アラバマ物語
![]() 『アラバマ物語』 1962年
小さな町で弁護士をしているアティカス(グレゴリー・ペック)は、息子のジェムと娘のスカウト、黒人のメイドの4人で暮らしていた。
そんなある日、農家ボブの娘が暴行され、黒人青年のトムを訴えているという。
しかし、トムはその罪を否認しており、彼の弁護人としてアティカスが指名された。
町の人たちは黒人を弁護することに対して否定的で、アティカスを非難した。
そして裁判の当日、トムを救うためアティカスは熱のこもった弁護を行うが、陪審員の判断はトムに対する有罪だった。
トムはひどく落ち込み、手錠をされ会場を後にした。
アティカスには控訴審で判決を逆転させる自信があったが、トムはその後逃走を図り射殺されてしまう。
それから何日か経ったある日、スカウトの学校で学芸会が行われた。
学芸会が終わり、ジェムとスカウトは帰宅途中、何者かに襲われジェムは腕を骨折する。
その犯人はボブで、この間の裁判でのアティカスに対する仕返しだった。
だが誰かが持っていたナイフでボブの胸を刺し殺してしまう。
その助けてくれた人物は近くに住むブーという内気な青年だった。
ブーの取った行動は明らかに正当防衛であり、あまり世間に知れるべき内容ではないという判断から、
ボブの自殺という結果となった。
それから、アティカス家はそれまで通りの穏やかな日々を過ごすのだった。
スカウトが学校で、父親であるアティカスが黒人を弁護していることでケンカをして帰って来たシーンで、
アティカスに対して「なぜ黒人を弁護するの?」と聞きます。
その後のアティカスの返答がとても印象に残っています。
「しなければ、誇りを持てなくなる。それが最大の理由だ。
お前たちに説教することもできなくなる。」
なんて優しく、素晴らしい父親なんでしょう。
普通の親なら、幼い娘に対してこんなに真っ直ぐに対等に話をしてあげられるでしょうか?
理想の父親像ですね。
グレゴリー・ペックのそういう役柄がとても似合っていました。
黒人トムは本当に罪を犯したのか?黒人と白人では平等ではないのか?
そんな彼らが法廷で争った時に交わされる真実すら黒人と白人では平等ではないのか?
「法廷ではすべての人が平等だとされていますが、
私は法廷と陪審制が完全と信じる理想家ではない。
私には法廷は生きた現実です。」
そう言う父親の姿を見て、ジェムとスカウトはどういう気持ちだったでしょうか。
きっと彼らには、自分の父親が誇らしかったと思います。
いくらトムを無罪に出来なかったとしても、アティカスはヒーローだったのです。
トムが亡くなったことを報告しにトムの家を訪れた時、ボブがやって来てアティカスの顔に唾を吐きかけます。
しかしアティカスは何も言わずにボブを見つめ、ハンカチで顔を拭い、車に乗り込み帰って行きます。
その時の感情を表に出さず、自分の中で押し殺している様子が、まさに大人の行動でした。
あのような行動を取れるのが、本当の大人なのでしょう。
そしてこの映画のオープニングシーンは素晴らしいです。
ジェムのおもちゃ箱を開けるシーンから始まるのですが、その中に詰まっている品物が後々誰からのものであるのか分かります。
懐中時計やえんぴつ、ビー玉、ホイッスル。そういうものがただ映し出されるだけなのに、これから始まる物語を予感させているようで、とても素敵でした。 |
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