
コマリさんが僕の怪我に向かって頷きながらそう言った。会話を終えたみたいだった。
体の内側から光る何かを感じた。その光は意味のある感じで点滅していた。
それは空はなぜ青いのかといった種類の精神的な真実に通ずるんじゃないかと思えそうな物理学的疑問みたいに、ただ内側からとして感じた。
でもレイリー拡散・・・・。僕は違うことを今は言いたい。
「何か聞き出せたかい?僕の怪我から」
なぜか僕のその声はかれていた。僕の怪我が僕の声帯を利用してコマリさんと会話していたからなんだろうか。それとも僕がただ単に思い出の中で声をからしすぎたせいなんだろうか。
どちらにせよ僕は今ここで何か非果然的な方向性または同 兆候みたいなものが示されうるとはその時点では微塵も考えてはいなかった。
立ち上がったコマリさんは僕の顔を見て「ええ」と頷いた。僕とコマリさんの互いのまばたきのペースがその時ちょうど重なった。ゆっくりと、ちょうど。
「聞き出せたんだね」
「ええ、ちゃんと、聞き出せたわ」
コマリさんは僕の両頬に手をあてた。(かわいそうだから)。サラダボール持つときみたいな感じで、手を。僕がどこかフレッシュな、それもまったく搾りたててないタイプのそれだったことは事実だった。
コマリさんは答えよりもまずは先に僕に微笑んでくれた。(かわいそうだから)。
もしも地獄まで連れて行きたい微笑みがあるとすれば、こんな感じの八面六臂の活躍を見せてくれそうな微笑みがいい。たとえ地獄でも微笑み返せるってもんだ。
「なんて言ってたんだい?」
何て。―――――――― 何て。
「・・・・・うん・・・・・そうね・・・・・」
「いいづらいことかい?」
コマリさんがまだ微笑みの部分をそれほど崩していなかったから、僕はまだそうやって聞けただけな気がした。
「ううん。そんなことはないわ。でも・・・・・」
「・・・・・でも?」
「あなたきっと悩んでしまうわ」
そもそもコマリさんはなぜ青いのか、というわけのわからない疑問が僕の頭の中でごちゃ混ぜで透き通った。
ごちゃごちゃに混ざって、透き通った。
つづく
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