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不正への誘惑。


Sox21にB6由来細胞からの発現が強く出ている、という話についてである。

この事実そのものも重要だが、私がさらに重要視したいのは、遠藤氏がなぜSox21のデータをFig.4(A)に載せなかったのか、ということだ。

Fig.2(C)には、B6側からのSox21の高い発現があることが示されている。このことから、混入がなくてもB6由来細胞に元から発現があったことが、強く示唆される。

しかし、仮にそれがES細胞であっても、Sox21の発現する可能性は皆無ではないから、念のためにFig.4(A)でそれを確認しようとしたら、Sox21のデータがない。

なぜ遠藤氏はここにSox21のデータを載せなかったのか。

Fig.2(C)とFig.4(A)は、この論文のキモと言っていい。
まずFig.2(C)でTS細胞の混入を証明し、次にFig.4(A)でその発現量をみる。これがセットとなって、「10%の混入」が証明されるという筋書きである。したがって、このストーリーを貫徹したいのであれば、Fig.2(C)とFig.4(A)の両方にデータを載せるべきだろう。じっさい、Elf5は両方に載せている。ところが、Sox21は片方を省いている。これは不自然だな、と誰だって思う。

Fig.4(A)にはTS細胞、FI幹細胞、ES細胞、STAP細胞と、各細胞ごとにTS細胞に特異的な遺伝子の発現量が示されている。調べている遺伝子の種類はCdx2、Eomes、Elf5、Itga7となっており、FI幹細胞ではそれぞれTS細胞の10%ほどの発現量がある。しかし、そこにSox21のデータがない。

Sox21はB6側からの発現がかなりある。したがって、Sox21の発現量はFI幹細胞、ES細胞において、どの程度のものになるのか、非常に興味のあるところだ。ところが、その最も興味のあるデータが省かれている。

もし、FI幹細胞におけるSox21の発現が10%をはるかに超えるものだったとしたら、「10%の混入」という遠藤氏の論文のストーリーにひびがはいる。それじゃあ都合が悪いので、不都合なデータを載せなかった。そう思われても仕方がないと思う。

だとすれば、これは、この業界の論文不正を論じるうえで、興味深い事例となる。

すなわち、論文を一本仕上げるには、一定のストーリーに従ってデータを揃えなければならない。しかし、ひとつの仮説を裏付けるデータというのは、そう簡単に揃わないというのが実情だろう。中には仮説に反する不都合なデータも出ててくる。とすれば、そうした不都合なデータは省いて、都合のいいデータだけを揃えて論文を一本書こうという誘惑は当然生じる。

「不正は許さん!」と口で言うのは簡単だ。しかし、現実問題として、論文を書かなければならないとすれば、このような誘惑に打ち勝つのは並大抵ではあるまい。というか、もはやそれは常態化してしまっていて、さしたる良心の呵責もないのかもしれない。

だからこそ、「不正は許さん!」と論文不正追及の先頭に立っていたはずの人物が、じつは不正をやっていた。このような茶番が生じるのである。

「小保方だけが不潔なんです。我々は皆清潔なんです」と、この業界の「専門家」たちは言う。

もはや、そんなたわごとを信じる者がいるだろうか。




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