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調査委で指摘された四つの不正についてですが、それらを詳細にみると、いろいろと奇妙なことに気づく。

(1)まず電気泳動の写真の切り貼りだが、元はゲル1とゲル2があり、ゲル1からFig.1iのレーン1,2,4,5をとり、ゲル2からレーン3をとった。このとき、ゲル2のサイズはゲル1の1.6倍だったので、レーン1.2.4.5の写真を1.6倍に引き伸ばして、レーン3を挿入した。しかし、ゲル1とゲル2ではサイズマーカーの位置がずれている。
小保方氏は「標準DNAサイズマーカーの位置情報に基づいてレーン3の写真の挿入位置を決定した」というのだが、そんなことは土台無理である。すなわち、「ゲルの違いや電気泳動条件の違いにより、ゲルごとに泳動に関する直線性が担保される分子量の範囲が変化するというのは分子生物学実験に従事する研究者において広く知られるところ」であり、それゆえ、「標準DNAサイズマーカーの並列が電気泳動を行う各ゲルについて必要とされる」のである。
つまり、異なるゲルの電気泳動の写真をコントロールとして単純に並置してはいけなかったわけだが、これに関し、『サイエンス』の査読者から、白線を挿入するなどして異なるゲルに由来するレーン3を区別するようにと指摘されている。
で、ここで奇妙だというのは、小保方さんが画像の切り貼りをしたということよりも、『サイエンス』の査読者の指摘に従わなかったということである。白線を入れてすむことなら、そうすればよかったのではないの?その指摘をわざわざ無視する理由がどこにあるのか。ないと思う。このへんがヘンである。あえて推測すれば、白線を入れるのがイヤだったのだろうか。きれいに見えないから?
いずれにしても、この不正はSTAP細胞の真贋とは関係がない。

(2)次に、テラトーマの画像の流用についてだが、これについてはコメント欄で触れました。桂調査報告ではArticle Fig.2eとEx.DataFig.4a-cに用いられたテラトーマはES細胞(FES1)由来と判定されてしまったわけだが、仮にこの判定が正しいとすると、やや不可解なことがある。小保方さんはテラトーマをES細胞で捏造しておきながら、その一部の画像は博論から流用したわけである。
これは不自然である。
ES細胞を使って捏造したなら、すべてES細胞を使うはずである。
博論の画像を流用した理由は、博論の画像がきれいに撮れて気に入っていたからだろう。小保方さん自身、「ある意味チャンピオンデータであった」と述べている。気に入った画像を使い回していたようだ。もちろん、不正ではあるが、こうした行為それ自体はSTAP細胞の真贋とは関係がない。(なお、当ブログにおいてはテラトーマ=ES細胞という判定を鵜呑みにするものではない。念のため)

ようするに、以上二つの不正は、その最大の動機が「きれいに見せたい」にあったと思われる。STAP細胞の真贋とは関係ない。

(3)次に、メチル化実験についてである。これは、小保方さんが「生データを持っていったら『これでは論文に使えない』と言われたので操作した」と証言した件である。
これについて、調査報告では「小保方氏が若山氏の過剰な期待に応えようとして捏造を行った面も否定できない」としていることから、若山氏の方から「使えるデータ」を要求された事実はあったと思われる。
で、ここで奇妙なのは、小保方氏が一度は生データを若山氏のところに持っていったということである。もし、小保方さんの方に捏造する意志があるなら、最初からメチル化実験をES細胞で捏造して、若山氏のところに持っていったはずである。しかし、そうしないで、わざわざ(?)STAP細胞で生データを取得し、その生データを若山氏のところに持っていった。ということは、その時点では、小保方さんの方に捏造の意志はなかったことになる。若山氏から「これでは使えない」と言われて、初めて捏造を思いついたわけである。
一方、若山氏の方も、無理にストーリーにあった結果を要求する姿勢には甚だ疑問がある。使えようが使えまいが、生データは生データである。その結果を受け入れるしかあるまいに。
さらには、「使えない」と言ったその後に、ばっちり使えるデータを持ってこられて何ら不審に思わなかったのも変だ。そのとき「使えるデータ」の生データを確認しようとしなかったのも変だ。

また、一つ重要なのは、このメチル化実験においては、曲がりなりにも生データが存在しているということだ。それをみると、きれいなデータではないが、コントロールとの差が有意に示されているという印象は受ける。ネイチャー論文には「使えない」かもしれないが、この生データをもってSTAP細胞そのものが捏造とは言えないだろう。

(4)最後に、細胞増殖率のグラフの捏造であるが、小保方氏は、調査委に対し、「こんな図が欲しい」と言われて作成したと、繰り返し説明したという。だとすれば、「こんな図が欲しい」の言葉の意味が、単なるグラフの作成の仕方を意味するという解釈は、私にはいささか滑稽に感じる。若山氏の方に結果を求める姿勢があることから考えても、「iPS細胞と同様の増殖率を示すデータが欲しい」という意味に解するのが普通だと思われる。

この実験は、生データが提出されなかったことから、ほとんどエア実験であったと考えられる。ようするに、最初から真面目にやる気がなかったわけだ。
しかしながら、きちんと実験をやって生データを持っていってもあっさり却下され、捏造すれば受け入れられるということなら、真面目にやるのがバカバカしくなるんじゃなかろうか。
増殖率測定の実験を真面目にやらなかったことは確かだが、しかし、このことをもってSTAP細胞の存在を否定することはできないだろう。




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(4)なんて、三点で十分と思うのは、生物系でないからかな。

2016/1/1(金) 午後 8:24 [ Ts.Marker ] 返信する

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いやー、これは生物系じゃないとか、そういうの関係ないよ。本文でも書いている通り、真面目にやるのがバカバカしくなったんだと思う。だって、真面目に生データ出しても「使えない」とあっさり却下されちまうんだろ。だったら、テキトーにやって、あんたのお望みどおりの「使える」データ出しますよ、ってことになると思う。誰だってそうなると思うよ。

2016/1/1(金) 午後 8:29 [ DORA ] 返信する

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そう言えば、謹賀(キンガ)の論文でも、そのくだりはなかったな。

2016/1/1(金) 午後 11:23 [ Ts.Marker ] 返信する

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