夢枕 獏 著
ジャンル 伝奇
ソノラマ文庫創刊当時はもう、菊地秀行と夢枕獏と
言えば2枚看板。 「魔界都市<新宿>」に「キマイラ吼」
がそれぞれのデビュー作と言ってもいいほどだ。
また、それぞれにアダルト路線に場所を代えてはいくが、
両名共にソノラマ文庫のシリーズは未だに根強い人気だ。
☆☆☆
さて、「幻獣少年キマイラ」・・・キマイラ吼シリーズの
第一作となるが、これ、まだ未完のままなので、ストーリ
ーには触れられないし、世界観程度のご紹介になる。
作中の「今」現在は昔々のお話の真っ最中なので、現在進
行は全くない。 いやはや、第一巻から既に10年以上経過
しているし、真壁雲斎が円空山で「パソコン」を触っていた
のも一般には初期の頃だから、そろそろ話をすすめないと
本作そのものが伝奇化するかもしれない。
まぁ、このまま昔話で風化しちゃってもいいけどね。
夢枕氏自体、「ラストの構想は最初からある!」って豪語
しているので決着はいつでもつけられるのだろう。
さて、世界観となるとまとめるのはやはりちょっと骨だ。 あちこち関連が多すぎて、
これも何度かに別けていくことにするが・・・、作品開始の十年以上前の現代が時制的
には舞台となっているが、先に書いたようにリアルな「今」から既にずっと昔の話に
なってしまっている。 物語は長いが、作中の時間の経過は殆どないからだ。
作家の思い入れが強いと得てしてこんな事になってしまう。 いつまで経ってもなんとか
天女って芝居がされない某少女漫画の世界と同じかもしれない。
主人公の大鳳吼(おおとり・こう)・・・すげぇ名前だが、彼はまぁ気弱な青年という
風情で登場する。 主人公のくせに殆ど作中に登場せず、周囲の人間ばかりが活躍して
しまうので影が薄いのなんの・・・主人公は九十九か? 今現在吼くんは行方不明に
なったままで現実世界では既に10年以上経過しているのだから失踪宣告受理されて
しまう。 いい歳になったろうなぁ・・・・。
生い立ちも正確には不明なままなので、なにやら曰く因縁一杯ありげだが、彼がキマ
イラの血を引いているのは間違いない。 友人に九十九三蔵というこれまた歳をとら
ない高校生が一人、作中には名前しか登場しないが九十九乱蔵って仙術師の兄がいて、
別作の「闇狩師」というシリーズで大活躍している。 時制的にはほぼ同時進行の
シリーズだ。 ウルフガイの青鹿せんせみたいにヤラレっぱなしのガールフレンドも
居るが、名前忘れた(をいをいっ)。
そして、どういうわけだか仙術師の師匠格に真壁雲斎ってハイカラなじーさんが登場する。
雲斎せんせは吼のなんなんだ? 空手の先生か? これ、なんだかもの凄く重要な関り
のようだが、吼本人と雲斎はさほど濃厚な関係ではない。小田原の田舎に”円空山”と
名をつけた庵で生活しているが、この雲斎せんせは「闇狩師」にも登場したりしている。
だいたい、仙術師って職業がよくわからない。 隠居じいさんだからとりたてて職業を
語る必要もないのだろう。 まぁ、とにかく転校生、吼と三蔵は雲斎せんせのもとで
空手を習っていたのだ。
各人結構過去があって魅力的というか数奇な運命で結ばれてはいるのだが、冷静に考える
と表面的な関わりはとても薄いことに気がつく。 敵方・・・かたき役と言っても別に
個人的な怨みもないのだろうが、ワルの方の代表が宇奈月典膳というこれも仙術使いなの
だろう、真壁雲斎とどうやらライバル関係にあるようだが、これもよくわからない。
吼のライバルには同じくキマイラの血を宿す九鬼麗一、九十九三蔵の敵側には龍王院 弘
となんだか不良の高校生。
九鬼一族との血のつながりも匂わされているが麗一、吼が兄弟だったとしたら納得の行く
展開にもなろう。
フリードリッヒ・ボックだの龍王院 弘だの・・・妖しい脇役が多い上に、それぞれに
サイドストーリーが展開されるので、本編は一向に進まない。
なんだか、子供の頃に屋台でみせられた妖しい妖しい紙芝居のような設定だ。
せむし男が出てきたり、無人島に海賊の宝物があったりしたあの紙芝居の雰囲気が全体
ににじみ出ている。
「キマイラ化の謎」がどうやらメインテーマなのだが、それを治す方法を模索する話と、
それにまつわる過去の冒険譚に終始して、この十年以上進んでいないという・・・
物語そのものは面白い、これは認めるが、周囲の人間を含む世界設定が緻密なのと一人
一人の登場人物に入れ込みすぎてエピソードはいつまでたっても進展しない。
ぺりー・ローダンのような大長編になることだけは避けて欲しい。
是非とも私の生きているうちに決着をつけて頂きたい、さもないと私にも細胞活性装置
が必要になってしまう。
さて、冗談は抜きにしても、キマイラシリーズ・・・面白いが、いいかげんに進展させ
て欲しいと思う今日このごろ。 私はだんだん忘れてきたぞ・・・・。
※夢枕さんに言わせると・・・
私が小説の内容を忘れたのではなく・・・
小説が私の存在を忘れてしまった・・ことになるのだろうか(笑)
正直、もう、いいわぁ・・・尻切れトンボで・・という感じがしてきた。
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