全体表示

[ リスト ]

私は、Vojnits論文(すなわちin vivo)の方向では、限界があるような気がする。なぜかというと、生体内での脱分化は生体の要求に応じて行われると思うからである。すなわち、肉体がケガで損傷したら、その部分を修復できればいいわけで、そのためには筋幹細胞のレベルまで脱分化すればそれで十分だ。受精卵レベルまで脱分化するなんてことは直観的にあり得ないような気がする。

実際、Xiaodong Muらも、2011年の論文では、筋幹細胞レベルまでの脱分化しか念頭になかったわけで、多能性マーカーの発現なんて考えもしなかったんだよね。ところが、おそらくSTAP論文が出たことで、そこに気がつき、ひょっとしたらと思って多能性マーカーを調べてみると、Oct4、Nanog、Sox2という多能性マーカーの発現があった。しめたと思って、胚にインジェクションしたらキメラができちゃったと。これはラッキーというしかないんじゃないか。
けれど、iMuSCsというのは、やはり中途半端な代物で、多能性マーカーの発現は若干弱いし、Esg1、Dax1の発現がない。その一方で、筋幹細胞系の発現はかなりある(それは当然と言えば、当然かもしれない)。ようするに、初期化が中途半端である。で、この後の展開として、この先が望めるかというと、生体内では望めないと思う。つまり、肉体がケガをすることで体細胞が受精卵レベルまで脱分化することなどあり得ないと思うんである。

で、この先を進めるとすれば、それはやはりin vitroでの実験になると思う。in vitroだと制約がないから。微調整も可能だし。
そういう意味では、Vojnits論文と同じコンセプトで、しかもin vitroでやったのがSTAP論文だと思うのである(実際の順番は逆だけども)。
つまり、何が言いたいかというと、Vojnits論文とSTAP論文は、底の方で繋がっている。
物理的な刺激で脱分化が起こる。これはすでに、生体内では実証された。それでは、in vitroでやってみても起り得るんじゃないかということは、ごく普通に思いつくことなんじゃないのか?
さらに、in vitroで様々に条件を変えてやれば、完全な初期化が達成できる可能性も皆無じゃない。
これは全然、荒唐無稽な話ではないと思う。

反オボの人たちは「弱酸処理でなければ」と、やけにそこにこだわるが、STAP論文のDiscussionをみると、論文のコンセプトはそこではないと思う。問題なのは刺激の種類ではなくて、sublethal stress、あるいはsublethal stimuliということである。すなわち、致死に近い刺激。
考えてみれば、肉体のケガは、ケガをした周辺の部分の細胞にとっては、「致死に近い刺激」ではないのか。

「致死に近い刺激」によって、細胞の脱分化が起る。うまくやれば初期化までいく。
これはいまだに、いいアイデアではないのか。
ただ、死ぬか生きるかの瀬戸際なだけに、さじ加減が難しい。それがゆえに、in vitroでの再現が難しいということではないのか。





この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事