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究極の教育

10月19日(水)
 
 人間には、古い脳と、新しい脳がある。古い脳には、三十五億年に及ぶ進化の知恵が蓄えられているという。
だから、それが、そのまま発揮されれば、現実生活の中で、さまざまな状況の下でも、正しい判断ができ、新しい業務を素早く習熟し、正しい行動に向かうことが出来る。ところが、ここ三百万年の間に発達した新しい脳が、常にシャシャリ出てきて、適切な判断や行動を妨害している。
 
 管理型のマネージメントを実行し、指示、命令を発すると、部下の新しい脳が活性化し、古い脳を抑制してしまう。
 
 だから、管理型マネージメントは、本来の能力を発揮させることは、できない。
指示、命令をしないマネージメントは、奇異に感じるかもしれない。
しかし、部下の古い脳の力を全面的に信頼できれば、指示も命令も不要となる。
 チームメンバー全員が、その信頼にこたえて、全力疾走し、チームは信じられないような高い目標を達成していく。
「燃える集団」となる。
 
 ただし、コーチングで教えているような、単なる質問のテクニックで、それが実現できると思うのは、とんでもない間違いだ。最も重要なことは、マネージメントが、人間として徳が高く、チームメンバーから圧倒的な尊敬と信頼を勝ち得ていなければならない。 徳がないまま、いかにコーチングの手法に熟慮していても、チームは烏合の衆となる。
 それは、下手をすると単なる放任型マネージメントに陥ってしまう。
 指示、命令はしないが、徳でチームを治め、メンバー一人一人の古い脳を全面的に信頼するマネージメントスタイルのことを、老子はこういっている。
 
「賢者は干渉する事無く、ものごとを扱い、言葉を用いないで、教えを浸透させる。」老子
 
 かつて、ジョン・デューイの教育学が、すさまじい勢いで広まり、二十世紀初頭には、全米に影響を与えた。
 デューイの認識は「子供の本性は善であり、成長する力をもっている。
 また、生来活動的で好奇心に富んでおり、それを十分に生かした教育が望ましい。
 じっと座って教師の話を聞くのは、子供にとってきわめて不自然だ」というものである。
 
 彼の主張は、結果として、単に従来の教育を破壊し、放任主義に陥って失敗したケースを多く作った。
日本においても、アメリカ同様、教育の荒廃が大問題となった。
 
 私はその結果から、デューイのやり方が、教育崩壊を招いたと考えていた。
 学校では生徒をびしっと管理しなければならないと自らの経験から学んだ。
 
 しかし、今、究極の教育を考える中で、こう思う。
 
 あの時代、アメリカでも日本でも、デューイのやり方が悪かったのではなくて、それを実践した 「教師の徳」のレベルが低かったのではないか・・・と。
 
 教師のレベルの低下が、自由教育の荒廃を招き、結果として、再び、管理教育の道に逆戻りする口実を与えてしまったのではないか。と。全てのものは、進歩する存在であり、教育も進歩し続けねばならない。
 
 堂々巡りをやめ、教育現場に、生徒と教師の間の健全な「自由と信頼」を取り戻さねばならない。
 そのためには、徳のある賢者のような教師が、究極の教育で、「燃える集団」を作り、教育の方向性を示さねばならないだろう。
 
 
 
 
 

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