私が転職した理由(3)
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前回の続きです。 解雇が言い渡されてから何日かが経ち、我々4人は親会社を抜きにした役員達からの説明会を開催するよう求めることにしました。何度かの交渉の末、質問攻めや罵倒は無しという条件で役員の説明会が開かれることになりました。 役員は自分達がいかに今回の状況を回避するために頑張ってきたかを必死で説明しました。3人の役員の内2人は途中で泣きながらに自分の正当性を訴え、もらい泣きをしていた従業員もいました。しかしその内容は幼稚そのもので、我々が今まで生産効率向上や品質向上に向けて努力してきた事や経営者側から厳しく求められてきた成果と比べるとあまりに酷いものでした。これには従業員の大半が呆れてしまい、泣いている役員が滑稽にすら見えました。いくつかの質疑応答が行われましたがどれも実質的な回答にはならず、やはり雇われ経営者という立場を守り続けている状態でその説明会は終了しました。 その後、他の課では仕事時間中に今回の意見を考えたり会議を開くことはタブーな雰囲気になっていて苦労しているようでしたが、私がまとめていた課の上司は理解があり課員全員を集めて話し合いをする場を設けることが出来ました。親会社による最初の発表や役員の説明会では殆ど誰も口を開かなかったのですが、課員だけの集まりとなったら皆一斉に不満や不安・疑問をぶつけてきました。やはり皆それぞれに沢山のことを考えているのですが、それを表現する術やここぞという時に異を唱える勇気を知らない人が多いのだと感じました。 そして私が最も心を痛めたのは、課内にその年の4月に入社したばかりの新卒者が4人もいたことでした。高校を卒業前に内定が決まり、明るい将来を夢見て入社したはずなのに、
彼らは数ヶ月前までは高校生だったのです。まだ社会人としては全く自立し切れておらず、業務以外で学んでもらいたいことが山ほどありました。長年勤めている従業員達が会社の財力に甘えてぬるま湯の環境を構築し、自分のテリトリーを守るためだけに頑張っているような会社の状況を打破するために、私は彼らの数年後にとても期待をしていたのです。まだ何色にも染まっておらず、多少今時の若者という印象はあるものの、それは良い意味で今後の成長に作用するであろうと思っていました。仕事の楽しさを理解できたら、きっと驚くほどのパフォーマンスを発揮するだろうと信じていました。私にとっては自分の子供ような存在だったのかもしれません。 それほど新卒者というのは、まさにダイヤの原石という意味で価値のある人材だと私は思うのです。もちろん中途採用者も価値のある人材ですが、殆どが社会人として自立している人間で多少の意思疎通によって会社に合った軌道修正が可能なので、即戦力として活躍してくれていました。 4人の新卒者は、新入社員と呼ばれる学びの期間をたったの4ヶ月で絶たれ、これから先は何年も社会人として活躍してきた中途採用者と同じ扱いを受けることになるのです。こんなハンデがもし自分に与えられたらどうしますか?社会に出てまだ右も左もわからない状態で、学生アルバイトで働いていた期間と同じくらいでクビになってしまうのです。会社都合だから再就職先にはそれなりに事情を説明してもらえるとはいえ、そこに新卒者がいるとすれば、その教育研修は既に何ヶ月も先に進んでしまっているのです。同じ年代の卒業生に、否応無しに半年近くも遅れを取ってしまうのです。しかも本人に非は全く無いのです。今はもう就職先もわかりませんが、今の不況を考えるともしかしたら人員削減の波に飲まれる可能性もあるかもしれません。 彼ら4人の人生だけをとってもこれだけ困難な状況が想像出来てしまうことを、役員達は「出来レース」でさっさと決めてしまったのです。他にも時間的な余裕が無く収入も低いパート達もいて、彼女らは退職手当も大して貰うことが出来ずに放り出されるのです。そして再就職が難しくなってくる年齢の人間もまた、私を含めて沢山いるのです。こういった個人それぞれの人生を大きく乱してしまう重大な案件を、事前に何の相談も無く経営者判断で決めておいて、自分達には責任が無いと弁解するとんでもないバカ共に私は心底怒りを覚えました。 ・・・かなり感情的になってきたのでここで今日は終わります (続く)
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