20世紀徳島少年記
20世紀徳島少年記 vol.012004年、明けましておめでとうございます。21世紀がはじまってはやくも3年目に突入いたしました。ところで浦沢直樹氏の「20世紀少年」みなさん愛読してることだと思いますが、20世紀から21世紀の過去から未来へと駆け抜けるこのストーリーを読み、僕も昔話を発言したくなったわけです。そこで、20世紀の少年時代に遊んだ僕のおもちゃや出来事の話を、個人的な観点で書くというコーナーです。 今回は、男の浪漫「ラジコン編」についての回想ストーリー *1)1976年に誕生した僕は、幼い頃からモノを作ることに興味があり、幼稚園の頃からお菓子と一緒についてくる*2)オマケプラモを親友と買って、歩きながら組み立てて帰る毎日が続きました。当然毎日買っているので、同じモデルが入っていることもあり、「やられた−。また一緒じゃー。」「これと代えてくれへん?」「あほかー。俺も持ってるからいらんわ!」「明日良いのが当たりますように!」と他愛もない会話をしながら遊んでました。…っと回想しすぎましたが、とにかくバラバラの部品を設計通り組み立てることで、完成図と同じになることに感動を得ていた幼少期だったのです。 しかし年を重ねるにつれ、もっと高度なモノを追求していくのが男の性であり、ついにプラモデルのドリームランド*3) クリッパーに出没する日々が始まったのです。そこへ連日のように通いつめ、お金は無いのに”品定めしてます”って目で店員に合図を送りつつ(多分店員はあきれてたに違いない)、片っ端から説明書を眺め、頭の中で妄想しながら組み立てて遊んでいました(変態じみてるが…)。そんなある日密かに思いを寄せていた、*4)未開の地、ラジコンの陳列棚へと近寄ってみました。他のプラモデルとは比較にならないほど箱が大きく、しかも開けられないように厳重にヒモで縛ばられていました。必殺の妄想組み立て遊びもすることができない、高級感漂う一角でした。周りで見ている人は、僕より背丈は1.5倍以上あるお兄様方が、何やらラジコン用語をかっこよくキメている最中でした。そんな会話をチラ聞きしながらも、陳列台に目を向けていました。どれも数万円する代物がずらりと並んでいました。しかしなんと一箱だけ"大特価3000円!!!"の文字が目に飛び込んできたのです!ゲゲッ!(キン肉マン調で読むべし)しかもボートのラジコン!今までは、ラジコンカーばかりに興味を持っていたので、これはさらに未開の地だったわけです。更にそのパッケージ写真を見てみるとボートの横にはプロポ(無線コントローラのこと)の写真がクッキリと印刷されてるじゃないっすか!さらにゲゲッ!これを買えば3000円ポッキリでラジコンができると思い、ひねり出した答えは、"購入"の2文字。ビックチャンス。あの軍資金がある!実は当時、月300円のお小遣いの中から密かに貯めていたのだ!僕は店にしばし別れを告げ、*5)段きり自転車でレーサーのごとくシフトチェンジしながら家路に急ぎました。そして、隠して置いた秘密の軍資金と*6)クリッパーポイント券を握り締め、Bダッシュで店へと向かいました。息を切らせながらもようやく店に到着。もう一度その品を確認!僕を待ってたかのように輝きながらピクリとも動かずその場所に置いてありました。「よしっ買うぞ」と決心し、その大きな箱をレジカウンターに持っていきました。店員さんも"君もついにその領域に達したかっ!"という具合の表情を浮かべながら、うれしそうに包装してくれました。握り締めた軍資金とポイント券合わせて3000円ピッタシ差出し、見事購入完了!そしてその箱を抱えつつ意気揚々と帰る僕の後姿は、さぞかしかっこよかったはず(僕的妄想談より)。そして帰り道、同世代の少年達とすれ違うと、またもや僕の妄想が始まり A君「あいつあんな大きなプラモ買ってるぞ。」エコー〜〜 B君「あんな大きいのはラジコンかもしれんぞ。」エコー〜〜 A君「やるなーあいつ。ラジコンといえば大人がするもんやのになー。」エコー〜〜 B君「かっこいい。俺達もがんばろーぜ。」エコー〜〜 と、まったくもってド恥ずかしいことを繰り返しながら家へと急ぎました。そしていよいよ箱を開ける時が来ました!*7)店の包装紙を外し、パッカーンと開けると、そこには堂々たるラジコンの部品群が並んでいました。ボートらしきパーツを手に取り、水上を走っている様子を思い浮かべながら、しばらく妄想に更けていました…。ハッと我に返りさらに箱の中を探っていると、ふとパッケージに写っていたプロポの事を思い出しました。あれこれ探していましたが、あれっあんなに大きいのに無い!「まさかプロポも組み立てるのか?」と説明書も見てみましたが設計図はボートのみ???さらに難しい説明書を一生懸命読んでいると、"プロポ・バッテリー等は別売りです。お買い求めください"と記述しています。何っ???パッケージ写真にはプロポの写真があるやんけ。なんじゃこりゃーー!これって詐欺とちゃうん?そうだ詐欺や!そんな心の叫びと絶望感に浸っていると、ひょっこり僕の父ちゃんが現れ「何しょんや?」。理由を必死で説明すると、父ちゃんがパッケージの側面を見て、すぐさま「おまえはアホやな。ここにちゃんと書いてるだろう。」と衝撃の言葉を告げられ、よーく見てみると小さな文字でちゃんと書いていました。「敗北!」この2文字が頭をよぎりました。余りにも”大特価3000円”の甘い罠に目を奪われて見落としておりました。しっかりしろ俺っ!しかし後の祭り。なんとすばらしいぐらいのオチ。僕のラジコンライフはこれで終わったのか!!! *1)1976年
ロッキード事件で辞任した前首相田中角栄に打って変わって、徳島初の総理大臣三木武夫 が日本を統治していた最後の年。意味深な年に生まれた僕達はなんか凄いかも。
*2)オマケプラモ
当時100円だったと思われる。丸いチョコレートのお菓子と一緒についてくるガンダムシ リーズのミニプラモデル。中身は何が入っているのか分からないので、子供ながら慎重に 吟味して選ぶが、多々同じモノを引き当ててしまう日々が続く。ちゃんとお菓子も捨てずに オヤツの友として食べる。母ちゃんオヤツの手抜きで楽だったはず。
*3)クリッパー
徳島市内では"ここにクリッパーあり"とばかりに大きなショーウィンドウにスタッフが組み 立てたプラモデルが飾ってあり、子供ながら僕もあんな風に作ってやる!と意気込んでい た所である。ラジコンはもちろん、モデルガン・プラモデル・塗料セットなど、所狭 しとプラモデルに関するモノが陳列していた。現在も健在。
*4)未開の地
手付かずとは言うものの、単なる小学生の僕には手の届かない高嶺の花の存在だっただ けで、見て見ぬ振りをしていた。いわゆる逃避行ってやつです。
*5)段きり自転車
サドルの前に1〜5段までの変則切り替えレバーが付いた自転車。当時はかなり流行り、 親に土下座して買ってもらった愛車。当然翌月からはお小遣い無しに。。。
*6)クリッパーポイント券
商品を買うと付いてくる現金券。確か5円〜50円券まであった。当時は1000円くらいをヘ ソクリしていたはず。
*7)店の包装紙
クリッパーと書かれた紺色の包装紙。これが個人的に格別良い匂いで、箱を開ける前に儀式 として匂いを嗅いでいました。今でも嗅ぎたい一品。
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