わんママひとり言。震災から避難所生活今は仮設住宅。

震災から1年が過ぎ。そろそろ日常を取り戻さなければ。いつまでも被災者じゃいられない。

ココロの内側

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年老いた文字

人が老いると、体も思うようにならず、ロレツも思うように回らず、何もかも、血気盛んな頃のようにはいかなくなるもののようだ。
 
文字も、老いたように書けてしまうようだ。
 
 
私の母は、達筆な方だと思う。
妹も弟も字は上手だと思うが、母の字は男性的な力強さのある、かっきりとした文字だった。
今はあきらめたが、娘時代はあこがれた字体だった。
 
母は書道を習ったことはない。
 
『文字が上手に書きたくて、上手に描く人の文字を真似して努力した。』
ずっと子供のころ、母はそう言って、私にも努力を促した。
 
私は父に似たのだと思う。
どちらかと言えばコマゴマと器用にこなす。
 
が、読み書きはからっきし。
 
 
先日、役場に申請書類を出しに行く、というので母を女川の役場まで連れて行った。
車で待っていたがなかなか終わらないようなので、私も役場の中に入って行き母のところへ。
 
何やら書類を、役場の方に教えられながら書いている。
その手元を見ていると、文字が、以前の母の物とは違っていた。
 
いや、全く違うのではないけれど、
『え?これ、お母さんが書いたの』と思うような文字が字列の中にある。
こんなに下手なはずはないのに。
お母さんの文字は、もっとしっかりしていたのに。
 
年を取ると、書く文字も年を取るのかしら。
心の中でため息が出た。
 
理解の仕方も遅くなった。
自分の思ったことを、心で一旦確認せず口を突いて出るので人を傷つけたりもする。
本人は全く気付いていない。
 
母は今年で78歳。
服装や見た目は若くしているけど、やはり年を取ったんだなぁ、としみじみ感じた。
 
震災で、父と築いた55年の財産をすべて失った母。
 
『お父さんと結婚した時、布団1組しかなかった。あのころに戻っただけ。もう一度やり直せってことでしょう』
そう言って笑った母だったけれど、失った沢山の物一つ一つにあった、手に入れた時の苦労と喜びが、海の藻屑となってしまった喪失感を何を持っても贖(あがな)えない。
それがますます母の老いに拍車をかけたのか。
 
文字にまでも・・・・・・・
 
せめて父と二人で1日でも多く長生きしてほしい。

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