創作童話
最後の葉っぱひゅう、ひゅう、ひゅう。強い風が吹き荒れる中「行かないで!僕を一人にしないで!」「もうだめだ!おまえ一人になっても頑張れよ!」
一枚の葉っぱが風にのってひらひらと散っていきました。
「僕一人ぼっちじゃ心細くて生きられない。えーん、えーん、えーん」
公園にある大きな木に一枚になった葉っぱは、ずっと泣き続けました。
ついこの間まで、たくさんの仲間がいたのに強い風によって、みんな吹き飛ばされてしまったのです。
葉っぱもみんなと一緒に吹き飛ばされてしまいたいのに、なぜか自分だけは、しっかりと枝にくっついているのでした。
「ねえ、ママ見てあの葉っぱ一人ぼっちだね」
ちいさな男の子が、葉っぱを指さして言いました。
「あら本当、なんだか淋しそうねえ」
「葉っぱさん僕がお友達になってあげるよ」
男の子は舌足らずに言いました。
「友達になってもらってもどうせ僕は一人ぼっちだ」
葉っぱは思いました。
でも男の子は葉っぱに会いに毎日来てくれるようになりました。
幼稚園でお遊戯会の練習をしたこと。将来は、幼稚園にいるきれいな女の先生と結婚しようと思っていること。好物はカレーライスだ。など葉っぱに元気に話しかけてくるのでした。
葉っぱは、男の子のことはあまり関心がありませんでした。いつもお母さんが側にいて幸せそうな顔を見ていると、うらやましさのあまり憎らしい感情があったからです。
でも、風の少し強い日は、勢いよく走って来て、「葉っぱさん、よかった無事だね」ほっとしたように言ってくれる顔を見ていると、だんだん男の子のことが好きになり、いつしか男の子が現れるのを待ち遠しく思うようになりました。
仲間が飛ばされてから、一日がとても長く、早く自分も飛ばされてしまいたい。と後ろ向きなことばかり考えていた葉っぱですが、男の子に会うことが、生きる喜びに変わっていたのでした。
ひゅう、ひゅう、ひゅう、最後の葉っぱもいよいよ旅立つ時がきたようです。枝にしっかりとくっついていた自分の体が、弱弱しく今にも枝から落ちそうです。
その様子を、男の子が心配そうに見つめていました。
ひらひらひら、最後の葉っぱが風にのって散ってしまいました。
そして男の子の手のひらに舞い落ちたのです。
「葉っぱさん」男の子の目から大きな涙がこぼれおちました。
「葉っぱさんは、与えられた時期を一生懸命生きたのよ。一人ぼっちだったのによくがんばったね。人間も葉っぱも与えられた生命を精一杯生きるために生まれてくるのよ。さあ葉っぱさんにお疲れさまと言ってあげましょう」
男の子は、お母さんの話はまだ難しく理解できていないようでしたが、葉っぱを手のひらにのせたまま、やさしく言いました。「葉っぱさん、お疲れさま・・・」
分厚いダウンジャケットをおいて、少し薄手のジャケットをはおる季節がやってきました。
あちらこちらで、色鮮やかな花が咲き乱れています。
男の子は、いつものように公園を走り回っていました。
ふと見ると、あの大きな木に、ピンクのかわいい花がぽつりぽつり咲いていました。
「ママ見て、お花が咲いている!」
「あらまあ、きれいね。葉っぱさんが頑張ったからこんなかわいいお花が咲いたのね。きっと葉っぱさんも喜んでいるわよ」
「そうかあ、このきれいなお花は、葉っぱさんからの贈り物なのか!葉っぱさんありがとう」男の子は空を見上げて元気よく言いました。 |


