ガマの油??
|
手の上に乗せているのは、エンジン側ドライブスプロケットの内側に入るカラー。
Z1000Jの交換用に新品を卸したものですが、このカラーは素材として面白い特徴があります。
ヒートガンをちょっと高めの温度に設定します。
550℃となっていますが、これは内部の温度で、別にその温度の熱風が出るわけではありません。
パーツクリーナーで表面を脱脂洗浄した後のこのカラーを熱してやります。
30秒ほども熱してやると、油分を拭き取ったはずのカラーの内側が何だか汗をかいた様に濡れてきます。
更に熱してやると、明らかに油が滲み出しています。ヒートガンの風に煽られて、熱いオイルがあちこちにボタボタと飛び散る程です。
向かい鏡の部屋に置かれて油を採られるガマガエルの様??
見ていると楽しいのですが、図に乗って近くに手を置いていると熱いオイルが飛んできてアッチッチとなります。
前述した通り550℃はあくまでヒートガン内の発熱体温度で、カラー自体の温度は200℃前後かと思いますが、飛んで来るオイルは海老が美味しく揚がるぐらいの天ぷら油並みの温度です。
大きさから考えると知らない人には想像出来ない程のオイルがこのカラーから出て来ました。驚くほどの含油性ですね。一見ただのカラーに見えますが、素材そのものが相当な多孔性素材でオイルを含む性質を持っている事がわかります。
しかも面白い事に、外側表面は加工工程で封孔処理が施されるような磨き方をされているのか、オイルが滲み出て来るのは内壁面のみです。
さてこの素材、メーカーに聞いたわけではありませんので確実ではありませんが、おそらくは焼結製法で作られているのでは無いかなと。
焼結とは金属の製法の一つで、粉末の素材を融点以下の温度で圧力をかけながら焼き固める製法で、溶けていませんのでこの様な多孔性と、しかも鋳造の特性である剛性の高さや摩耗のしにくさ等の特性を併せ持っています。
こういった金属は主に軸受け等に使われます。このカラーの場合はオイルシールとの当たり面が僅かに減りますから、一皮剥けたその部分のみを潤滑させる事を狙っているのかと推察しました。
シールリップの当たる側の金属が常にオイルを含んでいれば、しばらく使わなかったとしてもリップが張り付いてしまう様な事もありません。
ちなみに今回テストしたJ系のみでなく、Z1系のものでテストした際にもやはりオイルが噴き出しましたから同じ素材と製法だと思います。
あまり知られていませんが、わざわざこの様な素材が使われていることを考えると、この部分のカラー、オリジナルより硬い素材で減らない強化品だなどと安易に削り出して作ってしまうわけにもいきませんな。
|


コメ失礼いたします。
30年も前のバイクの部品ですが、
こんな小さな部品1つにも、工夫されてるんですね、
日本の工業の技術の高さにびっくりしました。
2012/2/2(木) 午後 9:02 [ 直4しんチャン☆ ]
直4しんチャン☆ さま
焼結させる前の粉末の大きさや圧力、温度によっても様々な特性を持たせる事が可能だそうですが、思い通りに作るには温度管理が大変そうです。
更に目の粗い砥石の様なものや目の詰まった硬いもの等、いろいろな種類があり、最近では摩耗しにくいバルブシートリングやバルブガイドもこの素材で作られているものがあります。基本型に入れて作る鋳造に近い方法なので、削り加工の様に素材を余計に無駄にしないエコな面もあるのだそうです。
2012/2/2(木) 午後 10:54