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2005年9月14日

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私立大学 四九三校の「極秘データ」

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私立大学 四九三校の「極秘データ」


 文部科学省の私学補助金について。憲法八九条に明らかに抵触するのに、日本私立学校振興・共済事業団を通じて私大にバラまかれてきた。増え続けるこの補助金、文科省の私学コントロールの武器となり、少子化に喘ぐ私学にとっては命綱だが、今や「無用」の私大へ垂れ流しという欺瞞の塊。ここでも解釈改憲でしのいできた戦後日本の病巣が浮かぶ。
 正式には「私立大学等経常費補助金」という。行革の時代に逆行して、二〇〇〇年度には前年度比二・一%増の三〇二六億円余に達している。「教育」という聖域のなかで、スタートして三十年間に二十三倍に膨張した。
 最大の問題は、学生が集まらない私大にまでバラまかれていることだ。日本の私大の収入は、その八割を学生からの入学金と授業料に依存している。学生からそっぽを向かれて定員割れを起こした大学は即座に経営危機に陥る可能性が高いのである。
 それを物語る文科省の特殊法人の極秘資料を入手した。文科省の補助金交付の窓口である「私学振興事業団」が昨年十月に作成した内部資料である。二〇〇一年度入試における全国の四年生私大(四九三校)の入試状況鰲鰲入学定員と受験志願者数、実際の受験者数、合格者数、実際の入学者数、志願倍率、そして定員に対し、どれだけ入学したかを示す、学生の「充足率」をまとめ、一覧表にしている(二〇〇二年度入試の結果は近く確定)。


史上最悪の一四九校が定員割れ
 同事業団は毎年、補助金交付の資料にするため、全私大から入試状況について具体的な報告を求めてきたが、全体傾向を示すだけで、その個別データは一切公表してこなかったのである。
この資料によると、充足率が一〇〇%を切った大学、つまり定員割れとなってしまった大学は、〇一年度、史上最悪の一四九校にも達した。四三九校の三〇・二%にも当たる数字である。
 実は、定員割れの大学は九六年度にはわずか三・八%に過ぎなかったのである。それが九八年度に八%、九九年度に一九・八%、二〇〇〇年度は二八・二%、そして〇一年度は遂に三割の大台に乗ってしまった。
 定員割れワースト1は、千葉県四街道市にある愛国学園大学。短大を発展改組し、九八年に開学したばかりの同大では、一五〇人の定員(人間文化学部)に対し、わずか二割、三十人の受験者しか集まらなかった。その大半を合格させたが、充足率はたった一七・三%に過ぎなかった。
 充足率二〇%でワースト2の広島安芸女子大学(現・立志舘大学)は、広島県安芸郡坂町にある経営学部だけの単科大学。一九五人の定員に対し、受験者は五十人しか集まらず、入学者は三十九人に止まった。
 一八七三年設立の神学教育機関を起源とする東京神学大学(三鷹市大沢)は神学部だけで、全員が修士課程まで進むのが原則のユニークな大学だが、定員三十五人に入学者はわずか九人。
 これに続く神戸山手大学(神戸市中央区)、松蔭女子大学(神奈川県厚木市)も二〇%台。この二校と、充足率三〇%台の桜花学園大学(愛知県豊田市)、上野学園大学(東京都台東区)、宮崎産業経営大学(宮崎市古城町)、芦屋大学(兵庫県芦屋市)、東京家政学院筑波女子大学(茨城県つくば市)を合わせた計七校は、受験者数や入学者数を公表してこなかった。もちろん、定員割れという実態も。受験生や父母がここに掲げたリストで初めて事実を知る、という現状が果たして正常だろうか。
 これらのワースト10を含め、入学者が定員の半分に満たないという大学は実に二十二校(全体の四・五%)、八割未満にしても八十一校(一六・四%)に上っている。ひどすぎて事業団も発表できなかったのだろう。一覧表に含まれない短大の場合はさらに深刻で、四四九校中定員を満たせなかった短大が二四六校と、五四・八%に達している。ある大学の会計監査を担当する税理士は「内情を漏らしたとたん、うちの大学はつぶれかねない。破綻前の金融機関のようなものだ」と語る。
 一部には、決算書を粉飾して経営をよく見せかけたり、入学者などの数字を実際より水増しして、受験雑誌などに発表しているところもあるという。これは短大の例だが、愛知県稲沢市の愛知文教女子短大は、一昨年度と昨年度の入試で、予備校や出版社に対し、志願者数や合格者数を実数より最大約三・一倍も水増しして発表していたことが最近になって発覚した。志願者が激減したため、粉飾したのである。
 問題はそれにとどまらない。今回、本誌がこのリストと同事業団が公表している「私大補助金先一覧」を照らし合わせてみたところ、定員割れが判明した一四九校のうち一二七校に対して、二〇〇〇年度中に三九〇億円近い補助金が支出されていた。
 従来は、学部、学科単位で定員の五割を割る大学には私学補助金は下りなかったが、このリストで五割を切った大学(ワースト22位以下)にも総額十九億八六八三万余円が支出されている。定員割れが続出しているため、事業団は交付条件を緩める救済制度を創設し、バラまきを続けているのだ。
 これを多い方から挙げると、充足率四三・七%でワースト17の奈良産業大学には二億一〇九二万二千円。同四八・七%でワースト21の東亜大学が一億八七八六万三千円、ワースト8の宮崎産業経営大学に一億八五九七万一千円、ワースト6の桜花学園大学に一億四八七七万六千円、ワースト20の富士大学に一億四六五〇万三千円、ワースト13の福山平成大学に一億一〇二四万五千円という具合だ。

「違憲」を熟知していた故竹下首相
 このほか、充足率が二〇〜三〇%台の大学を拾ってみると、東京家政学院筑波女子大学(ワースト10)一億八十一万五千円、東京純心女子大学(ワースト11)九五五一万二千円、芦屋大学(ワースト9)八四八二万三千円、東京神学大学(ワースト3)八四〇五万二千円、神戸山手大学(ワースト4)六六二四万四千円、上野学園大学(ワースト7)五三二五万一千円。
 もちろん、一一七億二四三七万円の私学補助金をもらっている日大や一〇二億円余の慶応、九十二億円余の早稲田などマンモス大学の補助金に比べたら少ないが、学生一人あたりにすると決して安くはない。愛国学園大学や萩国際大学は補助金を受けていないが、これは開学が九八年度から九九年度と最近であるためで、最初から交付申請をしていないのは、ワースト2の広島安芸女子大学(立志舘大学)とワースト5の松蔭女子大学だけである。
 最初に記したが、そもそも憲法八九条には「公金その他の公の財産は(中略)公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」とある。公の支配に属しないはずの私学に公金(補助金)を支出してはならないというのだが、それが尻抜けになっていることを誰よりも熟知していたのは故竹下登元首相だった。九四年のインタビューで私学助成は「絶対憲法違反だな」と明言している。ところが、ヌエのような解釈改憲のもとで、今や大半の大学にバラまかれているのだ。
 定員割れの主因は、もちろん少子化だが、それは突然やってきたわけではない。七二年から七四年にかけて「団塊ジュニア」世代の年間出生数は二百万人を超えたが、これが二〇〇七年には約一二〇万人へとピーク時の六割に落ち込み、この時、進学率が現状の四〇%前後で推移しているとすると、大学の実質合格率は一倍を切る鰲鰲という予測は決して、目新しいものではなかったはずだ。
 ところが、買い手(大学)市場だった「大学バブル期」に、臨時定員増を文部省に認めさせ、学費と私学助成金で不動産や金融資産を溜め込んだ私大が少なくなかった。その蓄積と、最後には文科省が助けてくれるだろうという甘えの意識が、教職員のリストラや合理化、他大学との合併、魅力的な大学作りといった抜本策を遅れさせた。

金融行政の二の舞いはご免
 文科省私学助成課は「昔のように大学を作れば人が集まるという時代ではなく、今後は淘汰される。大学側にとって経営困難が予想され、学生に志願してもらうために、各大学が個性ある教育、経営努力が必要になる」と話している。だが、実際には、私大のなりふり構わぬ生き残り術ばかりが目立つのである。
 一部の大学は、学生の青田買いを始めている。教職員が高校を回り、推薦入試で志願者を集めるだけでなく、校長OBらを雇って学校訪問をさせ、入学者を獲得すればそれに見合う歩合給を払う大学もあるという。酒田短大のように、中国人留学生らを大量に入学させ、定員割れの穴埋めをしているところも少なくない。
 しかし、青田買いされた生徒の多くは、ほとんど勉強しない。そのために生徒の学力はますます低下し、入学しても講義についていけない。一方、中国人留学生の中には、不法就労のために来日する者も少なくない。一部の私大では、中国からの替え玉入学(入国)を防ぐために、職員が訪中して入学志願者のビデオまで撮っているという。
 私大は全大学生の約八割を占めるが、もはや経営者の甘えと、文科省のなし崩し的な「私学救済」は許されない。
 だが、「今の文教政策はかつての護送船団方式のように補助金をバラまきはしない。原則、定員が半分に満たない大学、負債が資産を上回る大学には補助金は交付しないことになっている。税金を効果のないところに拠出するのはおかしいと考えている」と文科省は言う。「選択」引用

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