虎ときどき牛(奥の間)

「食うことばっかり考えて生きてるだろ」と言われても、否定できない私です。

バレエとか音楽とか

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【韓国旅行準備編・その1】世宗文化会館のチケット購入

さて、このたびの訪韓の目的は、韓国が誇る国民的バレリーナ、カン・スジン(@シュツットガルト・バレエ団)のこの公演を見ることでした。(ちなみに、日本に帰ってきてから知ったんですが、なんでも「スケジュール上、これが最後の韓国公演になるだろう」とのこと。そうかー、もう引退しちゃうんですね……寂しいです)

というわけで、そのチケット予約の顛末を書き留めておきます。もし世宗文化会館でのコンサートや公演などのチケットをとりたいと考えている方がいらっしゃったら、ちょっとは参考になるかもしれません。

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韓国のチケット事情についてネット上で調べてみると、どうも、10%程度の手数料さえ払えば、チケット購入後のキャンセルも簡単にできるのが普通のようです。そのためもあってか、日本のように「発売直後に売り切れ」ということは少ないらしいのです。てことで、チケット取りをやったのは、発売日の約1週間後でした(この時点で、公演日から数えてなんとわずか約5週間前。日本と比べると発売日が遅い!)。

●まずはネット購入を試みる
最初にやったのは、世宗文化会館ホームページ内の「前売りガイド」のページ(韓国語英語)を調べること。これによると、購入方法には、インターネット・電話・窓口販売の3種類があるとのこと。そこでまずは、もっとも簡便そうなインターネット申し込みを試みることにしました……が、ここでいつものトラップが。

ご存じの方も多いと思いますが、韓国のインターネットショッピングでは、ほとんどの場合、会員登録に当たって「住民登録番号」が必要となります。つまり、大韓民国の国民でなければ会員加入手続き自体ができず、したがってショッピングなどもできないわけです。そして、この世宗文化会館でも、会員でなければチケットのネット購入はできず、そして韓国国民でなければ会員加入もできないのです(ちなみに、韓国の大型書店の中でも教保文庫には、「海外居住会員」という制度があります。世宗文化会館もそういう制度を作ってほしい……)。

そこで、次に外部の業者を探してみました。代表的なところではチケットリンク、それから世宗文化会館の「前売りガイド」内にも名前が出ていたインターパークなどを見てみました。しかし、これらの業者も会員加入に住民登録番号が必要だったので、やはり断念せざるを得ませんでした。

●次はFAX購入を試みる
そんなわけで、今度はFAXで予約する方法がないかを探ってみました。というのは、昨年LGアートセンターに行った際、FAXでチケットの予約を完了させることができ、非常にラクだったからです(外国人向けにFAX用のフォーマットがあるのです!)。しかし、世宗文化会館ホームページの連絡所一覧を見ても、チケット予約に使えそうなFAX番号はありません。メールをいきなりエラい人に送りつける、という方法も考えかけましたが、いくら何でもぶしつけなのでやめました(また、ハングルのメールは、ネットの途中に入っているサーバの関係で文字化けしてしまう危険もあって、いまいち不安だったこともあります。英語メールなんか書けないしさw)。

●しかたがないので電話する
……と、あれこれ逡巡したあげく、ほかにラクそうな方法がないようなので、しかたなく国際電話をかけることにしました。先の「前売りガイド」ページには、二種類の電話番号が載っています。ひとつは「インフォショップ(1544-1887)」、もうひとつは「会員加入・休息空間(02-399-1198〜9)」です。そのうち前者は、たぶん韓国国内オンリーのフリーダイヤルなので、国際電話ではかけられません(実際、かけてみても通じなかったように思います)。そこで後者の番号にかけ、次のように話してみました。

여보세요. 티켓 예약하고 싶은데요.
〔ヨボセヨ. ティケッ イェーヤッカゴ シップンデヨ.〕
(もしもし、チケットの予約をしたいのですが)

지금 일본에서 전화하고 있는데요, 일본어를 잘 하시는 분 계십니까?
〔チグム イルボネソ チョナハゴ インヌンデヨ,イルボノルル チャラシヌンブン ケシムニカ?〕
(いま日本から電話しているんですが、日本語ができる方はいらっしゃいますか?)

すると、「잠시 기다리세요.(しばらくお待ちください)」と言われ、待っていると、電話口の人が交代し、日本語で話ができるようになりました。もっとも、あくまでたまたまその場にいた日本語のできる人、ということであるらしく、ちょっとたどたどしいところはあったんですが(なので、お互いに日韓チャンポン語で話してたわけですが・笑)、基本的に日本語によって、座席予約をすませることができました。「F」と10桁の数字からなる予約番号を書き留めると、キャンセルは公演前日までに電話すること、その際にはキャンセル手数料を差し引いて払い戻しをすること、チケットは公演30分前頃までに窓口で受け取ること、などを伝えられました。

ちなみに、チケットはVIP席で1枚25万ウォン也。購入当時は現在よりもすこしウォンが高く、カードの換算レートで100ウォン=約8.4円くらいだったので、だいたい\21000くらいになりました(いまは100ウォン=約7.1円くらい)。いくらバレエのチケットだとは言っても、めっさ高いです。ここまでの額のバレエ公演チケットは、日本ではなかなかないと思います。

●買ったチケットを受け取る
さて、当日。チケットを受け取るべく、世宗文化会館の中に入ってロビーのカウンターに行ってみると……、係のお姉さんが眉間にシワを寄せて難しい顔をしはじめました。「予約が見つけられない」というのです。クレジットカードの決済が完了していることはすでに確認していたので、予約できていないはずはない、と思ったのですが、なにかが間違っているようです。電話で予約をした旨、お姉さんに伝えると、それはどの番号に電話したのか、と尋ねられました。「チケット取ったのだいぶ前やのに、そんなこと覚えてるわけないやんけー!」と心の中で絶叫しつつ、持参した公演詳細ページのプリントアウトに載っていた番号を、「多分コレだと思います」と指さしてみました。しかし反応は芳しくありません。そこで、私が「インターパークに電話したかもしれない」と言うと、それだとここでは受け取れない、窓口はたくさんあるから、どこに電話したかがわからないと受け取れない、という話になってしまいました。ピンチです。

結局、最終的には、そのお姉さんの機転によって、私のクレジットカード情報から予約内容を呼び出し、チケットを入手することができました。「どうもインターパークではなく、世宗文化会館に直接電話していたみたいですね」とのこと。どういうことなのか、そのときはよくわかっていなかったのですが、とりあえずチケットは手に入ったし一安心、ということでその場を去りました。

で、これは帰宅後、この記事を書くために調べ直していてわかったのですが、私がかけた「会員加入・休息空間(02-399-1198〜9)」で予約したチケットは、世宗文化会館の外にあるカウンターで受け取らなければならなかった、ということのようです。電話番号が載っているところをよく見ると、「位置:大劇場1階と中央階段の間に位置しています」と書かれています。ココに写真が載っていますが、このデスクに行かなければならなかったらしいのです(そういえば劇場の横にこんな建物がくっついてたような気がします)。

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というわけで、結果的にチケットは受け取れたものの、受け取り場所を間違えたのは私のミスでした。ここんとこ、重要ですが間違えやすいかもしれませんので、この記事を参照なさる方は注意してください。それにしてもこの予約システム、わかりにくいよなぁ……。LGアートセンターみたいに、FAX取り扱いをやってくれるといいんだけど。

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ソウルでバレエを見た

7月26日、木曜日。この日の昼に羽田を出発し、ソウルに入りました。そして夜は、この公演を見たわけです。

2007・韓国を輝かせる海外舞踊スター招請公演(韓国語/英語)
 @LGアートセンター(地下鉄2号線・駅三《ヨクサム》駅、7番出口直結)

これは、ドイツのシュツットガルト国立バレエ団でプリンシパルを務める韓国人ダンサー、カン・スジン(姜秀眞……でしたっけ)の帰国公演。彼女のほか、外国で活躍する韓国人バレエ・ダンサーらとともに、各バレエ団から多くのダンサーを招いています。プログラムは下記の通り。

1. 映像で出会う海外舞踊スター
2. 国立バレエ団《カルメン》ハバネラ
  (振付:Mats EK, 音楽:Georges Bizet)
3. Eric Gauthier《Les Bourgeois》
  (振付:Ben Van Caufwenberg, 音楽:Jaque Brel)
4. キム・ジヨン&Tamas Nagy《Wie lange noch?》
  (振付:Krzysztof Pastor, 音楽:Kurt Weil)
5. キム・セヨン&Jozef Varga《白鳥の湖》3幕−黒鳥のパ・ド・ドゥ
  (振付Marius Petipa, 音楽:Tchaikovsky)
6. ユ・ジヨン《Etude about the women》
  (振付:Kiril Simonov, 音楽:Ennio Moricone)
7. チャン・ユジン&Marat Ourtaev《Schwanensee(白鳥の湖)》
  (振付:Stepfan Thoss)
8. キム・ジュウォン&イ・ジョンユン《Soul mate 春香》
  (振付:イ・ジョンユン, 音楽:キム・テグン)
9. カン・スジン&Jiri Jelinek 《オネーギン》3幕−手紙のパ・ド・ドゥ
  (振付:John Cranko, 音楽:Tchaikovsky)

〜〜休憩(15分)〜〜

10. LDP《No Comment》
  (振付:シン・チャンホ)
11. ホワン・ヘミン&オム・ジェヨン《海賊》
  (振付:Jean Coralli, 音楽:Adolph Adam)
12. Enric Gasa Valga《Schutzengelsonate》
  (振付:Birgit Scherzer, 音楽:Franz Ignaz Biber)
13. チャ・ジンヨプ&Edan Gorlicki《When you see God...tell Him》
  (振付:Itzik Galili, 音楽:Scott Johnson)
14. キム・ジヨン&Tamas Nagy《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》
  (振付:George Balanchine, 音楽:Tchaikovsky)
15. チェ・ジヨン《エスメラルダ》
16. ユ・ジヨン&Igor Kolb《マノン》3幕−沼地のパ・ド・ドゥ
  (振付:K.MacMillan, 音楽:Massenet)
17. カン・スジン&Ronald Savkovic《Le Grand Pas de Deux》
  (振付:Christian Spuck, 音楽:Rossini)
18. 映像とともにするフィナーレ
  (構成:Tunc Sokmen)

チケットは前売りで購入しました。LGアートセンターの英語サイトを見たら、WordファイルでFAX送信用紙のフォーマットがあったので、そいつを利用してFAX送信。「返事は韓国語でくれてもオッケーっす」という一言(大意)を入れておいたら、FAXした翌日に韓国語メールでお返事が。仕事早いです。

聞くところによると、韓国での公演チケット前売り事情としては、「電話予約→当日受け取り」がけっこう当たり前なんだそうですね。なので、今回のチケットについてのメールにも、「キャンセルの場合は前日までに教えてくれたら返金しまっせ」という付記(大意)がありました。前売りチケットの流動性の高さを思わせます。よっぽどのウルトラ人気公演でない限り、前売り完売は少ないってことなんでしょうか。

そんなわけで、すごーくあっさりチケットが取れたし、平日のことでもあったので、空席が多いのではないかと予想していたんですが、始まるころにはぎっしり満席になってました。観客が会場入りするのも、公演開始の10〜5分前くらいと、日本に比べると遅いような気がします。

さて公演。

ほとんどの作品が初見だったのですが、まず最も印象に残ったのは「6. ユ・ジヨン《Etude about the women》」。ユ・ジヨンはオランダ国立バレエ団のダンサーです。やわらかい、というか、しなやかな身体の動きで、いわゆる「東洋の女性」らしさが前面にあらわれたダンスでした。これを、例えばシルヴィ・ギエムみたいにくっきりはっきりした動きの人が踊ると、全然違うダンスになるんでしょうね。

続いて目を引いたのは、「8. キム・ジュウォン&イ・ジョンユン《Soul mate 春香》」。キム・ジュウォンは韓国国立バレエ団のプリンシパル、イ・ジョンユンは韓国国立舞踊団(<伝統舞踊の舞踊団)の主役舞踊手です。朝鮮の古典である『春香伝』を題材とした作品で、ヒーローの夢龍がヒロインの春香を置いて都に向かう場面が中心となっていました。キム・ジュウォンの「いかにもバレエらしい動き」と、それとは明らかに異なる文法(ウェスタナイズされた伝統舞踊、って感じ?)のイ・ジョンユンの動きの響き合いが、かなりおもしろい味わいを出していました。

ちなみに、「5. キム・セヨン&Jozef Varga《白鳥の湖》3幕−黒鳥のパ・ド・ドゥ」は、キム・セヨンの動きに相当不安を感じました……。始まった直後は「これ、どーなるの?」とハラハラしていたんですが、最終的にはなんとかもっともらしい形に帳尻を合わせてしまったあたり、いちおう「さすが」と言うべきなんでしょうかね……? ナゾです。

そして後半。前半だけでも十分アップテンポで盛りだくさんの濃い公演だったと思うんですが、後半はさらにテンションの高い波状攻撃、という感じです。

「10. LDP《No Comment》」は、バレエではなく、もっとイマドキなダンス。オジサンな私は名称を知らないんですが、あれはブレイクダンスじゃないし、ヒップポップでもないし、ストリートダンスでもないし……何て言うんだろう? ま、とにかくだらっとスーツを着崩した丸坊主の男どもが踊るダンスです(苦笑)。LDPについて検索して調べてみたら、2001年に結成された団体らしく、「芸術の殿堂」という国立ホールでも公演してたりするので、けっこースゴい人たちなのかも。知らなくてごめんなさい。でもおもしろかったです。

「13. チャ・ジンヨプ&Edan Gorlicki《When you see God...tell Him》」は……、私の目にはちょっと凡庸な作品に映りました。プログラムの解説を見ると「異なる文化圏で育った一組のカップルが、互いにひかれながらも一方では葛藤を経て、次第に妥協点を探っていく過程を描いている」とあるんですが、見ていて、すごーく二人の間に閉じてしまっているな、という印象を受けました。つまり、「異なる文化圏」という道具立てが生かされておらず、要するに「愛に国境なんてないんだよ」的な底の浅い話になっちゃってる感じで。もっと屈折したもの、もっと「救い」のないもののほうが、私にとってはリアリティがあるように思います。個人的な感想の域を出ないかもしれませんが。

そんなわけで、続く「14. キム・ジヨン&Tamas Nagy《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》」以下、「16. ユ・ジヨン&Igor Kolb《マノン》3幕−沼地のパ・ド・ドゥ」までの古典作品は、ものすごく安心して見れました(笑)。私、この公演で初めてユ・ジヨンという人の存在を知ったんですけど、彼女、なかなかいいですね。日本で公演する機会があるのなら、ちょっと見に行ってみたいです(もう来たことあるのかな?)。

最後の「17. カン・スジン&Ronald Savkovic《Le Grand Pas de Deux》」は、コミカルな作品。シュツットガルト国立バレエ団で初演されたあと、アメリカン・バレエ・シアターのレパートリーにも入ったとのことで、ガラ公演のトリとしては「お決まり」の一品なのだとか。バレエの文法に反する動きを随所に取り入れて、観客の笑いの神経をくすぐります。ポイントは、カン・スジンの太縁メガネがものすごく似合っているところでしょうか(笑)

いやはや、20時開演で終わったのが23時前という、とにかく盛りだくさんでおなかいっぱいの公演でした。日本(つか、東京近辺)だとバレエの観客は判で押したように「ブラボー」しか言わないんですが、韓国人は、宴会なんかで使うあの裏声の「ひゅーひゅー」「よーよー」みたいな歓声もいっぱい上げてました。後ろの席のアジョシ(おじさん)なんか、かなりノリノリでしたね。《Le Grand Pas de Deux》でもしっかり笑いが起こってましたが、東京公演だとここまでは笑ってくれない気がします。

さて、韓国でバレエを見る機会が今後どれくらいあるかわかりませんが、次は違うホールでも見てみたいですね。とりあえず目標は、「芸術の殿堂」で韓国国立バレエ団の公演を見ること、でしょうか。

……そうそう。LGアートセンターはとてもよいホールだったんですが、近隣の食い物屋がいまいちです。小ぎれいな店がいっぱい並んでるんですが、オジサン的にはどうも落ち着かなくって。もっと、こう、庶民的な香りのする店って、ないんですかね?(<場所柄それは無理、ということを承知で)

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ベジャール「ザ・カブキ」を見ました

仕事を早めに切り上げまして、M・ベジャールの「ザ・カブキ」を見に行って来ました。『忠臣蔵』のバレエ版、というものです。もっとも、教養のないワタクシは、『忠臣蔵』の中身をちゃんと知らないもんで、行く直前に古本屋に立ち寄り、古井戸秀夫『歌舞伎入門』(岩波ジュニア新書)なんかを購入して、安直にざざっとあらすじを予習していたような次第ですが(笑)

で、話のスジは、ご存じのように大星由良之助(大石内蔵助)が高師直(吉良上野介)を討つ、というものなわけですが、このベジャール作品では、現代日本の青年がタイムスリップして作中に紛れ込み、由良之助として敵討ちを行うという趣向になってます。由良之助は、最初はネクタイを締めたままの状態で、タイムスリップした世界にとけ込めず、ストーリーを〈外〉から眺めている状態だったのですが、塩冶判官(浅野内匠頭)の切腹の場面に立ち会ったことをきっかけとして、ストーリーの〈内〉にのめり込んでいくことになります。

ストーリー展開自体も面白かったのですが、それ以上に面白かったのは、「語り」の構造でした。ベジャール作品は、舞台の上でしばしば重層的な「語り」を見せてくれます。たとえば、舞台中央で展開しているメイン・ストーリーとは別に、それを舞台の袖から眺めている人物を配置したり、という演出をするわけです。この「ザ・カブキ」は、それがさらに複雑になった形に見えました。

先にも触れたように、最初、由良之助はストーリーを〈外〉から、ある距離感を持って(=自分自身はとけ込めないという違和感を持って)眺めています。現代の私たちと、『忠臣蔵』の作中世界との距離感のことを思えば、この由良之助の視点は、観客である私たちの視点だと言ってよいでしょう。しかし、由良之助は塩冶判官の切腹というショッキングでセンセーショナルな場面を機に、ストーリーの〈内〉へと引き込まれていきます。それは、私たちが作中世界に没入してしまうこと、由良之助に感情移入してしまうこととパラレルであるように思えます。つまり、「ザ・カブキ」における由良之助の位置づけは、現代社会において『忠臣蔵』を鑑賞している私たち(というよりもベジャール自身?)の表象だと言えるのではないでしょうか。

そうとらえてみると、「ザ・カブキ」の「語り」は
『忠臣蔵』の作中世界<<『忠臣蔵』を見ている現代の由良之助=ベジャール<<ベジャールの演出で踊るダンサー<<ダンスを見ている私たち
といった重層構造になっている、と言えそうです。「ザ・カブキ」を見ている私たちは、上の構図で左から右へと流れてくるメッセージを受け取りながら、その構図をもう一度右から左へとさかのぼっているわけです。その過程で何重にも「解釈のプリズム」を経ていることを思うと、私たちが見ている「ザ・カブキ」とは何であるのか、現代において『忠臣蔵』を見るということが何を意味するのか、と考えさせられてしまいます。

……と、まあ、こんなことを思いながらぼんやりと電車に乗って帰って来たわけです。いや、ビール飲んでるからぼんやりしてるだけかもしれませんけどね(笑)

ともあれ、これはすごく面白かったです。当日券なのにいい席に当たったし、行ってよかったなあ、としみじみ反芻しています。

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BALLET FOR LIFE

モーリス・ベジャール・バレエ団「バレエ・フォー・ライフ」(東京・五反田、ゆうぽうと簡易保険ホール)を見てきました。

この作品は、ともにHIVに感染して夭折したフレディ・マーキュリージョルジュ・ドンへのオマージュとして作られたものだそうです。プログラムによれば、ベジャールはジョルジュ・ドンと相前後して亡くなったフレディ・マーキュリーが、イラン系の出自でゾロアスター教徒であったことなどに関心を持ち、このバレエを作ったようです。ベジャールさん、「アジア的なモノ」がほんと好きですねぇ。

で、私はこの作品をビデオかDVDかで見たことがある、ような気がしていたんですが、それは全くの気のせいで、じつは初めてでした。1時間50分ノンストップで休憩なしの公演だったんですが、まったく時間を感じさせない内容でした。

作品中、音楽はほとんどがQUEENの曲ですが、ところどころにモーツァルトの曲がはさまれています。言うまでもなく、モーツァルトもまた“夭折の天才”です。「アマデウス」なんかで描かれているような(って、こーゆー作品を引き合いに出していいものやらどうやら……)、モーツァルトの「『狂気』と背中合わせの『天才(or才能)』」といったイメージを補助線としつつ、フレディ・マーキュリーとジョルジュ・ドン(の人生)を読み解いた作品だ、と見ることができるでしょう。

同じくプログラムの中で、ベジャールは「もしも私が、これは死についての作品だといわなければ、観客たちはそのことに気づかないのではないだろうか」と述べています。「死についての作品」なのに「フォー・ライフ」という題名が付いているのは矛盾しているようにも思えますが、よくよく考えてみれば「生」と「死」はコインの表裏の関係にあるわけですから、「生」を描くことは同時に「死」を描くことでもある、と言えるでしょう。まぁ、あらかじめプログラムを見てカンニングしていたためでもあるんですが、「生」を描いたこの作品が「死について」のものだ、というのはうなずけるな、と思いながら見ていました。

そんなわけで、作中では「生きることの喜び」をモチーフとしたダンスが目に付きます。そのうち多くの場面で、そのダンスの輪の外(しばしば舞台の袖)に、フレディorドンになぞらえられたダンサーが配されています。つまり、フレディorドンの吹き出しの中のことが演じられている、わけです。舞台中央で踊り、遊び、歌い、愛し合う若者たちと対照的に、うつろな表情で座るフレディ、ドン。若者たちのダンスが明るく喜びに満ちたものであるほど、それが吹き出しの中に入れられているということの重みが伝わってくるようにも感じられます。(ステージの上に二つ以上の「流れ」を載せて、それらの「流れ」同士の重層性を見せるような演出…「劇中劇」または「枠物語」のような手法…が、この作品には随所に見られました)

ところでこの作品、今日はホールで見てきたわけなんですが、ノリ的にはどうなんかな?とも思いました。けっこうクスグリもあって、笑いながら手拍子しながら、時にはこっちも踊りながら見るような作品じゃないでしょうかね。もう少し大きなハコで、オール・スタンディングでやってみるのもおもしろそうです。あと、QUEENヲタの人も、一度見てみたらおもしろいと思いますよ(私自身はQUEENの曲はちょこっとしか知らなかったので、ライブビデオとかちゃんと見ておきたいですね)。

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たまには日記でも付けとけ。

11/18(金)はなんか知らんけどめちゃめちゃ忙しく、残業してて気がついたら日付が変わってました。それで帰ってメシ食って、メールやサイトのチェックして、風呂入って、とかしてたら、いつの間にか午前4時。もう新聞配ってますやん! というわけで就寝。

11/19(土)は、そういうわけで朝寝しようと思ったんですが、上の階の住人が朝からやかましく、やむなく8時過ぎに起床。眠いっちゅうねん。んで、平日に家事をさぼっていた分、洗濯物が山になっているので、仕方なく洗濯。その間にパソコンいじくってたら、またまたいつの間にかお昼。いかんいかん、今日は東京に出かけるんやった。

てな感じで、昼すぎの電車に乗って東京へ。上野の東京文化会館で、コレを見ました。


もとよりダンスについて語るべき語彙が少ない人間なので、レヴューを求められても小学生の作文並みな感想しか書けません。よって感想はごくごく簡単に。

これは見終わった直後に、同行した友人と話し合ったことなんですが、以前に何度か見たギエムの「ボレロ」は、ものすごく「迫って来るもの」がある感じがしたし、当人も多分それを意識して踊っていたんだと思います。しかし、今日見た「ボレロ」は、余分なものがいろいろと削ぎ落とされた感じで、よく言えばあっさりスマート、悪く言えばメリハリがあまりない印象でした。ぼくが思うに、それまではギエムの周りで踊って独特の存在感を示していた飯田宗孝さんが、ダンサーではなく芸術監督になったという点の影響も大きいのではないか、という気がします。ま、「あの目立つツルツル頭が見えなかった違和感」なのかもしれませんがね(笑)

で、見に行った人々と別れて、ぼくは八重洲ブックセンターへ本の買い出しに。


てなところを購入(※は東京文化会館にて購入)。あとは東京駅の大丸で、閉店間際で割引になっている弁当を買って(何と3割引ですよ、安い!)、新幹線で食べようと思ったら、、、、時間ぎりぎりであわてて飛び乗ったので、汗はかくわ飲み物は買いそびれるわ、で、気をそがれてしまったので弁当は持ち帰り。家でビールのつまみになりましたとさ。

そんなことを書いていたら、今日も午前4時になっちまいました。さーて寝るか。

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