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味わい深い。


そのテレビ局にとって、人権侵害の勧告を受けるのは、まさに痛恨ということらしい。

それは、NHKがあれほど往生際悪く「人権侵害ではない」と言い張っているのをみてもわかる。

それほど無念なのである。

そういう意味では、まさに小保方さんにとっては満額回答、全面勝利といっても差し支えないと思うのだが、

細部にいたっては、不満があるのも確かである。

そのへんのところ、根本的疑問さんがひとつひとつ丁寧に分析・批判しているのは、いかにも根本的疑問さんらしいところだったと思います。

まあ、わたくしとしては、本丸はとったわけだし、あとは譲ってよし。枝葉末節と思ったわけです。

おそらく、三木弁護士も小保方さんも、そういうふうに戦略的に考えていると思う。

しかし、中には、なかなか味わい深いと思える部分もある。

まず、すでに引用されていますが、BPOには次のような制約がある。


 本来、STAP研究に関する事実関係をめぐる見解の対立について、調査権限を有さず、また、生物学に関する専門的な知見をもち合わせていない委員会が立ち入った判断を行うことはできない。こうした判断は委員会ではなく、科学コミュニティによってなされるべきものである。委員会の判断対象は本件放送による人権侵害及びこれに係る放送倫理上の問題の有無であり、検討対象となる事実関係もこれらの判断に必要な範囲のものに限定される。したがって、本件放送で触れられていない事情が考慮されるのも、こうした範囲内でのことである。


このことを念頭に置いたうえで、次の文章を引用したい。


摘示事実a)――STAP細胞の正体はES細胞である可能性が高い――について

 STAP論文を掲載したネイチャー誌が2015年9月24日付電子版において、各国の研究チームの研究成果を掲載するとともに、STAP現象が真実ではないことが立証されたと指摘した。このこと等により、STAP細胞が存在しないことは科学コミュニティの共通理解となっているものと思われる。他方、STAP細胞の正体については、理研の第2次調査報告書ではES細胞説がとられ、この立場は上記のネイチャー電子版に掲載された理研の研究チームの論文でも維持されているとのことであり、そこからすれば、ES細胞説が少なくとも有力な仮説であると言いうるから、摘示事実a)には真実性又は相当性が認められると考えられる。


これは、小保方さんにとって、不利な記述に見えますが、そもそもBPOは科学的判断に関しては科学コミュニティに丸投げしてますから、どうしても、こういう表現にならざるを得ないんですよね。
それは仕方がない。
それに、よくよく読むと、この表現にはなかなか味わい深いところがある。

「STAP現象が存在しないことは科学コミュニティの共通理解となっているものと思われる」

まあ、このへんはワトソンさんが噛みつきそうですが、とりあえずそこは譲ってください。
BPO委員会の知識の範囲内では、それが「科学コミュニティの共通理解」なんでしょう。

で、おもしろいと思うのは、ここでむしろ、「科学コミュニティの共通理解」という一歩引いた言い方をしているということです。
こういう一歩引いた言い方は、次の記述でよりはっきりしています。

「STAP細胞の正体については、理研の第2次調査報告書ではES細胞説がとられ」
「ES細胞説が少なくとも有力な仮説であると言いうる」

「ES細胞説がとられ」「有力な仮説であると言いうる」……。これは、よくよく考えると、かなり引いた言い方です。

逆に言えば、STAP=ESは、「有力な説にすぎない」ってことになります。

ようするに、科学的な真実性に関しては、常にどっかで「保留」しているんですよね。

したがって、ここにある「適時事実a)には真実性又は相当性が認められると考えられる」というのは、あくまで司法判断におけるものです。

すなわち、BPOの役割は、その番組がその構成上、表現上、人権侵害に相当するかどうかを判断するものであって、科学的真実性に立ち入るものではまったくない。

したがって、ここでいう「真実性・相当性」というのは、放送倫理をクリアしているかどうかをみるうえでの「真実性・相当性」であって、あくまで「科学コミュニティがそう判断しているから、放送倫理に抵触しないだけの真実性・相当性は認められる」という法的な意味しかないんですよね。

しかも、桂委員会が「STAP=ES」であると「科学的に断定した」にもかかわらず、BPO委員会は「ES細胞説」という言い方をしているわけですから、この件に関する第三者的な最終判断はあくまで保留しているわけです。このへんに、むしろ科学コミュニティそのものに対する不信感がかすかに感じ取れます。



それから、BPO委員会は複数のメンバーで構成されてますが、最終決定を出すには、各論において、かなりの温度差があったものと思われます。

おそらく、委員会主流派は、NHKのやり方に相当憤慨していたものと思われますが、そうでない人もいた。そこで、各人の考えを織り込む形で、やや妥協的な産物になったような気もしてます。

しかし、委員会主流派は「人権侵害の勧告」という最重要なところは絶対に譲らなかった。

他は譲ったけれども。

そういうことではないかと想像してます。





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