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脳内でのストレス反応

ストレスは視床下部室傍核で感知され、CRHの分泌がおこる。
CRHは下垂体前葉からのACTH分泌を促し、これが副腎皮質に働くことで糖質コルチコイドの分泌を促す。
こうした一連のストレス反応を視床下部ー下垂体ー副腎系(HPA系)という。



CRHニューロンは扁桃体と海馬による制御を受ける。

感覚情報が扁桃体の基底外側核に入り、ここで処理されて、中心核のニューロンに伝えられ、扁桃体の中心核が活性化する。

さらに、
扁桃体の下流には分界条床核と呼ばれる場所にあるニューロンが、HPA系を活性化し、ストレス反応を誘導する。

海馬は活性化によりCRH放出を抑制する。
海馬には糖質コルチコイドの受容体がたくさん存在し、HPA系のフィードバック制御に関わっている。

ちなみに
慢性的にストレスをうけることにより、継続的にコルチゾールに暴露されると、海馬のニューロンが衰えたり、死ぬ原因となる。

海馬の変性は、悪循環をひきおこす。
CRHへの抑制が働かなくなるので、ストレス反応がより強くなり、さらに大量のコルチゾールに暴露される。

これらの連関は精神疾患と深い関わりを持つ。

例えば、不安障害には、扁桃体の機能亢進と、海馬の機能低下の両方が関与している。
またうつ病では、海馬の糖質コルチコイドの受容体の数が減少し、、HPA系のフィードバック機構が崩壊している。受容体の数を調節するものは、遺伝子、モノアミン、幼少期の経験とされている。

幼少期の知覚体験が糖質コルチコイドの受容体の遺伝子発現量を調節することがわかっている。(ラットで)

母親の世話を多く受けたラットは海馬に多くの糖質コルチコイドの受容体を発現する。

触覚刺激は海馬への上行性セロトニン作動性入力を活性化することによると考えられている。

そして、セロトニンが、糖質コルチコイドの受容体の発現の増加を引き起こす。







「神経科学」書庫の記事一覧

閉じる コメント(6)

はじめまして、ななと申します。訪問履歴より拝見させていただきました。



外傷ラットモデルってご存知でしょうか?



実は、毎日ラットの頭部を叩いて、外傷ストレスを与えると、ヒート・ショック・プロテイン(以下HPS)というストレスたんぱくのm-RNAが上昇してきます。



このHPSは分子シャペロンから誘導されるストレスたんぱくで、70KDaがストレス時に上昇します。



これは、ミトコンドリアの保護や膜の安定化をしているタンパクです。



つまり、細胞保護をしています。



細胞保護というとSuperoxide Dismutaseですね。


抗酸化作用のあるビタミンCもそうですね。



このHPSはストレス時(外傷、虚血など)に上昇し、細胞を保護するという、内分泌系のようなフィード・バッグをしています。



脳の保護にも一役買っています。



ホルモンなどの神経伝達物質だけでは、脳の全体的機能をとらえるのは難しいかもしれませんね。


よい臨床医になってください。

2009/5/20(水) 午前 9:19 [ なな ]

ななさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

上の記事についてですが、慢性的なストレスにより、SODによる除去能力やシャペロンによる品質管理能力を上回った場合、海馬のニューロンの変性、細胞死が起こり、
これにより起こるpossitive feedback によりさらなる悪循環が引き起こされるという解釈のもとに書きました。

精神疾患においては脳内における神経伝達物質が非常に大きな役割を果たしていると解釈していたのですが、何せ初心者です。上の記事(ストレスと精神疾患について)に関連してSOD、HSPのことでご存じのことがあればぜひ教えてください。

2009/5/20(水) 午後 9:27 [ nyan ]

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nyanさん、こんにちは。
ご返事ありがとうございます。



実は、グルココルチコイドによる持続的な曝露はNMDA受容体やGABAa受容体発現の調整を介して海馬神経細胞の興奮性を変化させることが報告されています。また、グルタミン酸の分泌を調整するとも考えられています。グルココルチコイドの直接的作用とするよりも、神経毒のあるNMDA、グルタミン酸の発現により、細胞膜の興奮性アミノ受容体の持続的興奮がアポトーシスを招くのではないかと考えられています。これはNMDA受容体の活性化に引き続く細胞内カルシウム濃度の上昇から、樹状突起の細胞骨格の解重合やタンパク分解を招くことされています。



そこでHSPは細胞膜の安定性を保つためにJNKやカスパーゼ(アポトーシスに関するたんぱく)を抑制し、例えば、ischemic preconditioningをするのではないかと、心筋細胞の実験系では報告もあるようです。

2009/5/21(木) 午後 5:31 [ なな ]

顔アイコン

またCRFを扁桃体中心核に局所注入すると不安誘発作用を示し、ベンゾジアゼピン系抗不安薬により抑制されるようで、CRFは精神機能への直接的作用を持っているようです。しかしこのベンゾジアゼピンはGABA受容体を介していることから、CRFはGABA受容体に影響していないことがわかります。



つまり、CRFが直接作用する情動と細胞死は別の機序であることが推測されます。



神経毒であるTMT投与後数日後に血中グルココルチコイド濃度が上昇するが、この変化はインターロイキン1受容体を経由して、免疫細胞であるmicrogliaがこれを調節しており、副腎摘出術(ADX)をおこなってコルチコステロンを枯渇させた後にTMTを投与すると、海馬CA-3領域における神経細胞脱落、ミクログリアの増生ともに悪化するが、これにグルココルチコイド受容体のアゴニストであるデキサメサゾンを補充すると神経細胞脱落は軽減するとも報告があり、グルココルチコイドの神経毒作用には二つの解釈があります。

2009/5/21(木) 午後 5:34 [ なな ]

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ということから、ストレスがおよぼす影響に対して、生物個体自体の反応系に相違があり、神経伝達物質の相互関係が影響しており、一方側の研究報告だけでは判断しきれないこともあります。重症患者さんの内分泌ホルモンはlow T4 syndromeやadrenal insufficiencyなどさまざまであり、ステロイド濃度が低いと全身消耗性疾患となり、神経細胞死を招くこともあります。急性期、慢性期とさまざまな角度でみていくことが大切です。

基本的には、抑うつ状態とうつ病はちがい、うつ病がストレスホルモンの影響を受けやすいのは、研究や論文から報告されていますが、その重症度とHSPの負の相関性があるかどうかはわかっておりません。


精神疾患の患者さんの一部には、常にHPSが高いのではないかとされる症例もありますが、実際に測定された症例はありません。


過去のある学会で、重症外傷患者さんで、生存群に精神疾患を既往とした症例が多くあり、統計学的有意差を報告した演題もありました。


もしかしたら、HPSが関与しているのかもしれませんね。

2009/5/21(木) 午後 5:36 [ なな ]

ななさん、こんにちは。
ていねいにご回答いただきありがとうございました。たしかに、いろいろな角度でみることが必要ですね。勉強になりました。

興味をもったので、テストが終わったら自分でも調べてみようと思います。

2009/5/22(金) 午後 8:53 [ nyan ]

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