厚生労働省は17日、交通事故や転倒などが原因で、脳や脊髄(せきずい)を覆う硬膜から髄液が漏れる「脳脊髄液漏出症」の患者に対する治療に、公的医療保険の併用を認めることを決めた。7月から適用される。この日開かれた専門家会議で、この方針が了承された。
脳脊髄液漏出症は、頭部に強い衝撃を受けたことをきっかけに激しい頭痛やめまいなどが長く続く「脳脊髄液減少症」の一部。昨年秋に厚労省の研究班が、診断基準をつくった。
公的医療保険との併用が認められる治療法は、破れた硬膜の周辺に患者の血液を注入し、髄液が漏れるのを防ぐ「ブラッドパッチ療法」。この治療にかかる費用1万8千円程度は全額負担しなければならないが、そのほかの入院費などは1〜3割の負担で済む。
脳脊髄液減少症患者・家族支援協会によると、これまで全額自費で30万円前後かかっていたのが、3割負担の患者で10万円弱になる。患者数は約1万人で、保険併用が認められる対象はその1、2割とみられるという。中井宏代表理事は「保険適用への第一歩。10年間訴えてきたので、感慨深い」と話した。
脳脊髄液減少症の治療法「ブラッドパッチ」 先進医療に認定
交通事故などをきっかけに髄液が漏れ、激しい頭痛やめまいを引き起こす「脳脊髄液減少症」について、厚生労働省の専門家会議は17日、自分の血液で穴をふさぐ治療法「ブラッドパッチ」を、厚労省の基準を満たした医療機関で治療を受ければ費用の一部が保険適用される「先進医療」に認めた。早ければ7月から適用される。
同症の治療では、自身の血液を硬膜外に注射し髄液漏れを止めるブラッドパッチが有効として患者の関心が高かったが、保険適用外のため、患者は入院費用なども含め1回あたり約30万円を自己負担していた。
先進医療になると、ブラッドパッチ自体は保険適用外だが、ほかの費用が保険適用され、患者負担は10万円前後になる見込み。
同症は、かつて原因不明の病気とされ、事故で発症とする患者と保険会社の間で損害賠償をめぐる裁判が全国で起きていた。昨年、外傷による発症を認める診断基準が関係学会に認められ、今後は賠償をめぐる司法判断が変わる可能性があるとして注目されている。
ただ、先進医療として治療を受けられるのは、同症のうち、診断基準を満たした症例のみになる。患者らで作るNPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」によると、現在、1万人の患者がいると推計されるが、診断基準を満たすのは1〜2割程度だという。
■脳脊髄液減少症■
脳や脊髄は硬膜という袋に包まれ、その中を脳脊髄液(髄液)が循環して外部の衝撃から守る役割を果たしているが、交通事故や転倒などの衝撃により硬膜から髄液が漏れだし、頭蓋骨内の髄液が減少、脳の位置が正常に保てなくなって引き起こされる。脳と頭蓋骨をつなぐ神経や血管が引っ張られることで、激しい頭痛やめまい、吐き気などの症状が出る。
脳脊髄液減少症で「ブラッドパッチ」先進医療に(05/18 09:06)
激しい頭痛などを伴う「脳脊髄液減少症」の有効な治療法とされる「ブラッドパッチ」について、一定の診断基準を満たした症例に限り、治療費の一部に保険が適用される先進医療に認められました。
脳脊髄液減少症は、交通事故などで脳や脊髄を覆う膜が損傷し、髄液が漏れ出すことにより激しい頭痛やめまいなどの症状を引き起こします。治療法には髄液が漏れている箇所の硬膜の外側に自分の血液を注入して漏れを止めるブラッドパッチが知られていますが、治療費は保険の適用外で、全額自己負担となっています。厚生労働省の専門家会議は、ブラッドパッチについて、画像による診断基準を満たした症例に限り、先進医療に認めました。先進医療になると、ブラッドパッチに必要な検査や入院費用に保険が適用されることになります。
「ブラッド・パッチ療法」が先進医療に- 将来の保険適用に光
交通事故などが原因で、激しい頭痛やめまいに襲われる「脳脊髄液減少症」。その治療法として知られる「ブラッド・パッチ療法」(硬膜外自家血注入療法)は、これまで全額自己負担で行われてきたが、その保険適用に光が見えてきた。厚生労働省の先進医療専門家会議が17日、入院費用など一部で保険を適用する先進医療として承認した。2014年度の診療報酬改定での保険適用に向け、早ければ7月1日から、国の施設基準を満たす医療機関での症例データの収集が始まる。
会見で承認の感想を語る脳脊髄液減少症の患者団体の代表者(17日、厚労省)
脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツなどでの外傷によって脳脊髄液が漏出し、頭痛やめまい、耳鳴りといったさまざまな症状が起きる疾患。ブラッド・パッチ療法は、硬膜の外側に患者自身の血液を注入し、その漏れを止める治療法で、欧米では一般的に行われている。
一方、日本では、ブラッド・パッチ療法の適応疾患を脳脊髄液減少症として議論してきたが、脳脊髄液の量を臨床的に計測できないこともあり、医療界で疾患の概念が定まらなかった経緯がある。
今回の先進医療では、脳脊髄液減少症の中でも、特に立っている状態で激しい頭痛が起こり、患者の脳脊髄液の漏出が検査で判断できる「脳脊髄液漏出症」と呼ばれる病態が対象。昨年秋、厚労省の研究班が画像診断基準を定め、それを国内の関連学会が承認したため、先進医療への道が開けた。
先進医療を行う医師に関しては、▽脳神経外科▽神経内科▽整形外科▽麻酔科―のいずれかで経験が5年以上、対象となる技術の経験が1年以上必要とし、術者として4例以上(このうち1例は助手でも可)の症例数を要件とした。一方、施設基準では、1床以上の病床数を有することなどを義務付けている。
■「漏出症」は1割程度、適応疾患の拡大を―患者団体などが会見
この日の会議後、脳脊髄液減少症の患者団体などが厚労省内で記者会見を開いた。各団体からは、「大変うれしい」「一歩大きく前進した」といった喜びの声が上がったが、その一方で、各団体は脳脊髄液漏出症の患者は全体の1割程度として、適応疾患の拡大を求めた。
脳脊髄液漏出症、先進医療に=「ブラッドパッチ」は患者負担−厚労省会議
脳脊髄液が漏れて頭痛やめまいが起きる脳脊髄液減少症のうち、脳脊髄液漏出症の治療について、厚生労働省の専門家会議は17日、保険診療を併用できる先進医療にすることを決めた。今月中に中央社会保険医療協議会に報告され、早ければ7月にも入院費などが保険適用となる。
同症は事故や吹奏楽の演奏などで、脳や脊髄を包む膜に穴が開き、髄液が漏れ出して起きるとされる。患者自身の血液を注入し穴をふさぐ治療法「ブラッドパッチ」が有効だが、平均1回1万8000円かかる費用は全額自己負担となる。
脳脊髄液減少症の治療法 患者負担軽減 保険適用を検討へ
ブラッドパッチ療法の先進医療指定を喜び合う渡辺氏(中央)と患者団体の中井氏(左隣)、鈴木さん(右隣)ら=17日 参院議員会館
厚生労働省は17日、脳脊髄液減少症の治療に効果的な「ブラッドパッチ療法」(硬膜外自家血注入療法)を、公的医療保険との併用を認める「先進医療」に指定した。同症患者・家族支援協会の中井宏代表理事、同症患者支援の会・子ども支援チームの鈴木裕子代表らは同日、参院議員会館を訪れ、公明党同症対策ワーキングチーム(WT)の渡辺孝男座長(参院議員)と懇談、これまでの支援に感謝を述べた。
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