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おばりんの写真日記
ニイタカヤマノボレ

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青山 克彌 (泉鏡花記念館館長)


 教育関係者以外は関心を払わないようだが、三月末、文部科学省は、小・中学校の新学習指導要領を告示した。施行は、小学校は平成二十三年四月から。総則に「我が国と郷土を愛し」の文言が加わり、小学校の音楽に「君が代」を「歌えるよう指導する」と明記されたのが注目すべき改正点として報道された程度で、かつてのような激しい論議は起きていない。
 私が、ある種の感慨とともに注目したのは、小学校国語に神話の読み聞かせが例示されたことで、今年二月の改定案では「昔話や伝説などの本や文章の読み聞かせ」だったのが、「昔話や神話・伝承などの・・」と「神話」が新たに加えられた。この「神話」は、もちろん日本神話を指すのだろう。
 若い世代は言うに及ばず、いわゆる団塊の世代ですら、こと、神話に関する限り関心の度は薄いし、一般常識の範疇には入っていないようだ。この点が私のような、「国民学校」で幼いアタマに神話を刷り込まれた前期高齢者(?)世代とは決定的に異なる。
 例えば、国民学校教科書のひとつ『初等科修身一』では、いざなぎ・いざなみの国生み、小子部(ちいさこべ)のすがる、『よみかた 三』では国引き、『初等科国語 一』では天照大神の天(あめ)の岩屋籠(ごも)り、ににぎのみことの日向高千穂峯降臨(ひゅうがたかちほのみねこうりん)(天孫降臨)等々が扱われている。私の世代ではこれらは今なお一般常識なのだ。
 敗戦後まもなくこの種神話はGHQ(連合国総司令部)の指示により尽(ことごと)く教科書から抹殺された。昭和四十三年、小学校学習指導要領の全面改訂が告示され、僅かではあるが神話が小学校教科書に復活したと記憶している。このとき、神話は社会科で復活したため、また、戦前と同様、神話と歴史を混同した「皇国史観」に戻るのか、とことごとしい論議が白熱した。
 ちなみに敗戦の翌年の二十一年から二十三年にかけて生まれた団塊の世代は、この、神話教材の完全空白期に幼・少年時代を過ごしたことになる。若い方々よ、あなた方からすれば六十歳も七十歳もひとしなみにジジイだろうが、その受けた義務教育の内容は天地の差があるのだ。
 ともかく同じ日本人ながら、各世代、この貴重な文化遺産たる神話をかくもバラバラにうけとめてきたのは不幸だったとしか言いようがない。こうした均一化された日本人像を求める態度は閉塞的であり、ナショナリズムにつながるとの反駁(はんばく)は一方で生じるだろうが、今は、それに答える紙幅(しふく)がない。
 昔話も同様で、これも各世代の知識量が違いすぎる。今、幼児をもつ母親たちは果たしてどれだけ昔話を知っているのだろうか。「一寸法師」「猿蟹(さるかに)合戦」「桃太郎」「舌切雀(したきりすずめ)」「花咲爺(はなさかじじい)」等々、子供の前でキチンとストーリーを展開させることができるのだろうか。幼いとき、幼稚園や保育園、テ心ビで聞いたきりで全てはウロ覚え、などという域にあるとしたら、昔話もまた、日本人共通の文化遺産にはなり得ていないことになる。かつて作家・井上ひさし氏は、人の子の母たる者、二十や三十の昔話、童話、お伽噺の類をすぐさま語れないでどうする―と言ったことがあるが、至言だろう。
 新学習指導要領施行を機に、戦後長く続いたこの種の「空白」が徐々に埋められることを願ってやまない。

【記事追加 20080423】

昨夜この記事を投稿しようとしている最中に居眠りしてしまいました(^^ゞ
な〜んにも自分の思いを記載してないのはそのためです。すいませんm(__)m

昭和27年生まれのおばりんは、田舎に育ったせいもあってあまり酷い思想教育の影響は受けなかった
・・・と思ってます。小学生の頃は学校で三船敏郎主演の神話映画を見せられ、インパクトある記憶として
残っています。
諸説あるようですが、皇統が神話に繋がるロマン溢れる国史に、一人でも多く関心を抱いてくれれば
こんな嬉しいことはありません(*^_^*) おのずとこの国を愛してくれるでしょう。

この記事に

  • おばりんさん>おはようございます♪
    学習指導要領も転んで起きての繰り返しで現場の混乱を起こしていましたね!日教組の反発もここいら辺からの何かが動いているのでしょうね?でも、新学習指導要領施行により「空白」が埋まる事を願いますね♪

    [ say*ma1*47 ]

    2008/4/23(水) 午前 7:03

    返信する
  • やっと初期教育のスタート地点にたった!ということでしょうか?
    自虐史観はもうイヤ(><)〜ポチ☆

    [ minaminti ]

    2008/4/23(水) 午前 7:47

    返信する
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    昔話や民話の類も、最近は改ざんがひどく、無理矢理ハッピーエンドにしている話も多いそうでが、「こんな悪いことをすれば、こんなひどい目に遭うぞ」あるいは、「うっかりしていると、こんなひどいことをされるぞ」みたいな、ある意味、残獄物語の方が、子供の記憶にも残りそうな気もします(トラウマという捉え方もありますが)。

    shchimya

    2008/4/23(水) 午後 10:35

    返信する
  • sayamaさん、こんばんは。「日本人の忘れ物」という本を読んだことがありますが、忘れ物は多そうですよ(^^ゞ
    グローバリズムはこの国の破壊を進めそうですから、取捨選択して日本らしさを失わないようにしないといけませんね。

    おばりん

    2008/4/23(水) 午後 11:12

    返信する
  • みなみんちさん、こんばんは。戦後レジュームの改革を謳った安倍政権が無為無策のムフフ福田政権に取って代わりましたが、安倍元総理は沢山の業績を残してくれましたね。贖罪意識ばかりではほんとに国を駄目にしてしまいますよね。

    おばりん

    2008/4/23(水) 午後 11:15

    返信する
  • totdjoさん、こんばんは。「猿蟹合戦」「兎と亀」・・・沢山のストーリーが多くのことを教えてくれました。「読み聞かせ」も必要なのでしょうが、江戸時代から実績のある「音読」を見直して欲しいですよね。小学生低学年の頃は教科書を読まされる機会が多く、同級生の父兄にそれを言われるのが恥ずかしかった記憶があります。

    おばりん

    2008/4/23(水) 午後 11:21

    返信する
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    ( ´ー`)y─┛チァーパーボェー
    北國新聞社は
    エライ!

    昔話の共有化というのもなるほど 良い発想です。

    にっぽに屋にっぽん

    2008/4/24(木) 午前 3:29

    返信する
  • nipponiaさん、「各世代の知識量が違いすぎる」これは重要な指摘ですよね。これを是正するために教育改革は必要です。
    「日本人の遺失物」という本を以前に読みましたが、いろんな分野で遺失物を総点検して再構築しなくては。

    おばりん

    2008/5/2(金) 午後 4:26

    返信する

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