日々是雑感

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 先日、日本熊森協会がドングリをヘリコプターで置く(協会の主張では「まく」は適当ではないとのことなので、それを尊重します)という行動を報じたテレビ朝日の偏った視聴者をミスリードする姿勢をまず批判しました

 そんな中、11月25日のJ−CASTニュースは、このようにきちんと両論併記で報じています。
クマを救えと山にドングリまき 生態系乱すか否かで議論
2010/11/25 20:30 

 エサ不足のクマを救おうと、自然保護団体がドングリ1トンをもヘリで山にまいたことに、疑問の声が相次いでいる。生態系を乱す恐れがあるのではないかというのだ。

 袋詰めのドングリが音を立てて、バケットに流し込まれる。そして、ヘリがバケットをロープで吊し上げると、富山県内の山林に飛び立っていった。


環境省「ネズミが食べるだけで生態系かく乱」
 
 テレビ朝日系のニュース番組で報じられた2010年11月24日のドングリまきシーンだ。ニュースでは同時に、ドングリをもらったクマが手を上げて喜ぶアニメーションも流されていた。

 この秋は木の実が凶作とされ、全国各地でクマが市街地などに出没する騒ぎになっている。ドングリまきを行ったNPO法人「日本熊森協会」は、このまま捕獲され続ければクマが絶滅すると、全国の公園などからドングリを集めて所有のトラスト地670ヘクタールでまいた。ヘリ使用は初めてだが、ドングリまきは、凶作だった04、06年に続き3回目だという。

 ところが、ブログなどでは、こうした行為が山の植生を乱すのではないかと疑問が出て、コメントも多数寄せられている。

 環境省は、ドングリまきが全国各地にむやみに広がることには否定的な立場だ。鳥獣保護業務室の担当者は、専門家から聞いた話として、こう言う。

 「都市部のドングリを持ってきていますので、植生の遺伝子そのものがかく乱される恐れがあります。しかも、地域にない虫がついたものが入っています。地域や都道府県が了解しているならともかく、どこもかしこもというのはどうなのかと思います」
 ドングリをまいても、クマよりむしろ、ネズミがかなりの量を食べてしまうとも言うのだ。

 「クマは、枝の上に登り、ドングリをもぎって食べるんですよ。ドングリをまけば、小さなネズミが大量に繁殖して、豊作のときも全部食べられてしまうので、ますます木の実が不足します」


「いろんな動物が食べ、生態系に影響ない」

   生態系破壊の可能性について、ドングリまきをした日本熊森協会では、森山まり子会長が次のように説明する。

 「日本の多くの森林では、人の手が入っていないところはほとんどありません。私たちは、原生林ではなく、こうした遺伝子がかく乱されたところにドングリをまいています。また、都市部の公園などにあるドングリは、暖地性のもので、気温が低い山の中で発芽することはほとんどありません。落葉広葉樹のドングリとは、性格が違います。また、山によって遺伝子が違うブナやミズナラのドングリは運ばず、日本の里山に多く植え替えられたコナラやクヌギのを運んでおり、それに付いている虫も固有の遺伝子はないんですよ」
  
 ネズミばかりがドングリを食べているかについては、こう反論した。

 「それは全部ウソですよ。クマが食べた証拠写真など、うちはいっぱい撮ってあります。農作物を食い荒らすようなネズミは、山にいるネズミと種類が違います。山にいるのは、半径10メートル以内にあるドングリを食べるアカネズミです。まいたドングリは、タヌキやシカなどいろんな動物が食べており、バランスが取れているので、ネズミだけが増えるようなことはありません。批判している人たちは、奥山を歩いていないので、そんなことを全然知らないんですよ」

 環境省の担当者は、ドングリまき以外にクマを守る方法として、次のように言う。

 「ドングリなどがなる同じ植生の木を山に植栽したり、中山間地域の柿や栗を木から落として山から出てこないようにしたりすることが考えられます。人間の生活圏との境を明確にすることが大切でしょう」

  これに対し、熊森協会の森山会長は、こう批判している。

 「動いていないのは環境省であって、うちはどんどんドングリの木などを植えています。中山間地域で、柿や栗などの木を植えていたのは、凶作のときに街中に出てくるのでクマ止め林として必要だったからです。役人は現場を知らないので、柿を落とせなどと、してはならないことを指導しているんですよ」
 テレビ朝日に比べれば資本力も組織力も小さいと思われる報道がこのような基本的なスタンスをしっかり守り、読者が考えることができる記事を丁寧に掲載しているのに…。

 さて、私の考えはほぼ環境省のご担当の方と同じ意見です。
 では、記事中の日本熊森協会の会長さんの主張について、私の考えによる反論・疑問を書かせていただきましょう。

 「日本の多くの森林では、人の手が入っていないところはほとんどありません。私たちは、原生林ではなく、こうした遺伝子がかく乱されたところにドングリをまいています。また、都市部の公園などにあるドングリは、暖地性のもので、気温が低い山の中で発芽することはほとんどありません。落葉広葉樹のドングリとは、性格が違います。また、山によって遺伝子が違うブナやミズナラのドングリは運ばず、日本の里山に多く植え替えられたコナラやクヌギのを運んでおり、それに付いている虫も固有の遺伝子はないんですよ」
 まず、「私たちは、原生林では無く、こうした遺伝子がかく乱されたところにドングリをまいています」というのは、おかしいですね。私が先に拝見した11月26日の読売新聞の記事の抜粋ですが、こうありましたが?
クマさんドングリ食べて!餌不足は人災と1トン

【前略】

 人里で捕殺されるケースが相次いでいるため、山から下りないでほしいとの願いを込め、全国の支援者から寄せられたドングリを使用したという。

 運び先は、同協会が2006年8月に購入した山間部の原野約670ヘクタール。原生林が残り、クマの生息地になっているという。

【後略】
疑問1)
 記事が誤報でないとすれば、まいたのは協会さん所有の原生林が残る場所とか。会長さんの「原生林にはまかない」という説明と矛盾しています。だいたい、協会がトラスト運動部門で寄付金を集め購入している土地は、そういう豊かな手つかずの貴重な森林なはずでは無かったのですか?
 どうも印象として、その場限りの取り繕いという感がしてしまいます。

 そもそも、まく場所が「原生林か否か」だけが論点ではなく、人の手が入って植樹された木々でも、既に実をつけるまで生長した木は、その土地の気候風土に合わせながら生長し、その身に付けた形質を次世代に残そうと繁殖しようとしているはずですが、そこに他の気候風土のドングリを持って来て、それが生長してしまえば、最初の木が数十年かけて身に付けた形質を無に帰しかねないことになると指摘されていると思うのですが?

 決定的なのは、会長さんらは熊の出没を人の手によって熊の住める森林が失われることになったからという主旨でその行為を非難していますが、ご自身のその主張は「既に人の手が入っている場所ならば、自分たちがさらにメチャクチャにしたって構わないじゃないか」と開き直っている・自己否定しているように読めるのですが?矛盾しませんか?


疑問2)
 暖地性のドングリが山間部で発芽しないか否かは、私もいずれ実験するとして、仮に協会さんの主張どおり暖地性のドングリは発芽しないとしましょう。
 しかし、今回「置いた」ドングリは、全国の支援者から送られたものということですが、その全てのドングリの木が暖地性だと、なぜわかるのですか?仮に送ってきた支援者全員、協会さんの指導どおり公園などに植樹してある木から取ったものであったとしても、その公園にある木が気温の低い山間地で栽培されていた木ではないと、なぜ言えるのでしょう?その木1本1本の由来まで全て確かめたのでしょうか?

 さらに言えば、北海道や東北は、平地でも冬は氷点下になる街もあります。そういうところでは、公園のドングリでも発芽する耐性を獲得しているかもしれませんが、その検証はされたのでしょうか?

 もっと言えば、まいた場所が記録的な暖冬・気温が高い冬となった場合は、どうなんでしょうか?
 ・・・と、全く会長さんの説明では説得力がありませんけど。

 以前は、確か送られてきたドングリは全てゆでるなどして、発芽防止や害虫を駆除するので問題は無いという主旨の弁明をされていたはずですが、今回はそれにひと言も触れていないのは、していないのですか?かつての弁明から変わった理由はなぜですか?こんな大事なことを、言い忘れたのですか?その程度なのですか?

疑問3)
 「山によって遺伝子が違うブナやミズナラのドングリは運ばず、日本の里山に多く植え替えられたコナラやクヌギのを運んでいる」とおっしゃいますが、ブナやクヌギは形に特徴があってすぐにわかりますが、ミズナラとコナラなんて、ぱっと見、区別がそんなに簡単にできますか?公園などに混在して植えてあって、それで地面に落ちていた場合、完全に区別ができるんですか?

…と、たった数行のご主張にも、すぐにこれくらい、疑義が生じます。

 まず、事実上、確認しきれないこと大いに疑義が残っていることを、明らかに問題無い・確認しているというような断定的に主張しているそのご姿勢は、J−CASTニュースが意図的に文言を編集などしていないならば、私は大いに疑問に思いますが。

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最後の里山への無知に呆れかえる。というか奥山の話で環境省攻撃がなぜ里山に移行するのかも疑問。植樹だってこころある人々はその山域どんぐりを集めて数年かけて苗木を作って植えている。あれほど亜種が多く、どんぐりの判別も木と葉とどんぐり見て同定しないと、あれれというのも見つかることの多いどんぐりを、しかも公園などいっぱい取れるところはまして外来種多いどんぐりを、撒ける無知さには閉口する。まして日本の亜種など特有のものあり、遺伝子的多様性も十分に守らなきゃいけない樹種であるだけに非常に問題な行為。
特に奥山ならなおさら遺伝子的多様性を壊してしまうので、自然破壊行為以外の何物でもない。
ネズミなど他の動物と違う繁殖をするものへの餌の供給になる怖さが見えていない。それは熊の餌さえ無くなる原因に繋がることを見えていない。熊を守るためにやらなあかんことが見えていなさすぎというか、イージーにしかやりたくないというところか。
そろそろ「熊と森を殺す会」と言い換えるべきだろうな。

2010/11/26(金) 午後 11:24 りーふ 返信する

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SHINYAさん、最近の市民団体の中には、その活動を活性化させるために、面倒で継続的な活動は避け、効果と結果が早く実感できる=手っ取り早い活動が多いように思います。手柄を焦っているような。
そして、何となく責任の所在もあいまいで、気軽に入って気軽に抜けられるというあいまいで甘いもので、いざとなれば霧消してしまうようなもの。それがなぜか発言権を増しているのが恐ろしいものです。

2010/11/28(日) 午後 10:26 [ 泉ヶ岳 ] 返信する

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