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 神戸市東灘区の食品製造工場でおととい起きた火災で、消火作業中だった市消防局東灘消防署の消防士長が亡くなった。

 市内では、消火活動中の消防士の殉職が2003年にも起きており、きのうが命日だった。

 その追悼式となる「消防誓いの日」に、再び同僚の死を報告しなければならないという悲しい巡り合わせだ。

 31歳のあまりにも惜しまれる死。

 事故はなぜ繰り返されたのか。

 再発防止のためにも徹底的な検証が欠かせない。

 火災通報は1日午前10時すぎにあり、2階建て耐火構造の工場を全焼した。

 亡くなった速水力消防士長は3人一組の小隊で工場内に踏み込んだが、消火作業を始めてすぐに熱気と煙が押し寄せた。

 小隊長が「退避」と声をかけ、もう1人の隊員と外に出たが、消防士長は取り残され、無線交信にも反応がなかったという。

 速水消防士長が遺体で発見されたのは9時間以上たってからで、いかに困難な消火活動だったかが分かる。

 消防局などによると、工場は小麦粉の加工品や冷凍ピザなどを製造している。

 内部は迷路のようになり、袋詰めにして積まれた小麦粉が放水で舞い上がり、空気と混じり合っては爆発的に燃え上がった。

 窓が少なく、密閉性の高い構造だったために急激な温度上昇を招いたことも、消火活動を難しくした要因と考えられる。

 一度に消防士4人が犠牲になった03年の民家火災では、行方不明者を救出するために踏み込んだ消防隊員らが焼け落ちた柱などの下敷きになった。

 梁(はり)と柱をつなぐ「ほぞ」が焼けて抜け落ち、家屋が傾いた。

 それに引きずられる形で一気に崩落したと、消防局は事故調査報告書で推論した。

 消防局はその際、事故を教訓にした課題と対応策もまとめ、具体的な施策として各小隊とは別に指揮隊の専従化を進めた。

 正確な状況判断に基づき、安全な消火・救出活動を実現するためだ。

 今回の消火活動に、それがどう生かされたのだろう。

 出火当時、工場内に従業員はいなかったとされ、緊急の人命救助が必要な状況ではなかった。

 その場合、安全な消火活動のためには、建物の構造や内部状況の把握が欠かせないが、それがどこまで十分に行われたのだろうか。

 想定外のことがあったのだろうか。

 消防隊や専任救助隊は、常に使命感によって動く。

 ぎりぎりの判断で行われる活動が不幸な結果を生まないようにするためにも、やるべきことはたくさんある。

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