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LABOの竹部録(タケブログ)

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獲れたてヘッドの検証

エンジン製作用に手配していたシリンダーヘッドが入荷しました。
 
イメージ 1
知人業者が分解したエンジンから取り外したもので、上物が出たら声掛けてねと依頼しておいたものです。
 
作業台に置いて魚を3枚に下ろすように分解して要所の点検を行います。
使うのはヘッド本体ですが、使っていたカムシャフトその物も付いています。
これも使用履歴を判断するのに有効な材料です。
イメージ 2
 
ヘッドカバーのねじ山が非常に綺麗で生きています。ガスケットの当たり面をスクレーパーで削った痕跡がありません。脱着された回数が少ない事を意味しますので、期待出来そうです。
イメージ 10
 
タコメーター用ギアの歯の当たり面も摩耗は少なく、シャフト自体の収まり部も綺麗です。
イメージ 11
 
メタルにも異常なスレや摩耗も見られません。
イメージ 12
 
タペットを外してニヤリ。
バルブコッターからのステムの突き出し具合を見るに、ステムエンドのカットを施された跡がありません。
イメージ 3
ヘッドの整備シートカットを行うとバルブが上に上がりますので、基準シムが使える様にするのであればステムエンドを研磨カットする必要があります。
この部分がカットされていないという事は、過去にシートカット等の整備を行うまでも無いレベルのヘッドか整備したにも関わらず手間を省いてカットを行わなかったかのどちらかです。
ただ、この程度のヘッドの場合は前者である可能性は高いです。
 
燃焼室より。
状態が分かりやすくする為にカーボンをざっと落としてあります。
イメージ 4
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燃焼室内部に極端な腐食や溶解痕、ブロー等による破損痕はありません。
良くあるシートリングとプラグホール間のヒートクラックもありません。
何よりプラグホールのねじ山が非常に綺麗で痛みが無いのも確認出来ます。
 
傷みやすい6mmスタッドボルトも全て真っ直ぐに残り、折れ等を下手に修理した様な痕跡もありません。
イメージ 8
 
 
ステムシールもゴムとしての弾力を残しています。
セッティングもしないでパワーフィルター仕様なんかにして走る等の、異常高温になる様な使われ方はしていない事を意味します。
イメージ 9
 
摘出したバルブスプリング。
長期間長距離を使ったものはアウタースプリングの内側とインナースプリングの外側が擦れて、細く銀色に光りますが、まだまだそこまでは遠そうです。
イメージ 13
この後、自由長とレートも測定しましたが、新品時のデータとのさほどの差は見られませんでした。
そのまま再使用しても差し支えないレベルです。
 
インテ−ク側のバルブステムには独特の摩耗が見られました。
ステムの摩耗の仕方を見る限り、やはり一度もバルブ廻りの整備は行われた形跡がありません。
シートカットを施してバルブを再利用した場合は、ステムの摩耗痕が多重に入るからです。
イメージ 14
Z1系初期の角溝コッターインテ−クバルブは、後のものと材質や仕上げが異なるのと、この時期以降のガソリンの無鉛化によりステムやガイドの摩耗が大きい感じがします。
バルブガイドには内径に若干の拡大が見られました。
但し、マニュアル上の規定限界値にはまだまだ余裕があるレベルです。
 
経験者なら分かると思いますが、Zのヘッドに組み込んであるダウエルピンは、ヘッド側の穴が微妙に変形する為、プライヤーを使わなければ抜けない場合が多いのですが、このヘッドは全てのピンが指でつまんで抜き取れます。
イメージ 15
 
 
カムホルダーの雌ネジもこの通り、完全に生きています。
予防措置としてのヘリサートも無用なレベルです。
イメージ 16
 
カムスプロケットの歯にも摩耗らしい摩耗はありません。
ヘッドのひずみ等も無い為、カムホルダーを組み付けしてもフリクション無く回せます。
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写真に収めるのを忘れていましたが、ストレートエッジによるヘッド面のひずみチェックも計測限界以下でした。
 
結果として、ベースに使う中古ヘッドとしては超上物と判断出来る状態だと判断しました。 
 
唯一、純正の砲金バルブガイド内とバルブステムに若干の摩耗はありますが、これについてはエンジン製作時に鋳鉄のガイドとMk2系後期型のバルブにして摩耗対策を行う事を前提としていますので、正しい加工を行ってやれば新品の様になるでしょう。
 

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続・・・ステンレスについて

本日の記事は先週の続きというか、実は前回既に書いてあったたのにアップロード前に手違いで消してしまった部分の書き直しです。
前回の記事↓
 
以下は前回記載したSUS304ステンレスの特性
①耐食性が高い。(それそのものは錆び難い)
②磁性が低い(磁石にはほとんどくっつかない)。電気抵抗が非常に高い。(導電性が低い)
③熱伝導性が極端に低い
④変形させて加工するとその部分が局部的に硬度が上がる
⑤素材そのものの固さは低く、伸び易く割れにくい
⑥焼き入れによって硬度を上げにくい
⑦熱や振動で齧り易い
⑧アルミ素材に対しては電食を起こし、相手側素材を腐食させ易い
 
さて、誤解の無い様に申し上げると、自分は別にステンレスのものを毛嫌いしているわけでは無いので念の為。
 
前回のステンレス製ブラケットはもちろんの事、ステンレスのメリットを生かして使える場所はいくつもあります。
 
結局は適材適所なのですが、特に前回より話題にしている304系で最も向かない使い方と言えば
 
そう、クランクケースの上下ボルトです。
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純正で使われる鉄ボルトは、ある程度までの負荷まではばねの様に伸びて負荷を抜くと戻り、降伏点と言われる限界を超える負荷をかけると永久変形を始めます。
 
ところが304ステンレスで製作されたボルトですが、この明確な降伏点が存在せずに低負荷(この場合は低トルク)からずるずると伸び続ける為、締結力も剛性の一部にしたいクランクケースを組み立てるには不都合極まり無いのです。
 
しかも、前回記載した通り304とアルミ素材の相性と言ったら最悪で、ケース側のねじ山を電食でボロボロにしたり(ケースの合わせ面に塗るシリコンの種類によっては、それから揮発発生するガスが電食を助長するものもあります)、運良く電食を起こさない場合でも繰り返し応力でねじ山とボルトが齧りついたりしやすいです。
 
綺麗で調子のいいエンジンを作ろうと思って使ったステンレスボルトが、性能を発揮しないばかりか、kランクケースの母材そのものを痛める結果になっていたりするわけです。
 
さて、締結力が発揮されていないケースは合わせ面からオイルリークする場合があるかも知れません。
これを直そうと再度ケースを開ける作業中、ケース側の雌ネジが一緒に引き抜けたり焼き付いているボルトが折れ込んだりと、想像したく無い結果を生む可能性もあります。
 
 
こちらは横方向のカバー類に使われているステンレスボルト。
イメージ 5
 
カバーボルトは面積あたりのボルト数が多い為に1本あたりにかかる負荷も少ないので、ねじ山部に齧り止め用のスレッドグリス等を塗布して必要以上のトルクをかけなければまあ使えない事は無いです。
 
ただ、以前にも書いた通り、ネジの頭の見えている部分が変色したり錆びたりしないという事以外には特にメリットはありません。
リスク承知のドレスアップという考え方で使う事になりますね。

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ステンレスについて

ステンレスと言ってもそれそのものは鉄ベースの合金の総称で、実際のところ配合によって様々な種類や特性があるのですが、ここで述べるのはその中でも一般的で最も身近なオーステナイト系 SUS304と言うステンレス合金についてです。
 
304は価格も安く、一般的に入手が容易なステンレスボルトと言ったら90パーセント以上がこの素材だと思って差し支えないです。
 
さてこの素材には以下の様な特性があります。
①耐食性が高い。(それそのものは錆び難い)
②磁性が低い(磁石にはほとんどくっつかない)。電気抵抗が非常に高い。(導電性が低い)
③熱伝導性が極端に低い
④変形させて加工するとその部分が局部的に硬度が上がる
⑤素材そのものの固さは低く、伸び易く割れにくい
⑥焼き入れによって硬度を上げにくい
⑦熱や振動で齧り易い
⑧アルミ素材に対しては電食を起こし、相手側素材を腐食させ易い
 
①はオートバイ含む車両に使うのであれば唯一のメリットです。但し他の部分に触れていないボルトなら露出している部分に関してだけ。
⑧にあるとおり、エンジンケース他のアルミパーツに対しての相性がとことん悪く、長年抜かずにおくと噛り付いて全く抜けなくなるか、周囲のねじ山もろともボロボロになって抜けるかのどちらかです。
 
これはフォークのボトムケースにフロントフェンダーを装着するのに使ったステンレスのボタンキャップボルト。
廻そうとして途中で齧り付いて全く廻らなくなりました。
イメージ 1
 
鉄のボルトであればここまで廻れば何とか普通に抜けてくるのですが、ステンレスボルトの場合ねじ山が痛んだりすると分子レベルで一体化してこでも廻りませんので、ボルトの頭を切断してフェンダーを外しました。
(ちょっと見づらいかも知れませんが、奥側のねじ山もボルトは抜けはしましたが電食起こして結構痛んでいます)
 
さて、ボルトを揉み取るにも塗装されたボトムケースをフライス盤に固定するのは非常に難儀な為、万力で固定してハンドドリルを使うのですが、③の熱伝導性の極端な悪さ故に刃先に熱が集中する上に一気に削らないと素材の粘り故容易ではありません。
どれぐらい熱伝導性が悪いかと言えば、ステンレスボルトをグラインダーに当てると削れている部分は真っ赤になるもののそこから4cmも離れたところを摘んでいても全く熱くは感じません。
これが一般的な鉄ボルトだと普通に火傷するか、熱くて持ってられません。
とにかくそれぐらい熱の伝わりが悪いので、ヤワな刃物はあっという間に駄目になります。
 
ステンレスを旋盤で削って加工する場合は、刃物は耐熱性の高い専用品を使い、切削油をかけて連続的に冷却しながら削ったりするぐらいです。
 
当然ハンドドリルではその様な加工環境は望めません。
結局鉄ボルトの数倍の時間をかけて下穴を掘り、ヘリサートで修理しました。
ヘリサートのコイルもステンレスですが、これは304系と違い鋼に近いものです。磁石にもくっつきます。
イメージ 2
 
齧り付いた場所は1箇所のみでしたが、もう一方の雌ネジも電食でかなり痛んでいました為、同時修理です。
イメージ 3
 
これが取り外しの出来るフロントフォークのボトムケースだったのでまだマシですが、シリンダーヘッドのエキゾーストスタッドだったりしたら憂鬱になります。
 
ただでさえ熱での張り付きを起こし易いSUS304。同種金属で作ったナットですらいとも簡単に焼き付きます。
鉄なら多少錆びてもねじ山が痛んでいても外せますが、304の場合は僅かなねじ山の痛みも致命傷になります。
 
ちなみに当社でのオーバーホール時にステンエキゾーストスタッドを持ち込まれても、上記の内容を説明の上で使用はお断りさせていただいています。
トラブルを起こしてそれ見たことかと知らん振りは出来ませんし、だからといって自分が踏まなきゃならない地雷を自分で埋めるのもご勘弁いただきたいからです。
 
又、キャリパーの固定やエンジンマウント部に使うのはどうなのかと問われる事もありますが、10mm程度の太さがあれば容易な事では千切れたりはしませんので、まあ好き好きかなと。
但し、特にキャリパーはマウント剛性も大事ですし、何よりサポートやキャリパー側のねじ山の電食には注意が必要です。特にジュラルミンのサポートにネジロックを使ってねじ山がボロボロになっているものは結構見ます。
 
最近のメーカー車で、一部キャリパーマウントのボルトにステン系の中空ボルトを使っていたりするものもありますが、ちなみにあれは304ではありません。
 
以上の様にボルトとしてバイクに使うと良くは無さげな304ですが、ブラケットやステーを曲げて製作するには向いています。
④の通り、加工変形させるとその部分の強度は上がる特性があるゆえです。
この特性はアルミとは真逆のものですね。
当社で使っているこの曲げステー、同一形状のものをアルミで作ると3倍の厚さがあっても振動で折り目から割れる場合がありますが、304で作ると厚さ1mmそこそこでも折れ目部分が硬化して強度が上がっている為、長年の使用にもびくともしません。
イメージ 4
 

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パッキン変えても治らない!!

これはZ1000Mk2以降Z1000Jの時代の角型タンクキャップ。
古くなると結構キーシリンダー廻りやタンク開口部からガソリンを漏らすので結構悩むオーナーは多いです。
イメージ 1
 
ちょっと分解。
タンク開口部のパッキンの他にスライドする部分にシールが入っているのがわかりますでしょうか?
イメージ 2
イメージ 4
 
 こっちのパッキンは部品で入手も可能ですが。
イメージ 3
 
このシールは設定がありません。もちろん長年使えば当然の事ガソリンによる硬化収縮を起こしていますのでここからガソリンが抜けてきます。
メインパッキン交換しても治らないわけです。
イメージ 5
更に分解。
左側ボディの座面にOリングと、キーシリンダー内部にもオイルシールがあります。
これらも硬化するとキー穴からガスが出て来る様になります。
イメージ 6
 
 
経験上、Zの角型タンクキャップについて言えば、ガソリンが漏れ始めたら丸ごと交換しない限りまず治らないと思ったほうがいいです。
 
 
こっちは当社でも販売している純正ボディ流用のリークレスタンクキャップ。
イメージ 7
 
当事のものと異なり、スライド部分にオイルシールは入らない構造でメインパッキンと一体化しています。
キーシリンダー側はシリコン系のダイヤフラムにガスケット、キーシリンダー側のオイルシールには直接ガソリンが当たり難い構造になっています。
正しく装着すると、タンクを裏返しでもしない限りガソリンはまず漏れて来ません。安心して満タンに出来ます。
メインパッキン設定はありませんが、昔に装着したものが10年経っても滲んでいませんので相当な耐久性がありそうです。
それでも漏れ始めたら丸ごと交換した方が間違いないので、余裕のある人は将来に向けて予備を確保する事を考えた方が良いかも知れません。
 
 

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”S1を公道で走らせる” ご協力下さい

詳しくは連載企画中の今月のバイカーズステーション(以下BS誌)をご覧いただくとして。
 
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先日の記事にもさせていただいた通り、当社にBS誌にて連載企画中のS1が入庫いたしております。
 
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市販レーサーとしてカワサキから販売されたのがたったの30台前後という希少なマシンですが、これを公道で乗って楽しもうという、その過程を製作記を含めて記事にしていくという贅沢な企画です。
 
いくらレーサーとは言ってもどれだけ少ない数かと言えば、ホンダやヤマハの市販レーサー”RS”とか”TZ"の販売台数を考えれば、(しかも実質1年しか売ってない)これはもう、試作車かワークス専用のレーサーのレベルです。
 
S1としての細かなところの個人的な考察や紹介は別途述べるとして、公道を走ろうとするのであれば保安部品が必要になるのですが、BS誌佐藤編集長が持ち込んだS1、当然の事ながら灯火類含むどうしてもS1である為に必要な細かな部品が結構足らないので、許可を得た上でこのブログを読んでいただいている読者の方にも調達のご協力をお願いしたいと思います。
 
さて、何が足らんかと言えばヘッドランプ廻りやアッパーカウルの小物類。
レギュレーションでノーマルっぽい概観を保つことなどと言う指定はあったものの、STD状態では公道を走ることも夜間の走行も一切考えられてはいない車両ですので、ヘッドランプのボディはあったもののリムやレンズはありません。
アッパーカウルを装着する為の細かなステーやウインドシールドとカウル本体の間に入る板状のゴムモールも無し
テールレンズは着いてはいるものの側だけで中身は無し。
 
ヘッドランプボディにアッパーカウルはおそらくタイラップで括ってレースに出たのではないかなお思える程に穴だらけです。
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当然ハンドルのスイッチ類やミラーも無し。
 
これらの不足パーツ、14〜15年前まではほぼ全部と言っても良い程純正で入手が出来ていたのですが、現在ではそのことごとくが欠品でしかも入手が困難となっています。
 
まあ、こだわりを捨てれば例えばハンドルスイッチなんかは元々S1はハイスロが付いていたので純正のZ1000Rの右側のものは使えませんから最近のものを流用するものありですが、角型の純正ヘッドランプやアッパーカウル、テールランプなんかはZ1000R系のデザインから外れるわけにはいかんでしょう。
 
ウインカーなんかはリア側に純正に準じるマウントが無いので、角型の汎用を使用することにはなりそうですが。
特にヘッドランプのボディや黒い外リムなんかは重要です。
機能面だけなら丸い汎用ライトにしてしまえばOKですが、それではS1の雰囲気にはなりません。
 
さて、これらの”はずせない”希少な絶版パーツをお持ちの人で、
”S1を走らせる為なら譲ってもいいよ”
とおっしゃる奇特な方がいらっしゃったら有償無償に関係なく当方竹部までお声をおかけ下さいませ。
 
30年も前のレーサーを、動かすだけでなく公道で走らせようという贅沢な大人の遊びに参加してみませんか?
 
ご連絡は 
pamslabo@yahoo.co.jp    まで。

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