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村上春樹「遠い太鼓」(1993)

この本を読んだきっかけ:昨日書いた通りです。
            義姉が貸してくれた本の中から古いもの順に。


紀行文です。
背景としては作者が37歳から40歳まで。(1986〜1989)
この間に、「ノルウェーの森」「ダンスダンスダンス」の執筆。
ローマ、ギリシャ、ロンドン、オーストリアなど。
「原則的にはただのスケッチの集積」


               「遠い太鼓に誘われて
                私は長い旅に出た
                古い外套に身を包み
                すべてを後に残して」
                      (トルコの古い唄)

作者には遠くから太鼓の音が聞こえてきたそうです。(羨ましいかぎり)



例の如く付箋をはがしながら(笑)


気になった文章:
   「僕が怖かったのは、あるひとつの時期に達成されるべき何かが達成されないままに終わってしま  うことだった。……僕が外国に出ようと思った理由のひとつ」
   「日常にかまけてだらだらと歳を取ることができるからこそ、人はまだなんとか正気を保っていら  れるのだろう。日本にいようが、ヨーロッパにいようが」
   「雨の朝に文章を書くと、どういうわけかそれは雨の朝のような文章になってしまう」
   「僕には突っ込んだ個人的親交というものを本能的にふっと避ける傾向があって」
   「自分が死んでいくところを想像してみる。すべての肉体機能が停止し、最後の息がすうっと肺か  ら出ていく。最後の息というのは、思っているよりもずっと硬い。」
   「世の中というものはその状況の向こうにいる人間の姿がきちんと見えていれば、大抵のことは我  慢ができる。」(逆であれば、苛立ち、不安)
   「安心して暮らせる安全な場所がまともな場所」(オーストリア)




ユニーク、大好きな言い回し(表現):
   「からだの隙間という隙間に、歯医者が充填用に使うセメントが詰まっているみたいな」(疲れて  いること)
   「『死に犬現象』全ギリシャの犬の日常的に見受けられる現象(生きているのか死んでいるのかわ  からないほどぐったりしている)
   「エーゲ海の法則」(女の子は慣れた手つきでおっぱいを露出し、男のほうも見てみないふりをす  ること)
   「ゼウス自らが出陣して雷の太い矢を大地にはしっはしっと射ているような迫力。」(雷鳴のこ   と)
   「ある種のイタリア人は食べ物を前にすると抑制というものがきかなくなってしまうのではあるま  いか」
   「食べること、喋ること、女を口説くことを覗けば、あまり一生懸命に何かをやるってこたがな   い」(イタリア人のこと)
   「北方ヨーロッパ人ー彼らは実に困難と貧困と苦行を求めて旅行をつづける」
   「ギリシャにいるうちに人はあきらめというものを知るようになる」
   「ナポリ出身者と結婚して世界の混乱ぶりを嘆くのは、熊と結婚してその毛深さを愚痴るようなも  の」
   「精神的追求力は夏の午後の老犬のように不活発」
   「ハウスククレカレーの広告も見えなければ、サントリー純生の広告も見えない。パチンコ屋の新  装開店の立て看板もない。『注意一秒・怪我一生』という標語の看板もない。」(チロル街道にて)
   「日本の車には表情というものがない。だいたいみんな一部上場の企業的に同じような顔をして走  っている。」(イタリア車が好きということ)
   「彼女の足取りは僕にいやおうなく時間というものの存在を思い出させる」




いいなあと思う文章:
   「外国を訪れたとき、音によって最も鋭くその異国性を認識することがよくある。」
   「彼女をその物静かなみずたまりのような哀しみのなかにそっと置き去りにした」
                  


「10へー」ぐらいの文章:
   「アテネという町は、ごく控えめに行っても三日あれば目ぼしいものはだいたい全部見て回ること  ができる」 
   「ギリシャ人の男の名前の約半分はコスタかイヤニかイオルゴス」
   「ジョギングやらフィットネスというような習慣あるいは概念は、もともとが都市型文明の産物」  (走ることが理解できない南ヨーロッパ人)
   「時速十キロ前後というのは風景を見るには理想的な速度」(走る速度)
   「ギリシャの子供たちは本当によく働く」
   「『ダンスダンスダンス』はザ・デルズという黒人バンドの古い曲名」(ビーチボーイズではな   い)
   「『ダンスダンスダンス』をかきながら、ハワイに行きたくてしょうがなかった」(寒すぎて、だ  から小説の中にハワイのシーンが)
   「『ノルウェイの森』を百何十万部も売ったことで、ひどく孤独になって、多くの人に憎まれ嫌わ  れているように感じた。」→「他人の小説をこつこつと翻訳することは、一種の治癒行為である」  (翻訳をする理由の一つ)
   「十三番目の島のこと『パン屋のおまけ』』(十三という数字を嫌って)



知らない言葉:「ヘラルド・トリビューン」「バックパッカー」「デスパレートな」(ベートーベンの   顔)「タヴェルナ」「孔雀の鳴き声『メイオー、メイオー』?」「雉鳩亭」←読み 






この投稿文を読んでくださった方にはほんとうに申し訳ありません。
20年も前に書かれた(二昔前)紀行文ですのに、いちいち反応しすぎですよね。
誰のどんな言葉にも文章にも感心し感動しやすい性質なもので、困ったものです。


次の読書予告:奥田英朗「邪魔」 さあ!付箋は何枚になるのか!!!

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「ナポリ出身者と結婚して世界の混乱ぶりを嘆くのは、熊と結婚してその毛深さを愚痴るようなもの」←これ、笑えました。『ミラノ・・・』の著者の義父さんが、ナポリ出身で、ナポリっ子の実態を書いてあったので(笑)。

2008/4/26(土) 午前 8:37 みー

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みーさん。私はヨーロッパ(以外外国はほとんど)には行った事がないので、憧れるんですが、村上春樹さんの、こういう表現ってっとっても面白くって、思わず行ってみたくなっちゃいます。

『ミラノ…』今調べたらあと23番目(2冊所蔵)なので、まだまだです。(楽しみ!!)

2008/4/26(土) 午前 8:53 ばんび

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