無題
引退七つの悦楽
引退生活に入って10年近くになる。最初は張り合いが無くなってショボンとしたが、もうすっかり慣れ、実は、引退の悦楽に浸るようになった。
第1に、現役時代のような「月月火水木金金」の予定からほぼ完全に解放されたこと。今でもほとんどの日に出かける計画は一応作ってあるが、朝起きた時の気分でいやなら行かなくてもよい用事か、約束した会合出席でも、自分が出ねば始まらない訳ではないものばかり。要するに出ても出なくてもよい存在。これほど気楽なことはない。
第2に学会へ演題を出さなくて済むこと。現役として端っこにでも名を連ねている間は、学会用に何らかのデータを捻り出さねばならぬ。これが寝ても覚めても頭にこびり付いており、気が休まる時がなかった。
第3に、銀行強盗以外のすべての手段を講じざるを得なかった研究資金や教室運営費の確保に、
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