テストライダーという仕事

長らく乗っていなかったら空気圧の点検を(^^)

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空気圧の真実

さて、浜ちゃんさんとbh9anh10wさんからさらに質問がありましたので、お答えいたします(^^)。bh9anh10wさんの質問の仕方がぐっときたので、タイトルも落合信彦ふうにしてみました(笑) 質問は以下のとおりです。

浜ちゃんさん「どのバイクにも指定タイヤサイズと空気圧がありますよね。タイヤサイズは指定どおりと考えてですね、友達なんかは、峠では標準より空気圧を落とす、その方がタイヤが全て使える。と言います。確かに、タイヤの空気圧が足らない分角が潰れるような気がします。実際、峠やサーキットなどを走る時は標準の空気圧か少し空気圧を下げた方が良いのかどっちが正しいのでしょうか」

Bh9anh10wさん「大排気量車の指定通気圧は大抵冷間時で2.9barです。これは時速300kmでギャップに突っ込んでも大丈夫なようにするための空気圧だと聞いたことがあります。一方、サーキットではタイヤの発熱量が大きく、空気圧が高まるため冷間時で2.1bar程度、街乗りでは2.5barがいいとか言います。空気圧についての本当のことを教えてください」


さて。。。皆さん!いまだに多くの人が「勘違い」していると言ってもいいほどの、この空気圧に関する事実があります。それは・・・

「サーキット走行で空気圧を下げるのは、発熱で空気圧が高くなるから、事前に低めにしておく」

というものなのですが、これはまったく意味のないことと言いきってもいいです。口裂け女が存在するというのと同じぐらい怪しいです(笑)

しかし、いまだにこの手の話がまかり通っており、雑誌の記事でも見かけたりするので驚きです。ついちょっと前の某オートバイ雑誌でも似たような記事があったのを見て愕然としましたが、いまだにきちんと理解されていないのが実情です。それでは真実はどうなのでしょうか。


まずは走行条件を3つに分けたいと思います。

1.一般道走行(峠を含む)
2.サーキット走行(走行会など)
3.レース(選手権)

1〜2の走行条件についてはオートバイメーカーの指定空気圧で走行するのが適切です。

しかし、3などの「マジレース」に関してはオートバイメーカーの指定空気圧より低くなる、タイヤメーカー推奨の指定空気圧も「あり」となります。

なぜなのでしょうか。

サーキット走行会では、コースイン直後からいきなり「全開走行」というのはありえませんし、してはいけないことです。気分的には「ああ、サーキット走行って楽しいな♪」てな感じで始まり、徐々に目を吊り上げてペースアップするのが普通です(笑)。それに比べて莫大なお金をかけているプロダクションレースなどでは、ワークスライダーなどはそれこそ一周目から「うおりゃー!どけーどけー!」と叫びながらコーナーに飛び込みます(笑)。

以前の記事で何度も書きましたが、今のタイヤのグリップはある程度温まることでグリップ力を発揮するのですが、当然プロダクションレース対応のタイヤなどはタイヤウオーマーを使用することを前提に設計されています。冷えたタイヤでいきなり全開ではGPライダーでも転倒します。

このように、1周目から全開でコンマ一秒を争う世界では、空気圧を下げることによってグリップを促進させるという考え方もありなのです。これは2つの理由によるものです。

まず、当然ながら空気圧が下がることでケーシングはたわむのですが、このたわみがタイヤが温まっていない状態でのグリップ力向上にある程度寄与するのです。これは接地面が増えることを意味しています。

そして2点目は、空気圧が低いことによりタイヤがたわみ、タイヤがもまれ、タイヤが暖かくなるのを促進すると言うわけなのです。

お分かりになられましたでしょうか。

ミシュランを例に話をしますが、ミシュランは最高峰のパイロット・レースとその次のレベルのパイロット・パワーの設計においても、明確な差を打ち出しております。それはパイロット・レースはあくまでも「レースのみ」としており、公道では走ることを一切想定していません。極端なことを言えば、「1回のレースで使い捨て」を前提に設計されており、そのケーシングの構成もパイロット・パワーと全く違うものです。そのためパイロット・パワーと言えども、サーキット走行ではオートバイメーカーの指定空気圧で走行することを逆に推奨しているのです。レース用のタイヤの推奨空気圧がオートバイメーカー推奨より低い空気圧なのは、特殊な条件化での使用ということを前提にしていますので、その辺を理解していただきたいと思います。

タイヤメーカーの推奨空気圧についてですが、これに絶対しなければならないということではありません。当然ながら、筑波サーキットで走るのと、鈴鹿サーキットで走るのではタイヤにかかる負担も違います。夏場に走るのか、冬場に走るのかでも空気圧の上昇には大きな違いが出ますし、使用するオートバイでも当然ながらその内圧の上がり方、タイヤの温まり方には差異が出るのは当然です。推奨と書かれていますが、「目安」というのが正しいでしょう。コンマ一秒を争うレースに参加している人は、使用するタイヤメーカーと相談するのもお勧めです。メーカーはいろいろとデーターを持っていますので、使用するオートバイ、季節、サーキットなどに合わせたアドバイスをしてくれますので、ドンドン各メーカーのサービスマンを捕まえて(レースが行われているサーキットには必ずいます)根堀歯堀聞いてみましょう(笑)。


一つ空気圧で理解して欲しい点があります。オートバイメーカーの指定空気圧はJATMAで決められています。これはタイヤのサイズによって細かに決められているのですが、絶対的な安全性を確保するために、研究し尽くされた空気圧でもあるのです。これはどういうことか詳しく説明しましょう。

例えば、サーキット走行と言えども、時速200キロで走ったりするのはほんの一瞬といってもいいでしょう。ところが一般道では2人乗りで時速200キロ巡航もありえるのです。これはどういうことかといいますと、オートバイメーカー指定の空気圧は、そのオートバイが持つ性能のマックスの状態で長時間使用してもタイヤが耐えるようになっているということなのです。そういう意味もあって、メーカー指定の空気圧を下回っては絶対いけないのです。タイヤの設計そのものも適正空気圧で使用されることを前提になっており、低すぎる空気圧で走行した場合、最悪、タイヤの構造事態に破損を起こしてしまう可能性があるのです。

体重が軽い人が輸出車に乗ると、タイヤによっては確かにゴツゴツとした感じが強く感じたり、実際ギャップを乗り越えた際に突き上げが激しかったりしますが、空気圧を下げて対応するのは間違いであり、サスペンションで調整するのが正しい対処方法であります。プリロードを1段弱めたり、コンプレッション側を弱めたりして調整してみてください。それでも硬い時と感じる時は、タイヤそのものを他の物に交換することをお勧めします。空気圧を下げて剛性を調整するという考え方はあり得ないのです。

たった数センチ四方で文字通り命を支えているタイヤ。タイヤの性能は空気圧が全てといっても過言ではありません。常に適正な状態を保ち、最低でも1ヶ月に一度はチェックするように心がけて欲しいものです。

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