ナポリ
『ひまわり』 I Girasoli
(監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 主演:マルチェロ・マストロヤンニ、ソフィア・ローレン 1970)
冒頭とラスト、ヘンリー・マンシーニのテーマ曲♪Sunflowerが一面のひまわり畑を写しながら流れる。この映画の象徴だ。このひまわり畑、この下に無数の兵士たちが眠っている。みな第二次世界大戦で亡くなった兵士たちである。
『ひまわり』は、『自動車泥棒』でネオレアリズモの旗手として知られるようになったヴィットリオ・デ・シーカが、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンの黄金コンビで撮った、反戦映画だ。この反戦のメッセージは、劇中ずっと静かに佇んでいる。一面のひまわり畑のように。
第二次世界大戦時のイタリア・ナポリで出会った男女が、アフリカ戦線行きを逃れるために結婚。結婚休暇を利用したり、狂人を装ったりするが、結局はロシア戦線に送られることになる。ミラノ駅から戦地に送られるアントニオを見送るジョバンナ。終戦後も帰ってこないアントニオを探しに、ジョバンナはソ連まで赴く。そこで目にしたのが一面のひまわり畑だった。
私はイタリア軍が第二次世界大戦でロシア戦線に参入していたことを知らなかった!ドイツ軍の援軍として、ムッソリーニがロシアに送り込んでいる。それはイタリア・ロシア戦域軍という。
アントニオが送られたのは陸軍歩兵で、ドン河(←『静かなるドン』のドン河)を撤退中に雪原で行き倒れた…ということからして、ブラウ作戦におけるイタリア第8軍か?
この第8軍は数奇な運命を辿っている。ドン河を目指して進軍していたが、作戦がうまくいかず撤退・敗走。全てが凍てつくロシアの地で、兵士たちは次々行き倒れていった。
このロシア戦線のシーンの映像が秀逸だ。雪の白、戦う者たちの黒、ロシアの旗の赤のトリコロールのコントラストが印象的!戦争の無機質な感覚を捉えている。
Wikipediaには、例のひまわり畑の撮影はスペインで行われたと書いてあった。当時まだソ連での撮影許可を得るには困難を極めたようで、度重なる内容の説明と説得により、ようやく撮影にこぎつけたらしい。
内容は反戦だが、映画の中には絶対悪という存在がない。例えばどの国が悪いとか…責任のなすり合いや戦争映画にありがちなステレオタイプな残忍な〇〇軍兵士、などといった役柄が出てこない。この映画の中で絶対悪は「戦争」である。そういった普遍的な内容がソ連関係者を説得できた所以かもしれない。
★余談→それにしてもソフィア・ローレン…美しい!そしてついでに、原題の「I Grasoli」=ひまわり(複数形)で、イタリア語の難関“冠詞の変化”を覚えられそう!男性名詞の複数形の定冠詞は“I”だー!! |

