|
「ながい夜」 北村 太郎
目を見ひらいたまま
暗い水の底から浮びあがるように
ゆめからさめる
ガラス窓に
木枯しが鳴っている
また眠り、べつのゆめを
みる ふたたび目ざめ
時計をのぞく
毎晩
おなじことだ
遠いゆめと
近いゆめの記憶が重なり
すこしたつて、闇のなかで
ぼくの来し方行く末が
散らばつた骨のように白々と見えてくる
もうだれも
ぼくのセーターの匂いを
かがないであろう
夜の台所にぶらさがっている
まないたや包丁のように
ぼくの未来はあるであろう
明るい朝のあいさつは
つぶやきのように消えてしまった
無をうちくだくことばは
青いインクで書かれなかった
あしたもまた
ハンカチを忘れて家を出るであろう
力を入れて引き抜いた草が
泥のついた根ごと
机の上に置かれてあるであろう
ぼくは愛した
恐れた
ぼくは恐れるであろう
ぼくは机の上の草を見ているであろう
時計をのぞく
毛布をひきあげて
顔をかくす
腕を伸ばして両脇につけ
垂直に
暗い水の底に沈んでゆく姿勢をとる
目をつむる
<『詩集 冬の当直』より>
北村太郎(きたむら たろう、1922年11月17日 − 1992年10月26日)は、詩人。
東京生まれ。本名・松村文雄。東京大学仏文科卒。朝日新聞社勤務。戦前から『LE BAL』に参加し、1951年、田村隆一、鮎川信夫らと『荒地』を創刊、同人となる。66年、第一詩集『北村太郎詩集』を上梓、76年まで朝日東京本社で校閲部長、調査部長を歴任して退社。同年、詩集「眠りの祈り」で無限賞、83年、『犬の時代』で芸術選奨文部大臣賞、85年、『笑いの時代』で藤村記念歴程賞受賞、89年、『港の人』で読売文学賞受賞。また、英米のミステリー、サスペンスを初めとする小説などを数多く翻訳した。
|
あ!この方!北村氏は「荒地の恋」の主人公ですね?ちょっと興味がありました。
「荒地」とは同人誌の名前だったのですね・・・。学び学び・・・φ(._.)メモメモ
若かりし日、田村氏の言葉はわたしには「???」でした。
今のわたしには北村氏のことばは・・・ちょっと時間がかかるかな・・・。
「拒絶してはいないなぁ」と感じます(笑)もうすこし噛んでみて、また来ます。
あ!わたし『Yahoo!辞書かパピヨンさんか』っていうくらい、パピヨンさんにはお世話になっております。パピヨンさんは「偶然ですよ〜〜〜♪」って仰るのでしょうけれど、感謝です^^
2008/2/3(日) 午後 1:01 [ ]
Coquilleさん 田村氏、鮎川氏、それに北村氏あたりの詩はそれこそ最近読み始めたばかりなので、あなたのほうが歴史は長いわけだ。今後も彼らのグループの作品はより深く入ってみようと思っています。あぁ〜、私を辞書と同じ土俵に乗せないでくださぁ〜い!ハードルが高すぎて逃亡しないといけません(^^;
2008/2/3(日) 午後 5:21
死と眠りはやはり近い関係なのでしょうか。毎日少しずつ死にながら本物の死に近寄っていくのを感じます。
2008/2/3(日) 午後 11:24
mimiさん 死って瞬間は眠るように意識が遠のくのでしょうか?!
もちろんこんなことは誰も知らないわけですが。死後の世界はあるのかなぁ。私もここ数年はそんなことを考えることが多いです。
2008/2/3(日) 午後 11:49
まだまだ・・・私には読みこなせないです〜〜
たまに布団の中で手を組み胸の上に・・・静かな闇で・・・このまま目覚めなきゃいいのに・・・って思うことが・・・
しか〜〜し朝目が覚めるとそのことも忘れて髪の毛振り乱して走り回っています〜〜〜
2008/2/4(月) 午後 9:21
kaoriさん そんあ幸せな人生なのに目が覚めなきゃぁなんて思ってはいけませんよ。うん!忘れるということはいいこともあるのですね(^^;
2008/2/4(月) 午後 9:45
スルメの如く噛んでいたら夏目漱石の『それから』の代助が出てきました。
境遇、背景は異なれど・・・この脱力感は通じるものがないかしら・・・何となく。
こういう感じ・・・「もういいや・・・」みたいな。若い頃に感じたことがありました。
あ、今はいい意味でジタバタしています^^;
咀嚼が遅くて申し訳ないです^^;ご飯を食べるのも遅いです(笑)
2008/2/5(火) 午前 10:28 [ ]
Coquilleさん 夏目漱石が出てきましたかぁ(^^さすがです!
私にはある意味身近な存在ですが、殆ど読んでいません。
ずいぶん昔は、それこそ20歳前後は「もういいかぁ〜!」というのも
ありましたが、その後20年くらいはきっちり満足いくまでやりましたが、
最近また、そのあたりの感覚が20歳頃に戻りつつあります!
ご飯を食べるのが遅いの?健康にはいいことです。よく噛んで食べる
ということは♪私は早食いなのでいけません(^^;
2008/2/5(火) 午後 5:25