上信越ひとり旅・3
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ホテルへのチェックインの予約時刻は7時、現在時刻は3時45分。
カーナビが示した到着予定時刻は、4時10分。
さて、どうする私。
とりあえず、他にする事がないのでそばを食べた後にホテルへ直行して温泉を満喫しようと考えていたのですが、このままですと宿泊先へのあからさまな嫌がらせになってしまう事は間違いないですので、私はホテルへ電話をし、4時過ぎには着いてしまう旨を伝えました。
そして本当にカーナビが示した到着時刻と1分と変わらずにホテルへ到着、ようやく人心地つけるようになりました。
さて、実は私にこの暴挙ともとれるひとり旅を決断させたのは、このホテルなのです。
1泊2食付・5000円なり!
しかも、温泉マイスターがいて源泉掛け流し、湯船には温泉の効能のかたまりともいえる湯華がたくさん、とのこと。
すぐ近くが妙高高原のスキー場ということもあり、冬には沢山のスキー客が訪れ、そして沢山のレビューにも
●温泉がすごく良かった! ちょうどいい湯加減でスノボ疲れにもサイコー!
●2月の寒いときに訪れたのですが、この宿泊料金で2食付とは驚きました。
また、本当にいいの? と思うような料理の内容と味、そして湯加減も最高でした。
こういった素晴らしいコメントが寄せられていたのです。
それもそのはず、ここの温泉は、数キロ先にある源泉から湧き出る50度を超える高温泉を引いており、その数キロの移動で湯船に満たされるときにはちょうど43度になっているんだそうです。
ですから足し湯や加熱は一切行っておらず、本当にそのままの源泉に入れるのです。
さらに、私にとって嬉しい誤算があったのです。
楽天トラベルで予約したのですが、6月末までの国内旅行期間限定クーポンというものが適用されたらしく、なんと、5000円からさらに1000円分のクーポン割引が付いて、1泊2食付で4000円!(入湯税150円は別)
私は、喜んで予約申し込みボタンをクリックしました。
さて、部屋はこんな感じ。
落ち着いた和室といった感じです。
そしてレビューにもあったお食事(夕食)が、こちら!
本当に1泊4000円かというお料理でしょ?
お味も、普通に美味しく頂けましたよ。
中でも、陶板の中でふつふつと湯気を立てる、この若竹のお味噌汁が、お腹の中から温まって美味しかったです。
お風呂は噂にたがわぬ湯華がいっぱいのお湯。
ふん、と匂う硫黄の香りが効能の高さを伺わせました。
朝食は、カメラを持っていかなかったので撮影できませんでしたが、ハムエッグやサラダ、ひととおりのおかずが付いていて、温かいご飯も美味しかったです。
ふう…。
さて、そろそろ、いいですか?
ずいぶんと褒めましたよね?
もちろん嘘はついていませんよ、本当のことしか書いていません。
ただし、いい部分だけをピックアップしてね。
さあ、皆さんお待ちかね、グチと不幸の日記はここから本編がスタートします!
まず、ホテルにチェックインしてすぐ、私は渡された説明書きに愕然としました。
『当ホテルでは、布団敷きサービスは行っておりませんので、ご自分で敷いて下さい』
布団はセルフと来た!
まあ、このぐらいならコストパフォーマンス的に考えても十分にお釣りが来るものでしょう。
ただ、部屋に入って窓から外を見たとき、嫌な予感がしたのでした。
クーラーの室外機に、カバーがかかったまんま。
確か、予約の段階で全室冷暖房完備と書いてあったはずでした。
まあ、とりあえずそれは置いといて、風呂に入ればこのモヤモヤも消えるだろうということで、私はすぐさまお風呂へと向かいました。
しかしここで、この旅行最大の悲劇が私を襲うのです。
この日の宿泊客は私を入れた二組だけ(歓迎看板に書いてあった)なので、ゆっくりと擬似貸切風呂を満喫することができそうで、私の心はわくわくと高鳴っていました。
お風呂に到着し、そそくさと服を脱ぎ、いざ浴室へ。
香る硫黄の匂いが鼻をくすぐり、こじんまりとした浴室ながらもその効能には十分期待できそうでした。
私はシャワーで全身を流し、そしていざ浴槽へ。
はっあああああ〜〜〜〜〜〜〜…………………。
ここまでの長い旅路の疲れがじんわりと湯に溶けていく、まさに極楽を味わった声。
ではない。
次の瞬間、
あっちいいいいいいいーーーーーーーっっっっ!!!!!
さっきのは、あまりのお湯の熱さに声にならない悲鳴を上げたときの声、なのです。
私はふくらはぎまでお湯に浸かった状態で身体が硬直し、数秒間身動きが取れない状態になってしまいました。
そうこうしているうちに逆に頭の中がやけに冷たくなってきて、これは危機だと脳が私に信号を送っていました。
私は慌ててお湯から足を引き抜き、さながらひところ流行ったブレイクダンスのような格好で背中をコンクリートの床につけながら、両足を高く上げてのた打ち回りました。
全裸で。
正直、この時点でも脳が混乱していて何が起こったのかが正確に把握できず、私はただ湯船をぽかーんと眺めているだけでした。
しかしそれを過ぎるとようやく冷静さが戻ってきたようで、私はしきりになぜこんなに熱いのか、その理由に頭を巡らせました。
確か、レビューでは最高の湯加減と書いてあったはずだ、数キロ移動しているうちに温度が自然に下がって、湯船ではちょうどいい温度になると。
確かスノボ疲れにもサイコー! とか、2月に来た人のレビューにも湯加減最高と…
ん? 2月? スノボ? 数キロお湯が移動する…?
この時点でようやく謎が解けました。
今は6月、気温が高いのです。
そう、2月の寒い気候の中を数キロ移動してきたお湯がちょうどいい湯加減なら、この時期に数キロ移動してきたお湯は…?
熱いに決まってるだろ!
出て来い、温泉マイスター!(大泣き)
そして私が取った行動は、お湯を人間の入れる温度まで下げること、つまり、大量の水を湯船にぶち込むことでした。
身体を洗うところにしゃがみ、タライに水を張り、その水を何度も何度も3メートル先の浴槽にぶちまける。
飛び散る湯花、薄まる源泉掛け流しの湯。
もうそんな事なんかどうだっていい、とにかく、湯船に入らなければ話にならないのだ。
そしてこのルーティンを行っているとき、ふと私は気づいてはいけない事に思いを馳せてしまいました。
私、長野まで一人で来て、全裸で、何やってんだ?
これに気づいてしまってからというもの、何だか意味も解らずもう悲しくて悲しくて(笑)。
ですが、そんな負の感情に負けることなく作業を続けること10分、何度か足をつけては熱いと引っ込めつつ、50杯目のタライの水をぶちまけたところで、ようやく我慢すれば何とか肩まで入れる温度にまで下げることに成功しました。
しかしこの時点で私の身体は、ろくに湯にも浸からず延々と水をぶちまけ続けた結果として、明らかに身体が冷え切り、悪寒が走り始めていました。
慌てて湯に入るも、我慢すれば何とかは入れる、というレベルの湯温のため、ちょっと入ってはすぐ上がるを繰り返し、結局最終的にはほぼ足湯、という状態でした。
しかしさすがは温泉、足湯と言えども体は温まったようで、脱衣所で着替える頃には全身から滝のような汗が噴き出していました。
ここで必要になるのが、クーラーです。
私はさきほど部屋で感じた嫌な予感をできるだけ意識しないようにしつつ、フロントに行きました。
「すいません、部屋にクーラーのリモコンが無かったのですが…。」
すると、応対してくれた方の顔がみるみるうちに曇り
「まだ、エアコンの点検してないんですよ…、使えないんです…。」
そうしているうちにもぼたぼたと汗をかき続けるデブが一人、苦虫を噛み潰したような表情で謝る男性の前で、タオルを片手に愕然としていました。
仕方がないので夕食時刻の6時半までのおよそ1時間半、私はむしっとした部屋で布団を敷き、その上に横になって仮眠をとることにしました。
6時20分、目覚ましが鳴りました。
この時点で、ものすごい具合悪さが私を襲っていました。
原因は間違いなく、温泉とタライの水です。
ですので、正直言って夕食は味をほとんど覚えていないのと、少なくとも美味しい・楽しい食事にはならなかったということだけは伝えておきます。
そしてこの悪寒を取り除くために就寝前にもう一度、翌朝もう一度と、計3度温泉に浸かり、まあ温泉を満喫するという意味では目的は達成されたんじゃないでしょうか(笑)。
そして人間は成長する生き物、私は段々と効率よく湯船に水を足す方法を確立させていき、2回目の入浴ではシャワーの勢いを最大にして水を足すシャワー砲を編み出し、水を足す時間をおよそ7分に短縮。
さらに翌朝、3回目の入浴の際にはシャワー2刀流という技まで編み出し、およそ5分まで時間を短縮することができました(笑)。
ただ、想像してみて下さい?
デブが全裸でシャワー2刀流ですよ?(笑)
とりあえずようやく湯船にゆっくりと浸かれたおかげで悪寒はすっかり消え、私は意気揚々と本日の目的地、長野市にある善光寺へと向かったのでした。
なお、このホテルの名前を実名で出さなかったのは、いちおう色々な気遣いをこめて、ということにしておきます。
安ければいいのだ、というワケではないのだ。
−予告−
さあ、この旅もいよいよ大詰め、残すは善光寺とそば打ち体験のみとなりました。
そして、そば打ち体験では皆さんが見たくなくてしょうがない、私の全体像がモザイク無しで登場します。 |
