PubliusCrepusius

梅に従い桜になびく その日その日の風次第

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ベルリン 天使の詩

 いつだってしんどいほうを選んで生きてきた。
そう言った友人は大学を次席で卒業後、ある会社の社長に乞われて社長秘書をしている。
そんな彼女が大学院を受けると報告にきたのは数日前だった。
 楽な選択をしたのではないかと悩んでいた。
大学院への進学を語る初めに彼女はそんなことを言った。本当にいつだって悩んでいる素振りすら見せない人だ。
 学ぶことへの意欲を失い、夢を失い、毎日ふらふらと霧の中に漂っていた私には、目のしたに隈を作ってテスト勉強に励む彼女が時に滑稽にすら見えたものだ。
 勇ましいものは、いつでも滑稽だ。
そう言ったのは小林秀雄だったか。滑稽であれ、「イケテない」ことであれ、己の信じたものには一点の曇りもなく殉じてきた彼女の姿が今初めて勇敢に見える。
 貴方の出す本には私の売る紙を使え。
夢を追う友人を誇りに思うと同時に少しの羨望を混ぜて、私たちはそんな夢を語り合った。

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