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『あかいろの童話集 (アンドルー・ラング世界童話集 第 2巻)』意外とえぐい


童話、昔話に頻出するテーマ、あるいは要素として「結婚」がある。

「シンデレラ」にせよ、「アラジンと魔法のランプ」にせよ、現在読み聞かせ中の本書冒頭の物語「サンザシ姫」にしても。

そこに表れる「素晴らしい結婚相手」の要素は

・王族、貴族であること
・お金持ちであること
・美人・美男であること

子供にとっては、それが何の不思議ではないのだけれど、今、成人し、多少の分別のつく(?)年齢に達している私(あえて「たち」とは書かない)にとって、このリストは面白い。だって、今時「王」なんて。貴族なんて。お金持ちってったって、半端じゃないお金持ちがお金持ちなのだ。たとえば、お城を建てちゃうような。

シンデレラにしたって、哀れな子供達はたくさんいる。その中のたった一人なのだ。王子様と結婚できるのは。その他大勢はやっぱり意地悪なままははにいじめ抜かれているのだ。どこかで。

そんな風に考えないのが子供。かわいそうな子供が、王様、王子様とお知り合いになり、やがては・・・ハッピーエンドを迎える。それを不思議と思わないのが子供。

不思議と思わないからこそ、前向きに、そして幸せに考えられるのかもしれない。思えば、大人は分別が付いてしまったばっかりに、「あれは無理」「こんなのあり得ない」と様々な可能性を自ら失っているのかもしれない。子供の時分に細かな分別がないというのは、神様からの贈り物なのかもしれない。そのおかげでこそ、「夢」を見ることが出来るのだ。


* * *

さて、「サンザシ姫」を読み聞かせている、と書いたが、先日はこの『赤い本』から別のエピソードも読み聞かせてみた。3歳児には難しい言い回しだし、お話もずいぶん長い。そこで工夫したのが、声とイントネーションだ。我が息子は食べ物に目がない。おもちゃを取り上げてもへともこたえないが、おやつを抜きにすると宣言すると手榴弾よろしくそこらじゅう暴れまくる。食い気が全てに優先する。そこで、食べ物の記述の所は入念に読む。物語の中に擬音をアドリブで入れる。などして変化を与えている。何とか膝の上を離れず、手悪さをしながらなのだが、耳を傾け続ける。

そのうちに、出てきた語彙を、意味も分からずつぶやいていることがあり、子供の学習力・吸収力の強さに驚かされている。

大人からすれば、本書に収められた物語はどれも荒唐無稽。まあ、童話なのだから荒唐無稽でないのもおかしいかな。しかし、男女の評価基準が経済力か容姿というところ、悪者をかんたんに「殺す」ところなど、かなり刺激的。やはり昔のお話だなあと感じられる。

大人にとっても、現代という時代によって制限されてしまっている精神世界や価値観を、こういった過去の童話がもみほぐし、拡げてくれるのかもしれない。なんだか、読んでいてそう思えるのだった。

* * *

分厚いこの本をもって枕元に行くと、息子は嫌な顔をするどころか、膝に乗ってくる。どうやら気に入ったようである。もしかしたら子供から見て大事なのは、内容ばかりではなく、接触時間が長くなることなのかもしれない。たとえ意味がわからなくても、膝の上でのんびり声に耳を傾けるだけで満足なのかもしれない。だから、意味がわからなくても、父親のパジャマの裾や袖をいじくり回しながらおとなしくしているのかもしれない。

今夜もサンザシ姫の物語はつづく。二人は駆け落ちして船で遠くへ・・・おいおい、駆け落ちかい。



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