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「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」
これ子供に見せていい映画??・・・まるで「世にも奇妙な物語」でした。

「強く生きる力」を学べる映画だと思って、子供たちと一緒に見に行きました。
結論から言うと、子供は、ファンタジックな冒険映画と理解すると思うので、観せても恐らく問題ないと思います。
映像的に残酷なシーンは、いくつかあります。
最初の方にトラを恐れない幼少期のパイに、父がトラが動物を襲うところを見せるシーン(その瞬間は、パイを抱きしめる母を映して想像させる感じ)、あとは救命ボートの中で動物たちが襲われるシーンです。
血は見えますが、血が飛び出たりはしないですし、食べるところも、はっきり映りませんので、まぁ大丈夫かと思います。

しかし、私がもし先に映画を観ていたならば、子供が「どうしても観たい」とせがまない限り観せなかったと思います。その理由はレビューの後半に記載している「ネタバレ」を見て下さい。

【 小学生の息子の感想 】「よくあの状況で生き延びたなぁ」
【 中学生の娘の感想 】「自分も船酔いしそうだった。映像もきれいで見てよかった。」

最初の30分ぐらいが子供にとっては、退屈だと思います。映画を観に来ていた、よそのお子さん(幼児?)が、声を出してぐずっていました。
この映画を子供連れで見るなら小学校3年生以上のお子さんでないとダメでしょう。

映画の最初の方は、幼少期のパイの事が語られます。パイの学校での出来事や、父に反対されながらも3つの宗教(ヒンドゥー教・キリスト教・イスラム教)を信仰していた事など。

そして物語は、パイが16歳の時に進みます。
パイの父が経営する動物園の補助が打ち切られ、パイ家族は、カナダに動物と共に引っ越しすることになります。日本の貨物船に動物と一緒に乗り込み、船の中では、意地悪な貨物船のコックと、やさしい仏教徒に出会います。

そして嵐がやってきます。これまたすごい豪快で迫力ある映像をみせつけられます。
それからの漂流生活が長い・・・漂流生活のシーンが3/4を占めると知っていたのに忘れていました。

当初、救命ボートには足を折ったシマウマ、そしてハイエナ、オランウータンも一緒にいました。
ハイエナが、シマウマとオランウータンを襲いました。しかし、最後はトラにみんな食べられてしまいます。
トラは殆どがCGとのことですが、本物のトラにしか見えませんでした。
CG制作は、ナルニア国物語のライオンを作ったR&H社です。
「ナルニアのライオンよりリアルに」との依頼で、調査研究と体制作りに一年をかけたそうです。

漂流生活では、見どころシーンがいくつも用意されていました。
予告編で少し観れますが、大量のトビウオの群れ、静かで鏡のような海面に映る美しい夕焼け、夜の海面に光る蛍光くらげ&蛍光プランクトン、そしてクジラの大ジャンプ、大量のミーアキャットが住む島、
美しいものも多く見せてくれる漂流生活でしたが、やはり飢えとの戦いは、過酷すぎて、死んでしまったほうが楽だと思える漂流生活でした。

ところで映画製作には、実際に76日間の漂流経験を持つ「スティーヴン・キャラハン」という人がスタッフに加わっています。なので、漂流生活にはリアリティーがあります。
また巨大なクジラの登場はこの人の実体験が元になっているようです。

主人公パイが漂流生活を続けられた理由は、パイが子供のころからスイミングを習っていた事、そして頭がよく、好奇心旺盛な性格だった事、トラが父親の動物園のトラだった事だと思います。
そして漂流生活の中で、青年がトラに「パイの方が偉い」と認めさせたこと、そしてトラに水や餌を与え続けた事が長期間生き延びることができた理由だと思います。

映画の最後に「君はどっちの物語がいい?」という問いかけがあります。
子供は、トラと漂流した話が本当だと信じればいいし、そういう風に考えるよう映画も仕上がっていると思います。
実際に、私の子供も、トラと漂流した話だと信じていますし、私もその時はそう思っていました。

しかし、映画を観終わって「何だかすっきりしないなぁ」と思った人は、後になって気づくのです。
映画の内容を思い出しながら、いくつもの伏線が張られていたことに。
そして、ショッキングな事実を知ることになります。まるで「世にも奇妙な物語」です。

さすが、アカデミーショーで監督賞をとったことのある監督が作った映画でした。
ただの漂流映画ではなかったのです。
非常に奥の深い映画なので、子供に見せていいかを気にしている方は、下の「ネタバレ」を読んで下さい。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の映像と音楽は、前評判どおり美しく良かったです。
アカデミーショーに11部門にノミネートされているのもわかります。
主人公の少年は3000人の中から選ばれた素人の少年「スラージ・シャルマ」です。
筋肉質の体にしたり、そこから漂流生活感を出すために、食事をしなかったりで体重を落とし、体当たりな演技をしていました。
しかし、アカデミーショーの主演男優賞にはノミネートされませんでした。残念です。

P.S
パイの漂流した日数「227」が何だか気になり、こういうのを発見。
「22÷7にすると3.14とπ(パイ)に近い数字になる」
主人公の名前もパイ。漂流した日数もパイという事は、円周率のパイは無限に続く数字なので
「ライフ・オブ・パイ」の解釈は無限にあるという事なのではないでしょうか?

■ここから下は、ネタバレです■
(お子さんに、映画を見せていいか気になる方と、映画を観終わったけど「なんだかすっきりしない」という方だけ読んで下さい。
 「映像がきれいな冒険映画で楽しめた」という方は見ないでください)

映画の出だしは、大人になったパイが、カナダで暮らしていて、小説のネタ探しをしている作家に自分の過去の体験を話すところから始まります。
パイの学生時代の出来事や、父に反対されながらも3つの宗教(キリスト教・ヒンドゥー教・イスラム教)を信仰していた事など。
実は大人になったパイは、ユダヤ教を学校で教えていると話しています。
なので、いろんな神に興味を持っているのがわかります。

という事で、映画の最初の時点で「パイは生き延びることができた」とわかってしまいます。
しかし、大丈夫とわかっているのに、回想シーンの嵐のシーンや漂流生活シーンでは、もうダメじゃないかとハラハラドキドキの連続でした。

大人になったパイの日本語吹き替えを担当したのは、2009年2月のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』の本木雅弘さんです。
そういえば大人になったパイの会話シーンで本木雅弘さんの顔は浮かんできませんでしたので、うまく吹き替えされていたと思います。
実は、アン・リー監督は、本木さんの『シコふんじゃった。』の頃からのファンだったそうで、日本語吹き替えをお願いしたそうです。
そして本木雅弘さんが吹き替えした大人になったパイ役のイルファーン・カーンさんは、実は、同じ2009年2月のアカデミー賞で作品賞を含む8部門を受賞した「スラムドッグ$ミリオネア」に出演していました。(主人公の青年に拷問をしてインチキを暴こうとする嫌な警部役でした)
同じ2009年のアカデミーショーつながりなんて、ちょっと運命的な気がします。

それから公式HPには、トラの名前が「リチャード・パーカー」(漂流生活で人間に食されてしまうという惨劇の人物の名前と同じ)という事が掲載されていました。
なので私は、最初主人公のパイは、ベジタリアンだけど最後はトラを食べて生き延びるという話かな?
なんて思ってました。そしたら、それは間違いでした。

漂流生活が終わり、助けられたパイは病室で、2人の日本人保険調査員と話をします。
沈没した船は日本の貨物船なので、沈没した理由を、唯一の生存者であるパイから聞こうと、やってきたのです。
パイはトラと救命ボートで227日間、漂流していた話をしました。
しかし、日本人調査員は「トラと漂流した話でなく、もっとリアリティーのある話をしてくれ」と言います。
そこで、パイは急に不可解な事を言い出します。とても残酷な漂流話「パイ=トラ」を泣きながら話すのです。(残酷な漂流話は映像としては流れません。言葉だけで語られます。)

結局、日本人調査員は、残酷な話ではなく、パイが最初に話をした「パイがベンガルトラと一緒に驚異的な漂流を遂げた」と報告書に記載しました。

大人になったパイに話を聴きに来た小説家も「君はどっちの物語がいい?」とのパイの問いかけに「トラと漂流した話」と答えました。

しかし、本当は残酷な話が真実だった・・・のではありませんか?
だからパイは「どちらが本当の話だと思いますか?」ではなく「君はどっちの物語がいい?」と聞いたのです。「どっちの物語がいい?」なら、残酷でない方がいいに決まっています。
トラの名前がリチャード・パーカーだったのは、「パイが生き延びるためには、そうするしかなかった」という意味が込められていたのだと思いました。
意地悪なコック=ハイエナ
やさしい仏教徒(ベジタリアンのパイとパイの母の為に、肉汁ソースには肉が入ってないよと嘘をつく)=シマウマ
パイの母=オランウータン

映画を見ていて感じていた違和感、パイ以外に人間が乗っていない救命ボート、1日5kgの肉を食べるというトラがボートの中からなかなか姿を見せなかった事、あまりにも現実離れした美しい映像、思い返せば、ミーアキャットのいる島(夜になると酸化する島)で、これは作り話だと確信。
急に泣きながら残酷な話をするパイ・・・映画の中での真実は残酷な話の方がすんなりと説明できます。

パイは「トラがいなかったら僕は、生きることができなかった。」と言っていました。
つまり「殺人やそれ以上の罪を犯さないと生きられなかった」という事。
パイは、漂流生活が終わり海岸で助けられた時、大声で泣きました。
理由は「挨拶もなく立ち去っていくトラが悲しかった」と言いました。
パイは、恋人との最後のデートで「別れを言った記憶がない」と言っていました。
そして沈没した船に残された家族にも別れを言っていません。
やはり、挨拶もなく立ち去っていったトラは、極限状態に追い込まれた凶暴性持ったパイ(幻想)・・・。

しかし、ちょっと待ってください。これはフィクションです。
もともと人の想像力によって、つくられた物語です。
だとすれば、どちらの物語を信じようと映画を観た人が自由に勝手に決めればいい。

「君はどっちの物語がいい?」との問いかけには、やはり「トラと漂流した話」と答えます。
「パイは神への信仰と、トラがいたから漂流生活を乗り切ることができた。」そう解釈する方が心を痛めずにすみます。

映画のラストシーンで、描かれているのは、幸せそうに暮らしている大人になったパイです。
結婚して子供が2人おり、4人家族で暮らしていました。
パイは海難事故で227日の漂流生活を送りましたが助かり、つらい過去を乗り越え、立派な大人になり前向きに生きている。この映画の結末は、そういうものでした。

観た後にも、疲れるほどに本当にいろいろと考えさせられる映画でした。

そうそう、この映画を見て原作のブッカー賞をとったヤン・マーテル「パイの物語」を読んでみたいと思った方は、注意して下さい。吐きそうになるほどの残虐描写があるらしいので、覚悟して読んだ方がよいと思います。私は読みませんが(^_^;)

最後に、子供が大人になって、またこの映画を見た時に「そういうことだったのか・・・そんな話を観せてたの?」と思われるのが、ちょっと怖いです。

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初めまして。こんな記事もあります、から参りました。
詳しい解説、面白く読ませて頂きました^^ゝ
よろしかったら、TBお願い致します♪

2013/2/12(火) 午後 8:43 紫桜 返信する

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紫桜さん、こんばんは。
インドにとても詳しいのですね。勉強になりました。

2013/2/12(火) 午後 9:27 [ 大竹ママ ] 返信する

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はじめまして 原作を読み、映画を観ていないものです。非常に詳細な記述で、映像を観ても失望しないで済みそうで、映画館に行きたくなりました。ありがとうございました。原作は生物好きの私にもかなりハードでした。でも、大好きな作品です。

2013/2/17(日) 午後 9:28 [ yujipoco ] 返信する

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yujipoco さん、こんにちは。
原作は、かなり残酷描写があるらしいですね。
映画は子供も観れるようにソフトに仕上がってす。
原作読まれているならソフト感ある映画の映像もおすすめです。
3Dメガネが苦手でないなら3D映像を是非観て下さい。

2013/2/18(月) 午前 8:48 [ 大竹ママ ] 返信する

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こんばんは。BDで本作を見て、モヤモヤが
断ち切れず、本ページにたどり着きました。
ありがとうございます、スッキリしました!
事実の追求に終始すればあまりにやりきれない
気持ちになってしまいますが、
あのトラこそが生き延びるための神からの
賜物、
禁忌を乗り越える力の象徴、との解釈に
至り、モヤモヤが晴れました。

2014/1/3(金) 午前 1:33 [ にしやん ] 返信する

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にしやんさん、確かにトラは神からの賜物、禁忌を乗り越える力の象徴でした。
貴重なコメントありがとうございます。

2014/1/3(金) 午前 9:31 [ 大竹ママ ] 返信する

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観終わった後、とにかく解せぬ解せぬでここに辿り着きました。ネタバレを知ったら知ったで、夢に出てきそうです( ;∀;)
こういう後からじわじわ来る作品怖いですね。
宗教や神の存在、善と悪、人間の咎や狂暴性を絶望的なまでの途方にくれるような漂流生活で意識する意味が監督の狙いなのかもしれないけど、あのベンガルトラによく似た茶トラを飼っている私からしたら、トラウマ物です。 削除

2016/10/30(日) 午前 3:20 [ みっちー ] 返信する

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みっちーさん、確かにトラウマもののお話でしたね。

2016/10/31(月) 午後 9:30 [ 大竹ママ ] 返信する

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