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降っても晴れても・・・
さてぼちぼち走ろうか

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房総の沢を何本か登るようになって以来、その奇妙な面白さに惹かれるようになりました。
子供の探検気分というか、川廻しのトンネルに出会った時の衝撃というか、表ではない裏側の面白さです。
昨年地形図を見ていて気になるラインを発見しました。笹川湖の上流で元清澄山の西面に突きあげる沢で、名前がわかりません。田代川林道が近くを通っているということで、(仮称)田代川としてチャレンジします。調べても記録は全く未見です。


【2015年12月5日】
笹・衛士広場8:30〜明澄橋・入渓8:40-45〜堰堤9:50〜田代林道の橋の下11:10〜切通し11:45〜川廻し11:55〜奥の二俣12:20〜出渓地点12:35〜関東ふれあいの道12:38〜元清澄山13:20-30〜田代林道経由で笹・衛士広場15:30

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            この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図25000を複製したものである。
                                     (承認番号 平27情複、 第741号)
この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。
画像の右下クリックで拡大表示できます。

ふれあいパーク・きみつの向かい側の道を少し入ると笹・衛士広場という公園の駐車場がある。近くに衛星管制センターがあるためこんな名称がついたようだ。
ここでさっそく渓流タビなどの装備に身を固めて出発した。
田代橋から見下ろすバックウォーターの風景。まだ入渓はできない。
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どこから沢に降りようかと思案しながら歩いていったが適当な場所がない。
結局明澄橋を渡った左手から沢に降り立った。田代林道はこの先ずっと、元清澄山北方の稜線まで続いているので下山はこの林道ということになるし、エスケープルートとしても使えるだろう。
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さて何が出てくるのか、期待にわくわくしながら遡行を開始した。未知の沢というのは面白い! とりあえず地形図から想像した通りの平坦な川床が続いていた。
水深は極めて浅く、ひたひたと歩いていける。
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地形図は、2万5千の原寸だと地形を読みきれないので、電子地形図を1万分の1に拡大して使用した。房総の沢は地形があまりにも複雑なので、拡大地図は必携である。
まだあまり陽が差し込まない沢をゆく。
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房総の沢はなんといっても12月以降が適期である。この山域は特にヤマビルが異常に多いので(以前にかなりやられた)、奴らの動きがなくなってからでないと登れないし、きわめて不快な思いをするだろう。水はまあそんなに冷たくないです。
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人の形跡はまったくなし。
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快適な滑り出しで良かった。ペース的には「沢歩き」だったら時速2kmがベンチマークになるが、今日もそのくらいで進んでいた。
両岸には断崖絶壁と緩い樹林が交互に現れた。
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川床は洗濯板状のナメが続いて、とても快適。
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まるで人工的に造ったかのような護岸は、あくまで自然の造形だ。
滝がなくて変化に乏しい分はこういうもので埋め合わせ。延々と続く。
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地層断面が水面に映って、目を楽しませてくれた。
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洗濯板を歩く。なかなか見事なものである。
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子供の探検ごっこさながら。
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広くゆったりと流れていく。
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絶壁に緑の縞模様が浮かび上がった。
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究極の洗濯板!
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房総の沢のもう一つの特徴は、蛇行が多いことだ。そのすさまじさは目をみはるばかりである。特に地形図でみるとよくわかる。
だから現在地の感覚を狂わされるのである。緑の鏡に見とれていると。
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このカーブの先はどんな景色なのだろう?
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ひたすらご満悦の様子。
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これも水の力でできたもの。
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しかし先にはまだ何があるかわからないので、休まずにどんどん進んでいった。
左手に地図とコンパスを持ってくるくると回しながらゆく。
写真を撮る時も、地図から指を離すと位置が分からなくなるので注意が必要だった。
途中で意外にも小さな堰堤が現れた。右岸のロープを頼りに越えていった。そして洗濯板のごときナメは堰堤を境にしてなくなり、河原状となってきた。
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またカーブ。この先は?
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大地の割れ目から光が差し込む。幻想的な世界。
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途中で田代林道の橋をくぐった。距離的にはここで6.3km、タイムは3時間10分であり、正確に測ったかのようなペース配分だった。
ここからは荒れ模様の部分もあり、部分的に倒木もあるがたいした支障はなかった。

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緑のラインが源流部から終了点までのルート。

突然釜が現れた。かなり深そうだった。
左壁に沿って進んでみるが、半分行ったあたりで腰まで浸かる。その先は、、、背が立ちそうもない。引き返した。
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ここは仕方なく左の沢状を登って巻くことにした。左の涸れ沢に入ると正面の高みに林道らしきラインが見えたので登ってみると確かに田代林道だった。エスケープに使えることを確認してから戻って、巻きを続けた。右手の小尾根を乗越して反対側を下ると釜のちょうど上に出た。
上から見ると二つ連続していた。やはり突破は厳しそうだ。


さらに200mくらい細かく蛇行しながら進むと左手に切通しのようなものが現れた。
軽い衝撃がはしる。川廻し!?
水流を離れてこれを越えてみると確かに反対側に沢の続きが左から右へと流れていたのである。この切通しが土砂や岩石で埋まっているのはトンネルの天井が崩壊したせいではないのだろうか?
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切通しを振り返ったところ。房総ではこのくらいの尾根にでもトンネルを掘って不思議はない。
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これよりさらに100mほど。今度は間違えようのない、川廻しトンネル!
すでに地形図では水線は消えていて、読み取れない流れのラインは究極的に蛇行しているようだった。それにしてもこんな山奥に何の目的で掘ったのだろうか。農業用か林業用か?
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入口の釜はちょっと深いが流木を頼りにして入りこんだ。
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トンネルをくぐる。
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ほんとにびっくり。
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私の疑問点。トンネル工事のズリ(残土)はどう処理したのだろう?沢にそのまま流したらたいへんだし。
くぐってから振り返ってみたフルカワ(旧河道)。こちらにはもう水は流れていない。ズリはフルカワの川床を上げるために撒いたのではないだろうか?
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次第に倒木が増えてきた。沢筋も泥状がちとなる。
ルートファインディングにも神経を遣うようになる。
現在地を把握し続けないと大変なことになるだろう。沢筋をつめあげすぎても倒木で身動きがとれなくなるかもしれないし。
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12時20分に奥の二俣を確認した。ここから本流(右俣)は南東に向きを変え、さらに南へ曲がる。その正面にめざす稜線が低く見え、明るい光が差し込んでいた。
ここで右手の緩い斜面に取付いて、今日初めての登りらしい登りとなった。ヤブこぎはなく、登ること3分。突然「関東ふれあいの道」の擬木階段に飛び出した。
入渓からちょうど4時間だった。(仮称)田代川遡行に成功!
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さて緊張の糸も切れて重い足取りで元清澄山を越えていった。
山頂を越えて北へ下ると田代林道が稜線に到達した地点に出る。あとはこの林道を下るだけである。すぐに倒木地帯が2か所現れ、崩壊地も現れる。
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そして房総お決まりの手掘りトンネルをくぐった。
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くぐったら明るい世界になった。2015年の情報ではこの先にも5カ所ほどの大倒木地帯があるということだったが、きれいに片づけられていた。こうなっているのを期待していたとはいえ、出来過ぎの結末であった。
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のんびりムードで快適な林道を下ってゆく。
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遡行中にくぐった橋を渡る。橋も廃なムード。
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林道によくあるノスタルジックな風景。
この車、スズキアルト麻美スペシャルだということを教えてもらった。30年前のおしゃれな街乗りカーがなぜかここにある。
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頂上から2時間で下ってきた。
ちなみにこの沢の下流部にはひとつだけ滝がある。小坪井橋の上から眺めることができる。
田沢の大滝(黒滝)と呼ばれているらしい。ここに降り立つには廃道の遊歩道でもたどっていくしかないが、それほどの遠回りをして行くほどでもないので眺めるだけにしておいた。
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帰りに片倉ダム記念館に立ち寄ってパンフレットをかき集めて見たら、一つのパンフにだけ小さい字で「田代川」と書いてあった。
我々が遡行したのはまさしく田代川そのものだったことが証明された。
滝のひとつもない沢であったが、充実した気分で鴨川の海に向かって車を走らせた・・・

この記事に

  • 房総でこんな沢歩きができるん
    ですね。まさにアドベンチャー
    ですね。

    実家近くでも素堀りトンネル
    見受けます。

    記録がないとこ歩くのは相当
    勇気が要りそうです。

    [ ジョリー ]

    2015/12/9(水) 午前 8:01

    返信する
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    房総の沢で記録的な意味での空白部はまだいろいろありますよ。
    急峻ではなくても水がからんでくるといろいろやっかいなので、気を遣いますね。

    市原あたりも川廻しが多そうです。

    スー

    2015/12/9(水) 午前 9:30

    返信する
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    スーさん、おはようございます。こちらにもお邪魔致します。房総の沢は、若い頃あちこち行きましたが、田代川は下流でハヤ釣りをしただけでした。今度入渓したいと思いますが、またヤマビルの季節になりますね。以前はヒルがいなくて、夏に入渓して、釜を泳いだりしたものです。マムシはよく見かけましたが…。またのレポート楽しみにしております。 削除

    [ トビミケ ]

    2017/2/20(月) 午前 8:50

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    トビミケさん、私も以前に元清澄山でヤマビルの大攻撃に会いました。走っていても飛びついてきます(ゾ〜)。
    季節限定の山になってしまいましたね。裏妙義あたりもですけど。
    房総の沢も、もう少し探りたい所が残ってますよ。

    スー

    2017/2/20(月) 午前 11:44

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    初コメント失礼します。
    画像に写っている車ですが、希少車「スズキ・アルト麻美スペシャル」という車です。
    まさかこんなところで見るなんて思っても居ませんでしたから、ついコメントしちゃいました。

    [ 安部ニール ]

    2017/2/27(月) 午前 4:06

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    安部ニールさん、ご教示ありがとうございます。私も昔そんなCM見ていたと思います。
    山奥の林道にはいろいろとレアな車が転がってますよ。ルーフを破って木が生えてることもあります。名前を知ってたら面白いですねえ〜

    スー

    2017/2/27(月) 午前 9:05

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    スーさん、再度お邪魔致します。2月の末日に田代川遡行してきました。すぐにコメントしたかったのですが、下流のトンネルを見つけましたので、ヨッキ氏がレポを公表してからと思い、今日になってしまいました。久し振りに愛用のガリビエールのヘルメット被りました。昔のような登攀は無理ですが、房総の山や沢あたりから再開しようと思っております。鋳物のアイゼンや、シャルレのウッドシャフトのピッケル等、懐かしいものが沢山出てきました。もし何処かでお会い致しましたら、宜しく御願い致します。長文失礼致しました。 削除

    [ トビミケ ]

    2017/3/14(火) 午後 8:06

    返信する
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    トビミケさん、田代川に行ってきましたか!
    山さのHPからここへ流れてくる人は数多くあれど、実地でやる人はなかなかいませんよね。沢が主体だからなおさらですけど。
    まあ、あのトンネルは手落ちでした。見事にスルーしてしまいました(笑)。
    それにしても懐かしのアイテムをいろいろと保存してあったのですね。ガリビエールのアゴひもはコチコチではなかったですか?
    ではまた、よろしくお願いします。

    スー

    2017/3/14(火) 午後 9:19

    返信する

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