原子力発電所周辺の環境放射能調査報告 平成21年度年報 (2009)
平成22年9月 福井県環境放射能測定技術会議 より
4.6 セシウム-137 降下量に関する調査
(「原子力発電所周辺の環境放射能調査報告 平成21 年度第4報」より)
1.はじめに
平成 21 年度第4四半期の降下物から、2007 年度以来のセシウム-137 が敦賀、美浜、高浜および対照地区(福井市)で検出された。検出されたセシウム-137 の降下量は、それぞれの地区で0.21〜0.26Bq/m2、0.17〜0.29Bq/m2、0.13Bq/m2、0.34Bq/m2であった。
敦賀、美浜地区では2000 年度、高浜では2005 年度、対照地区では1988 年度に今期を上回るセシウム-137 が観測されている。ここでは、今期の黄砂現象との関係について調査した結果を報告する。
2.黄砂による影響
日本における黄砂現象は、例年春先から初夏にかけて観測される。気象庁のホームページには、
「黄砂現象は、東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から強風により
吹き上げられた多量の砂塵が上空の風に運ばれて、浮遊しつつ降下する現象」と説明されている。
また、日本学術会議農学委員会風送大気物質問題分科会の報告「黄砂・越境大気汚染物質の地球規模循環の解明とその影響対策(平成22 年2 月25 日)」によれば、黄砂および黄砂に付着した物質の日本への飛来が現実問題となっていることが報告されている。
大気圏内核実験に起因する放射性核種セシウム-137 は環境試料の降下物で検出されてきたが、近年は検出例は少なくなり、2000 年以降はその検出と黄砂現象の関連が注目されており、「2000 年以降の降下物中にセシウム-137 が検出される主な原因として、黄砂との関連性が強く示唆された」との研究論文1)も見られる。
3.調査結果および考察
(1) 原子力環境監視センター福井分析管理室(福井市)での調査結果
黄砂現象と降下物中の放射性核種(セシウム-137)との関連を調査するため、対照地区の原子
力環境監視センター福井分析管理室(福井市)の屋上にホーロー製のバット(38.5cm 幅×46cm 長×8cm 深さ)を置いて、3 月16 日から試料採取を開始した。試料採取間隔は、第1回目を1週間と
した。第1回目の期間中(3 月16 日〜23 日)の3 月16 日と21 日に福井市で黄砂を観測した(気
象庁「黄砂観測日および観測地点一覧」)。
3 月21 日の黄砂現象が大規模であったことを踏まえて、それ以後原則として1 日毎に試料採取した。なお、1 日毎の試料を測定した後には、1 週間分をまとめた試料(集合試料)の再測定も行った。
結果を表−1に示す。黄砂を観測した第1 週(3 月16 日〜23 日)の試料のみからセシウム-137
を検出し、降下量は0.24Bq/m2であった。このことから、対照地区の3 月の月間試料で検出した
0.34Bq/m2のセシウム-137 降下量の多くは黄砂現象によりもたらされた可能性があると推測され
る。
(2)日本原子力発電㈱敦賀発電所での調査結果
敦賀地区浦底(明神寮)においてもセシウム-137 が0.26Bq/m2検出されたので、敦賀発電所内
環境ラボ屋上に堆積した粒径の小さい黄色い土砂(黄砂と考えられる)を測定したところ、同様
にセシウム-137 が検出された。その結果を表―2に示す。今回、明神寮の降下物からセシウム-137が検出されたのは、次の点から黄砂が混入したものと考えられる。
① 採取期間中に、黄砂が観測されていた。
②環境ラボ屋上に堆積した土砂のセシウム-137 濃度を用いて、明神寮降下物に混入した土砂量を推定すると、約6g となる。これは、明神寮の降下物に混入していた土砂量の実測値約4.3gとほぼ一致した。
0.26(Bq/m2)×0.26(m2)/0.011(Bq/g)=6.1(g)
・0.26(Bq/m2):明神寮でのセシウム-137 降下量(Bq/m2)
・0.26(m2) :採取面積(m2)
・0.011(Bq/g):土砂のセシウム-137 濃度(Bq/g)
セシウム-137は、過去の核実験(中国・ソビエト・アメリカなど)により検出される核種です。
転載元:
3月11日 ATC放射性物汚染対処シンポジウムの参加者募集
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