衝撃のねこみみブログ

元アニ2書き手。現在はライダーNに居候しながら放浪中。ロワ中心で雑記などを書いていったり

小説:東方二次創作

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東方夏物語(3)

博麗霊夢編(1)


前回までのあらすじ:
「幻想郷の支配を企む悪の軍団、紅魔館。その首領であるレミリア・スカーレットの居所を突き止めた霊夢は単身決戦に挑むことを決意する。レミリアの忠実なる従者、十六夜を死闘の末打ち破った霊夢は、分かりあうことのできなかった悲しみを乗り越え館へと乗り込むが・・・・・・」


ついに突入を果たした悪魔の本拠地、紅魔還の守りは驚く程に手薄だった。
いや、手薄などと呼べるしろものではない。何しろ配下の妖怪はおろか妖精メイドの姿すら一人も見えないのだ。
かなりの距離を進んだが、攻撃はおろか物音一つしない。もぬけの空と化した館は、その豪奢な作りと相まって、飛行する霊夢に不気味な警戒を強いる。
随分前から『罠』という言葉が思い浮かんでいるが、だからと言って立ち止まるわけにはいかない。

「ここが最深部ねっ!」

結局、一切の妨害もなく霊夢は中心部にたどり着いた。館全体に共通するコウモリをモチーフにした悪趣味な意匠が、一際強く、また大きく施された扉を見つけると同時に飛び込む。
小柄な霊夢の数倍はあろうかという扉は、触れるのもいやとばかりに投げつけられた霊札によって粉みじんに打ち砕かれた。

もうもうと舞い上がる粉塵に構わず、霊夢は更に数枚の札を、いつでも投げられるよう構えながら、慎重に室内に足を踏み入れる。やはり、迎撃の類はない。
油断させて、逃げられない場所までおびき寄せてから一斉攻撃を始める。そういったシナリオを考えるが、それにしてもここまで何の気配も感じられないというのは不自然すぎる。

霊夢が立ち入った部屋はどうやら指令室であったらしい。館の主人を反映して血のように深い赤一色でまとめられた部屋は、扉程大げさではないものの、それなりの広さがある。
簡単な会議室も兼ねているのか、中心には円卓が設けられていた。やたらトゲトゲした使い難そうなデザインなのは、館の主人の性格を反映してのものだろう。

行き過ぎた警戒をしないように、それでいて油断もしないように注意しながら、霊夢は何とはなしにその卓に手を置く。
ふと見ると、壁際には幻想郷全体の地図が垂れ下げられてあった。ここから幻想郷を支配したつもりになっていたとでも言うのだろうか。
カードリーディング方式のコンピュータが立てる不可思議な音だけが、霊夢の不安を煽るように響いていた。

「どうなってるの・・・・・・?」

訝しげにつぶやいた。疑心暗鬼を誘う作戦かもしれないと、敢えて鼓舞するように顔を上げる。
視線の先にあるのはこれまで嫌という程目にしてきた紅魔館エンブレムだ。
忌々しいその紋章を睨みつける。と、霊夢が己に気付くのを待っていたかのように、けたたましい音と共に紋章が激しく光りだした。

『ククク、ようこそ博麗霊夢。我が紅魔館の居心地はいかがかしら?』
「その声、レミリアねっ!」

紋章の明滅に併せて響く高圧的な声は、間違いない、霊夢の仇敵レミリア・スカーレットのものだ。
悪魔という異名そのままの冷酷さが滲む声は、機会を通してさえ、並の人間あれば背筋を凍らせるであろう。
しかし、それに正面から対峙してなお、霊夢は怯むことなく御幣串を突きつける。

「もう逃げ場はないわよ!大人しく出てきなさい!」
『逃げ場・・・・・・?ふふ、何のことを言ってるのかしら』

追いつめられてなお、レミリアの威厳は崩れることはない。

「いい加減、観念しろって言ってるのよっ!」
『何を勘違いしてるのかしら。あなたのいるそこは、幻想郷に無数に存在する我々紅魔館の"別館"に過ぎないと言うのに』

霊夢の顔が驚愕に染まった。無人の館が脳内にフラッシュバックし、同時に自分がはめられたことを悟る。

『あなたが必死になって倒した咲夜はおとり……。残念だったわね、霊夢?』
「くっ……!」

自分の迂闊さに言葉もない。レミリアが、腹心中の腹心である咲夜を、まさか切り捨てるような真似をするとは思っても見なかったのだ。
その思いこみこそが、正に敵の術中であったと言うのに。
嘲るような声は続く。今度は先ほどまでと違い、勝ち誇ったような色合いがはっきりと感じられた。

『その館はあなたに差し上げるわ。もっとも、あと30分もすれば爆発で粉々になっちゃうでしょうけどねぇ』
「念のいったことね、でも……っと!」

レミリアの戯言に付き合う気もなく、脱出するべく駆け出そうとした霊夢は、とっさに走った殺気に、反射的にその場から飛びのいた。
一瞬遅れて、霊夢のいた場所に投擲用のナイフが三本、計ったような等感覚で突き刺さる。

「これは……!」
『ああ、そうそう。いい忘れてたわ』

見覚えがある、というより、ついさっき散々に見せつけられたナイフに、霊夢は電流が流れたような勢いで投擲者を見る。頭上のレミリアの声が、たまらなくうっとおしい。
投擲者は細身で、動き安そうな、それでいて細部まできちんと手入れをされた、白いエプロンドレスに身を包んでいた。

「さく、や・・・・・・?」
『そう。私の大好きな咲夜を、特別にあなたに付けてあげるわ。最期の時まで退屈せずに済むように、ね』

レミリアの言葉通り、その人物はついさっき霊夢が倒したはずの、十六夜咲夜のように見えた。
だが、少なくとも霊夢の知っている咲夜はこんな灰色がかった土気色ではなく、もっと白い清潔な肌をしていた。視線は常に射抜くような鋭さで前を向いていたし、間違っても、顔が髪で隠れるような安定を欠いた姿勢をとることもなかった。
声は理知的で澄んでいて、決してこのように、地の底から蠢く幽鬼のような、聞くに耐えないものではない。

「ウゴゴ・・・・・・お嬢様ノテキ、コロス・・・・・・」
「あんっ、た!自分の従者に、一体何をしたの!!」
『別に。私はただパチェに、こういうことができないかしらって聞いただけよ。後のことは全部、あの子がやってくれたわ』

おもしろいでしょうアンデッド咲夜と名付けるわ。
笑い声さえ含んだその一言に、霊夢は自分の頭の血管が何本か切れる音が聞こえたような気がした。

「ふざけんじゃないわよ!!あんたこの子がどんだけ自分のために尽くしてくれたと思ってんの!?
 最後の一瞬まで、咲夜はあんたのことだけを考えて・・・・・・!」
『あら、死んでも私に仕えることができるのよ?十分過ぎる幸せじゃない。
 ほんと、使えない人間にはもったいないくらい』

その後の発せられた、別れを告げるレミリアの言葉は、更に何事か怒鳴りつけた霊夢の声にかき消されて聞こえなかった。
監視者のいなくなった館に、霊夢と、もう一人の死人だけが残される。

「ウゴゴ・・・・・・お嬢様ノテキ、コロス・・・・・・」
「死んでも休ませてもらえないなんて、あんたも大概ついてないわよね・・・・・・!」

聞こえるはずもないと知りながら、ゆらゆらとした足取りでにじりよってくる咲夜に冷や汗とともに告げる。
体は朽ちる寸前でも、戦闘力が落ちているということはないだろう。むしろ、強化されていると考えた方が自然だ。
まともに戦っても、無事切り抜けられるかどうかは分からない。
いや、しかし、今は、それ以上に。

(また戦うしかないの・・・・・・?こんな、優しくて、哀れな子と・・・・・・)

刻一刻と迫るタイムリミットに押しつぶされるように、霊夢の足は無意識に後ずさっていた。


(以下次号)

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東方夏物語(2)

守矢編(1)


夢を見ていたような気がする。
内容については定かではない。睡眠とも呼べないまどろみの中で映像は勝手気ままに生み出され、その端から忘れられ消えていく。
そのときどきには何かしら感じるものもあったかも知れないが、覚えていないのでは結局何も感じていないのと同じことである。
そもそも、夢の中で得た感動というのは、それが既に脳の作り出したまやかしなのだ。
自作自演の感傷に、価値はない。
頬をつつく、やわらかな感触で目を覚ました。

「・・・・・・よう」

東風谷早苗は、倦怠感に満ちた声で、目前の少女に声をかけた。まだ半分眠りの中にいる。
丁寧に手入れされた前髪をかきあげる仕草と併せて、およそ客を出迎える態度ではなかった。

もっとも、何をどうしたところで参拝客が訪れるはずもないのだが。
心地よい澱みの中で考えていたことは、もうすっかり頭から抜け落ちていた。

「妖精か・・・・・・何か用か」

目元を乱暴な手つきでこすりながら聞くと、少女は怯えたようにびくりと一歩後ずさった。
青を基調にしたワンピースと氷でできた六枚の羽。子供っぽい可愛らしさと勝ち気さを併せ持少女は、確か麓の妖精だったはずだ。
湖に澄む氷の精、チルノとか言ったか。ぼんやりした思考のまま、早苗は居眠る自分にいたずらをしかけていた少女についてのあれこれを思い出す。

その間、少女は射竦められたように、口を「お」の形に固めたまま身じろぎもしなかった。いや、小刻みに震えてはいたが。

「ふーんだ!あんた何か知らない!あたいってば最強なんだから!」

手に持った小枝が早苗を現実に引き戻した物の正体らしい、そんなどうでもいいことに気付くのと、少女が捨てセリフを残して飛び去って行ったのは同時だった。
えらくテンパっていたが、大丈夫だろうか。早苗が暮らす妖怪の山の頂から麓までは、それなりに距離がある上、危険も多い。
というか、何をあんなに怯えていたのだろう。それを言うならそもそも何がしたかったのかも分からないが。

早苗は目つきが怖すぎ。もっと愛想良くしないとダメだよ。

何となく、昔諏訪子様に言われたことを思い出した。
そのときは、何と返したのだったか。詳しく覚えてないが、多分、笑っていれば信仰が得られるんですかだったらどうしていつもへらへらしてばかりの神様が二人もいるうちは信仰が得られないのでしょう、みたいなことを言ったのだ。
その後泣かれたことはよく覚えている。
土着神の最高位たる洩矢の神は、ぴぎゃ〜と漫画のような声で泣く。

まぁ、いつものことである。
早苗は、うん、と大きく伸びをして立ち上がった。
転がっていた竹箒を手に取り、すたすたと石畳を歩く。掃除の途中だったのだ。
石畳の端、つまり境内の入り口にたどり着く。一息つくのを見計らったように、昨日より涼しさを増した風が吹き付けてきた。
踊る髪を押さえながら、ぽつりと呟く。

「・・・・・・居眠りしちまった」

境内からは、麓より一足先に秋めく、妖怪の山が見下ろせた。

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東方夏物語(1)

輝夜編(1)


残暑の中に秋の風が香り初めた、晩夏の永遠亭。
昼なお暗い竹林の中に、ひっそりと建つ和風の屋敷を、柔らかさを増した日光がゆるゆると暖めている。
月からの追ってを恐れ、人目を避けるように陰へ陰へと身を潜ませていた屋敷も、今では、すっかり緊張を解いたかのようなのどかな装いを見せていた。
そんな、昼下がり。

「ほぉ・・・・・・里に降りたいと、仰られますか」
「えぇ、その通りよ。永琳」

従者の問いに、蓬莱山輝夜は真剣な面もちで答えた。少女特有のあどけなさが残る整った顔が、固唾を飲む、という表現そのままに強く結ばれている。

「べ、別に構わないでしょう」

話を持ってきたのは、いつものように里に薬を卸しに行っていたイナバだった。
ちょうど、少し遅めの夏祭りの当日を迎え、人里全体が浮かれ気分になっていた日である。普段は薬を売ってさっさと帰るだけのイナバも、いくつか手土産を持たされていた。
即ち、イベント参加のお誘いである。人里とは没交渉を貫いてきた永遠亭だが、それは長らく続いた隠遁生活の後遺症のようなもので、言ってしまえば惰性である。

屋敷の住人がそもそも余り外出したがらない性格なのもあるが、輝夜自身はどちらかと言えば活動的なので、こういう話には心動かされるものがある。
何でも、今年の祭りはメインイベントに大規模な肝試しが予定されているそうな。

「子供ですか」
「う、うるさいわね!ただでさえ退屈なんだからちょっと面白そうとか思ったっていいじゃない!」

冷ややかな視線を送る従者、幻想郷きっての天才、八意永琳に輝夜はかわいらしいイラストが描かれたお知らせのちらしを突きつけた。
不死の蓬莱人となってから何百年という年月を過ごした二人に年齢など意味のない話だが、一見して子供に見える少女が妙齢の女性に食ってかかるという構図は、それだけ見ればちょっとした親子喧嘩のようにも思える。

「別に悪いとは言ってません」

よし、と輝夜は心中で拳を固めた。
手応えは悪くない。主従関係から言えば別に自分のすることに一々永琳の許可を取る必要はないのだが、いつの頃からかそれこそ親子のように、一部の関係が逆転していた。
舐められてるとかそういうのではないと思う。たぶん。

ともかくこれでで窮屈な屋敷から暫く解放される。まさか、さすがに人里くらいで供をつけるだのなんだのという話にはなるまい。永琳だってこういう催しに積極的に参加する方ではない。
心置きなく羽根を伸ばせる。
それなりに暇を持て余していた少女が喜びに口を歪ませかけたのを、続けて放たれた永琳の一言が止めた。

「ですが、姫のお召し物はみんな生乾きですが」
「え」

どういうことなの。

「ちょ、ちょっと!他所に着ていける服がないの!?一着も?」
「その通りです」

冷静を通り越して、実はあんまりこっちのことに興味がないんじゃないかさえと思える永琳の言葉に、輝夜は頭を抱えたくなった。
あれ、確か春頃に、着たきりよりは同じ服一杯作ろうとか言い出したのは誰だ。ああ、私だった。
調子に乗って作った六十着ものスカートが風にたなびく様子は中中に壮観だったが、その後すぐ後悔した。
今思い出してもバカ見たい、ってそれはいい。とにかく服は沢山あるのだ。
それが、着れるのが一着もないとはどういうことか。

「着れるのが一着もないってどういうことなの!」

思ったままを口にしてしまった。

「いえ、まさか姫様が外出なさるとは夢にも思わなかったので、まとめ洗いしちゃってもいいかな、と」
「だからって全部はないでしょう」
「それに姫様、今年の夏はジンベエで通してらっしゃったので、てっきりこれからはそちらで行くのかと」
「う・・・・・・」

確かに輝夜はここ最近ずっとジンベエスタイルだ。今着ているのも、昨日着ていたのと同じ花柄の上下である。
いや、一度着てみたらこれが結構心地良かったのだ。どちらかと言えば男物のファッションであることは知ってたけど、屋敷の中だけで過ごすなら別に問題ないし。調子に乗って二十着くらい作っちゃったし。
色を合わせた特注の扇子がおしゃれのポイントなのだ。いや、それはどうでもいい。
とにかく、私は悪くない。しかし、さすがに家着全開で人里に赴くわけにはいかない。

「生乾きの服ならすぐにご用意できますよ。べちゃべちゃですが」
「くっ」

呻くような声とともに輝夜の形の良い眉が歪んだ。目の上で整えられた艶やかな黒髪が苦しむように揺れる。
永琳の顔は対照的にそよとも揺るがない。鉄面皮に表情がなさすぎる。ぶん殴りたいけど後が怖い。

「どうされます?」

里には出たい。どうしても。
ならば、元より選択肢などありはしないのだ。

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企画など初めてみる。

あまり執筆から遠ざかっても筆が鈍るので、連載を初めてみるテスト。
東方二次創作です。

あらすじ的なプロローグ
「変わることなく平和な幻想郷。夏祭りを迎えざわめきだす人里に呼応するように、妖怪も、幽霊も、兎たちも浮かれ始める。今年の目玉は人里を挙げて行われる肝試し大会。脅す側も脅される側も競うように準備を整えていた――」

肩の力を抜いて、ゆるゆる書いていきます。


※注意※
作者は日々浴びるようにニコニコ動画の東方手描き動画を見るくらいニコ東方に染まっているので、当然東方二次創作注意です。
・この作品は東方Projectの二次創作です。
・深刻だったりそうでなかったりするキャラ崩壊を含みます。
・厭な予感がした人はブラウザの「戻る」を押しましょう。

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開設日: 2008/10/27(月)


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