男子にもある拒食症

男子にもある拒食症

引き締まった体にあこがれ
−根底に母親の愛情欠如−



 やせたいという願望が強く、体重増加をひどく恐れて、ほとんど物を食べなくなる拒食症(神経性食思不振症)。若い女性によく見られるが、男子にも珍しいものではない。
● 背景に両親の不和も
 男性の拒食症は、女性の20から25分の1程度と見られている。最近は女性の拒食症が著しく増えているので、男性の割合は以前と比べ低くなっているが、実数では男性も増えている。
 拒食症の男女共通の定義は、(1)標準体重より20%以上やせている(2)拒食や過食など食行動の異常がある(3)体重や体形に対する間違った認識を持っている−など。女性では月経がないことも挙げられるが、男性では性的刺激、例えば女性のヌード写真に無関心といった傾向がある。
 拒食症の発症のきっかけは、男性の場合、減量によって引き締まった体のボクサーなどにあこがれをもつ例が多い。いじめに遭った経験があったり、けんかに弱かったりした男子が多く、恨みを晴らそうと体を鍛え始めたことがきっかけになることもある。
 拒食症は、進行すると内臓疾患を起こすなど、命に関わる。男性の例では、家庭内で両親が不和のことが多い。
● 信頼関係を再構築
 拒食症の背景には、男女とも乳幼児期に母親の愛情が十分に注がれなかったことがあるとする考え方もある。その場合、子供の母親に対する信頼感が築かれず、子供は甘えを抑えて、手の掛からない“良い子”として育つ。心のかっとうが少なく、自我の形成が遅れる。
 こうした子供が、思春期のころにささいな挫折体験を引き金として、やせ願望を強める。その根底には母親の愛情への渇望があり、やせることによって、母親の関心を引こうとする。体が小さくなることを望み、「子宮まで、いや、もっと小さくDNA(遺伝子の本体)まで戻ってやり直したい」と言う患者もいるという。
 拒食症の治療法として、九段坂病院(東京都)心療内科では、母親に養育をやり治してもらう「再養育療法」を実践している。その要点は、母親に「子供が、今ここで何を考え、欲しているのかを一生懸命考えてもらう。それによって、子供の心の動きを読み取れるようにすること」だという。
 具体的には、拒食症患者が女子なら、母親と一緒に寝たり、入浴したり、歩くときには体を寄せ合うといった、濃いスキンシップを行う。男子でも、ひざまくらで昼寝ぐらいはさせる。
 治療期間は、一般に1−3年と長期に及ぶ。拒食症は心の問題。治癒の目安は、体重の回復だけではなく、やせや肥満、食べ物や食べる時間にこだわりがなくなること。拒食症が治ると、円満な人格になる。子供がやせ過ぎだと感じたら、家族の人はなるべく早く、摂食障害を専門とする心療内科や精神科に相談するといい。
 

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